兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

7/30・31『ABEDON50祭』のニュース原稿

  7月30日(土)・31日(日)山形市総合スポーツセンターにて行われた、ユニコーン恒例・メンバーが50歳になるとその人出ずっぱりでイベントをやる企画、そのオーラスを飾るABEDON編。その模様を、所属レコード会社が各ウェブ媒体等に一斉発信するニュース原稿として書く仕事をいただき、山形に行って、書いてきました。

  で、BARKS等あちこちで取り上げていただいてからもうずいぶん経つのでそろそろいいかな、ということで、こちらにもアップしておきます。

未読の方、よろしければぜひ。

  あ、BARKSの方には写真も多数アップされています。

  こちらです。

www.barks.jp

  じゃあこのBARKS読んでいただけばそれでいいじゃねえかって話ですが、保存しておく意味でも、以下、一応貼っておきます。

  出演者もセットリストも2日ともまったく同じ、でも2日それぞれレポを書いてほしい、と現場で言われた時は、「ええっ!? どうしよう」と思いましたが、自分としては、同じ内容であってもなんとか違うふうに書けるもんなんだな、と、書き終わってから 思ったのですが。

  いかがでしょうか。大丈夫でしょうか、これ。

 

 

1日目:7月30日(土)のレポ

 

  7月30日(土)山形市総合スポーツセンターにて、ユニコーンのライブイベント『ABEDON 50祭 サクランボー/祝いのアベドン』が開催された。このイベントは同所で2日間行われるもので、30日はその1日目。ユニコーンのメンバーが50歳の誕生日を迎えるごとに開催されてきたイベント・シリーズで、メンバー内で最年少であるABEDONの地元・山形で行われた今回でしめくくりとなる。

  ABEX GO GO、ABEDON and THE RINGSIDE、氣志團ユニコーンの4アクトが出演。チケットは即日完売、全国23ヵ所の映画館で生中継でライブ・ビューイングが行われ、大勢のファンが集まった。

 

  トップのABEX GO GO は、ABEDONがユニコーン解散後にSPARKS GO GOの3人と結成したバンドで、現在ではこうしたイベントの時など、数年に一度のペースでライブを行っているレアな存在。デビューシングルである「おせわになりました」など5曲を演奏、ファンは歓声で応えた。

   二番手のABEDON and THE RINGSIDEは、ABEDONと奥田民生SPARKS GO GOの八熊慎一、斎藤有太、木内健のいつもの盟友からなるバンドで、6月3日にソロアルバム『Feel Cyber』をリリースし、全国ツアーを行ったばかり。アルバムのタイトル曲「Feel Cyber」やABEDONソロの名曲「欲望」など5曲をプレイした。ABEDON and THE RINGSIDEとして山形でライブを行ったのは、このイベントが初となる。

  三番目の氣志團は、デビューアルバムからサードアルバムまでのバンド・プロデュースをABEDONが手がけてブレイクへ導いた、いわば愛弟子的な存在。このステージでは、往年の人気番組を模した『アベストテン』という企画を行った。

  綾小路翔は名司会者に扮し、氣志團のメンバーはバックバンドとなって、10位から1位までの曲を紹介していく。ユニコーン/ソロ/ABEX GO GOでABEDONが書いた曲から10曲を選び、それぞれを日本の有名ヒット曲風にアレンジ、ユニコーンのメンバーをはじめとする出演者たちがそのコスプレで入れ替わり立ち替わり登場して歌う、という内容で、超満員の会場は終始爆笑の渦に包まれた。

  綾小路翔は10曲中1曲でメインボーカルをとったが、氣志團の曲は1曲も歌わないままステージを下りた。

 

  トリのユニコーンは、前半でそれぞれのメンバーの50歳イベントの時に発表してきた曲を1曲ずつ披露。この『ABEDON 50祭』のために書き下ろされた新曲「RAMBO N°5」もライブ初公開。途中MCでは、奥田民生から「ABEDON! おめでとう! 氣志團もありがとう! 自分たちの曲を一曲もやらずに終わったけど(笑)」と会場の笑いを誘う。

  後半は「ひまわり」「WAO!」など、ユニコーン再始動後にABEDONが書いてきた曲が並ぶメニューで、本編のラストでは、TBS系ドラマ『重版出来』の主題歌になった「エコー」、そして「RAMBO N°5」と共にこのイベントに書き下ろされた「50/50」の2曲も、初めてライブで披露された。

  アンコールの「人生は上々だ」でABEDONは、90年代のユニコーンのアンコールの定番だったプレスリー風の衣裳に身を包んで客席のアリーナ後方から登場。フロアを縦断してもみくちゃになりながらステージにたどり着き、熱唱する。

  客席との掛け合いを延々と続けている途中、サプライズでバースデイ・ケーキがステージに。出演者と観客、全員で「ハッピーバースデー」を歌い、ABEDONがロウソクを吹き消し、盛大に50歳を祝った。最後にABEDONは「サンキュー山形! 俺の生まれたところ!」と絶叫、皆に感謝の意を伝えた。

  このイベントは翌日7月31日(日)にも、同じ出演者で行われる。

 

 

 

2日目:7月31日(日)のレポ

 

  7月31日(日)、ユニコーンABEDONの生誕50周年を祝うライブイベント『ABEDON 50祭 サクランボー/祝いのアベドン』2デイズの2日目が、彼の地元・山形市総合スポーツセンターにて行われた。ユニコーンはメンバーが50歳を迎えるたびに、それを祝うという体で、本人が出ずっぱりでパフォーマンスし続けるイベントを行っており、今回がそのしめくくりとなる。

  ABEDONとSPARKS GO GOのメンバーからなるバンドであるABEX GO GO、ソロ活動の仲間であるバンドABEDON and THE RINGSIDE、氣志團、そしてユニコーンの4アクトが出演。チケットは即日完売。全国23ヵ所の映画館で生中継のライブ・ビューイングも行われたため、1日目も2日目も本番中にメンバーが「押すとヤバい、生中継が途中で終わる」などと気をもんだりする一幕もあったが、無事両日とも最後まで中継された。

 

  トップはABEX GO GO 。ABEDONがピアノ弾き語りで歌い始め、八熊慎一(Vo&Ba)がそこにハモリをつけていく「夕立ち」でスタート。ABEDONと八熊慎一のツインボーカルが活きる骨太なロックンロール全5曲でファンを魅了した。

  途中のMCでABEDONは、「ちょうど10年前に山形でやりまして、また10年後の今日、ここでやりました」と発言。2006年に40歳を迎えたのを記念して、横浜・大阪・山形でイベントを行い、出演した奥田民生川西幸一と共に行ったセッションの感触がとてもよかったことが、ABEDONがユニコーンの再結成を考え始めるきっかけになったことを知るファンたちの間に、感慨深い空気が流れる。

  二番手のABEDON and THE RINGSIDEは、モハメド・アリからアントニオ猪木に受け継がれた入場テーマ「炎のファイター」に「アベドンバイエ!」と歌をのせたSEが響く中、メンバーの奥田民生SPARKS GO GO八熊慎一、斎藤有太、木内健がまず登場。続いてガウンに身を包みチャンピオンベルトを巻いたABEDONがオンステージ。

  6月3日にリリースされたばかりのソロアルバム『Feel Cyber』のタイトル・チューンでスタート、八熊慎一がダンボールを叩く「欲望」のアコースティック・バージョン以外の4曲は、すべて『Feel Cyber』からプレイ。ラストの「不思議は不思議」ではイントロで大きなハンドクラップが起き、サビではオーディエンスの腕が大きく左右に振られた。

  デビューアルバムからサードアルバムまでのプロデュースをABEDONが手がけた氣志團が、三番目のアクト。「音楽すべての師匠」「返しても返しきれない恩があります」などと、メンバーがABEDONを語る映像に続いて始まったのは『アベストテン』という企画だった。

  氣志團メンバーがバックバンドを務め、綾小路 翔は名司会者に扮して、10位から1位までの曲を紹介していく。ユニコーン/ソロ/ABEX GO GOでABEDONが書いた曲から選曲、それぞれを日本の有名ヒット曲風にアレンジ、ユニコーンのメンバーをはじめとする出演者たちがそのコスプレで登場して歌う、というもの。

  1日目も同じ内容だったが、前日に失敗した箇所が今日は成功した者あり、逆に前日はうまくいったのに今日はミスった者あり、前日言わなかったアドリブをぶちかまして大ウケするものありで、場内は終始爆笑に包まれた。

 

  トリのユニコーンは、前半でそれぞれのメンバーの50歳イベントの時に発表してきた曲を1曲ずつ披露するという、全員の『50祭』を総括するメニュー。この『ABEDON 50祭』のために書き下ろされた新曲「RAMBO N°5」も1曲目でライブ初公開、全員ミュージックビデオそのままの扮装で歌い踊る。

  後半は「ひまわり」や「WAO!」など、ユニコーン再始動後にABEDONが生み出してきた曲たちが並ぶセットリストで、本編ラストでは、TBS系ドラマ『重版出来』の主題歌「エコー」と「RAMBO N°5」と共にこのイベントのために書き下ろされた「50/50」の2曲を、初めてライブで披露。「50/50」の「君と僕はそう ふたつでひとつ そして僕たちは いつつでひとつ 新しい今を うたおう」というリリックが感動的に響きわたった。

  アンコールの「人生は上々だ」でABEDONはプレスリー風の衣裳に身を包んで1F客席後方から現れるという、山形ではおなじみの登場。前日は右後方からだったがこの日は左後方から客席をつっきってフロア後方のお立ち台まで到達、「しーあわせ! しーあわせ!」とコールを求めながら、山形の花笠に入った「幸せ」(紙吹雪)を盛大に撒く。

  そして「幸せ」を撒きながらステージまでたどり着く。ほぼ曲を歌いきり、最後のブレイクのところで客席に「おまえたちのしゃべりを聞かせてくれ!」と「脱げ!」コールを求め、それに応えてプレスリーの衣裳を脱ぐとその下にはブルース・リーの黄色いジャンプスーツが。ヌンチャクを振り回し、手島のマイクスタンドに付いたピックを飛ばしたり、メンバーにモミアゲを貼って回ったり、今日が最後だというピンスポット担当の照明スタッフに50歳記念の超特大ABEPELLI(ABEDON人形)をプレゼント(前日は7列30番の席のお客さんにプレゼント)するなど、自由の限りを尽くす。

  そしてそのまま曲に戻ろうとするも、奥田民生にストップをかけられる。「昨日の今日だから、きみにも何かあるよ」。前日はサプライズでバースデーケーキのプレゼントがあったが、この日は愛弟子=氣志團から、シャンパンタワーならぬABEDONビール(地元の月山ビールとコラボして作られた)タワーが贈られる。綾小路 翔に無理やり勧められ、「ランランルー」のコールに答え、3杯のビールを飲みしてからようやく曲を再開、エンディングまで走り抜けた。

  ABEDONが去ったあと、メンバー4人はステージを数度横断しながらオーディエンスに手を振り、感謝の意を伝えた。

 

  この日の模様は9月30日(金)21:00から、フジテレビNEXTライブ・プレミアム/フジテレビNEXTsmartにてオンエアされる。

  ユニコーンは8月10日に約2年5ヵ月ぶりとなるニューアルバム『ゅ 13-14』をリリース、9月3日(土)東京・府中の森芸術劇場どりーむホールから、追加公演含め全34本の全国ツアー「ユニコーンツアー2016 『第三パラダイス』」が始まる。

2016年のフジロック雑感

 ※ライブレポ的なこととか、今年のフジの総論的なことは書いておりません。そういうのをご期待の方は、ここで読むのをやめることをおすすめします。

 

   フジロック、今年も3日間行きました。金曜早朝に出発、3泊して月曜の昼すぎに東京に戻ってくるスケジュール。

  レンタカーを借りて、自分が行くついでに、ロッキング・オン誌のライブ撮影で現場に行くカメラマンふたり、岸田哲平と三島タカユキさんを乗せて行って、乗せて帰る。

  僕は普通にチケットを買って行っている、つまり仕事要素はゼロなんだけど、なんか去年と今年はそんなようなことになった。

 

 事前に周知されていたとおり、「うわ、人多い!」という年だった。1日目よりも2日目、2日目よりも3日目がそうだった。3日目、チケットがソールドアウトしていたが、確かに「ここまで混んでるの、何年ぶりだろう」と思うレベルだった。

 20周年だし、ブッキングよかったし、何よりもフジが今後も続いていくためにはとてもいいことなので、素直にうれしく思う。

 

  ただし。そういう年、参加者として僕はどうなるかというと、「その中でなるべくつらい思いをしないためにはどう行動すべきか」ということを最優先するようになる。

  たとえば。トイレはとにかく早めに、なるべく奥地で並ぶとか。今年なら、オレンジカフェの奥、ストーン・サークルとカフェ・ド・パリの間のトイレ。しまいにはそこまで尿意を覚えてなくても「ここまで来たから行っとこう」みたいな逆転現象になる。今年は涼しかったせいでトイレが近かった、というのも大きい(暑いと汗かくので出なくなるのです)。

  たとえば。3日間の間に1回、ドラゴンドラに乗って「DAY DREAMING&SILENT BREEZE」まで行くタイミングは、「下界が混む日時」と「下界で自分がどうしても観たいものが少ない日時」のふたつの要素込みで事前に考えて決定しておく、とか。

 たとえば。ここは間違いなく混む、というのが、絶対自分もマストで観たいものでなければ、その時間帯はそのあたりに近づかないようにして、早めに移動しておくとか。

 ただ、「入場ゲート方向からグリーンに入ってすぐのあたりの後方通路、混んでる年の人気アクトの時は、その場で立ち止まってライブを観る人たちで埋まっちゃって身動きとれなくなるから通らないようにする」というのを、今年、うっかり忘れていた。

 2日目のベックが始まった頃、思いっきりそこにはまってしまい、「しまった、そうだった! 当然こうなるんだった!」と、後悔しました。

 

  で、そういう行動をとり続けると、どうなるかというと。

 「観たかったけど観なかった」「そしてあとで『ああ、観ればよかった!』と後悔する」ということが、多くなるわけです。

 まあ、同時に、それだけ今年はいいアクトが多かった、ということでもあるが。

 

 たとえば3日目ホワイトのロバート・グラスパー、BABYMETALの前だから、その時間そのあたりに近づいたらえらいことになる、と思ってあきらめたのだが、あとで「よかった!」と書いてる人のツイートとかブログとかを見て、「ああ、やっぱり観るべきだったなあ」とか。

 3日目グリーンのトリのレッチリとクロージング・アクトの電気グルーヴの間、さっとホワイトに行けばバトルスちょっとは観れたんだけど、「通路とか絶対混みまくる」「そして3日目のこの時間で俺は大変に疲れている」ということで、グリーンでじっとしていて、あとでカメラマン岸田哲平に「よかったですよー!」って話をされて後悔するとか。

 そんなようなことを、終わってから何度も思うわけです。

 要は、自分が絶対に観たいものの軸だけが残る感じというか。それしか残らないというか。

 まあでも、それだけ観たいものがあったんじゃねえか、という段階で幸せですが。

 

 それに、『GETAWAY』出たばかりのこのタイミングでレッチリを観れたことと、その直後のクロージング・アクトが電気グルーヴだったこと、そしてその両方がすばらしかったということで、よしとします。

 特に電気。昔から大好きなこともあるし、最近ちょこちょこ電気まわりの仕事をさせてもらっていることもあるが、20周年のこのワクが電気、しかもああいうライブ(前半最近の曲で後半ダンス・トラック連打、シメに「N.O.」「富士山」やってアンコールで「Shangri-La」「虹」)というのは、かなりくるものがありました。

 

 あと、自分は「こないだライブ観たばかりだからフジではいいや」ということができない奴なんだなあ、ということが、改めてわかった。

 観たばかりなんだから、その時間は違うものを観ればいい、という考え方ができない。「こないだ観たらすげえよかった、フジではどうなるんだろう、観なきゃ」というふうに思ってしまう。

 Tha Birthday然り。BO NINGEN然り。在日ファンク然り。D.A.N.に至っては、その2日前に観たばかりだった。というか、電気だって12日前に観たばかりだったし、リキッドルームで。

 でも結局後悔してないが、そちらを選んだことを。

 

  あと、フジは時期的にギリセーフだったが、これ以降に開催されるロックフェスはすべて「ポケモンGO禁止」にした方がいいと思う。

  僕はポケモンGO否定派ではないが、むしろ「始めたら最後はまりすぎてえらいことになるのが目に見えているから俺は手を出さない」と決断している時点で肯定派だと思うが、でも、フェスのいろいろに支障をきたしそうで、とても心配です。

 難しいだろうけど。スマホを何かに向けてるからって、ポケモンGOやってるとは限らないし。

2016年7月12日火曜日、電気グルーヴ @ リキッドルームのライブについてちょっとだけ書く

  電気グルーヴ、毎年この時期恒例、リキッドの周年ライブシリーズ(今年は12周年)。

  オープニングのゲストは岡崎体育。アルバム時に日刊SPA! でインタビューさせてもらって、ライブも観たかったんだけどいつもタイミングが合わず、ようやく観れました。期待どおりのおもしろさ楽しさだったのに加え、PC1台で出しているにしては音がいいなと思った。

 

  で、電気。昨年末のCOUNTDOWN JAPANのステージは曲間なしのノンストップ、今年3月の大阪・東京のZeppでの『お母さん、僕たち映画になったよ。』 も、アンコールを除きノンストップだったが、このリキッドもそうでした。

  で、最高でした。構成もパフォーマンスも曲の並びも選曲そのものも、もう何もかも。

 

  リキッドの周年ライブはいつもこの時期、つまり夏フェスシーズン突入直前で、電気、以前は「フェスではやらない曲を」と、コアな選曲で臨んだりしていたが、今年のこれはどうなんだろう。確かにまあ、“Shangri-la”“N.O.”“富士山”あたりの、フェスでどかーんとウケるような代表曲は入ってなくて、コアっちゃあコア寄りなセットリストだったけど、でも、今年のこれならそのままフェスでやっても超盛り上がるんじゃないか。今年の夏、電気が出るフェス、フジロックにライジングにWORLD HAPPINESSだし。

  特にフジロック、3日目のグリーンステージのクロージング・アクトだし、あそこでこのライブやったら最高なのでは、と思った。そうじゃないライブだったとしても最高だろうけど。というか、20周年のフジのグリーンに立つクロージング・アクトが電気、という時点で、とうに最高なんだけど。

  とにかく、いっそう楽しみになりました。

 

 

  あ、先に書いた、日刊SPA! の岡崎体育のインタビュー、こちらです。

nikkan-spa.jp

フラワーカンパニーズ『47都道府県ワンマンツアー 夢のおかわり2016』前半戦ファイナル、7/9(土)那覇セントラルのセットリストなど

1 消えぞこない

2 はぐれ者讃歌

3 切符

4 チェスト

5 煮込んでロック

6 NUDE CORE R&R

7 夜空の太陽

8 星に見離された男

9 無敵の人

10 唇

11 青い吐息のように

12 東京ルー・リード

13 真赤な太陽

14 夢の列車

15 三十三年寝太郎BOP

16 マイ・スウィート・ソウル

17 終わらないツアー

18 YES,FUTURE

 

アンコール1

19 Good Morning This New World

20 ロックンロール

21 俺たちハタチ族

 

アンコール2

22 深夜高速

23 真冬の盆踊り

 

  フラワーカンパニーズ、1年かけて47都道府県をワンマンで回るツアー『夢のおかわり2016』、その前半戦のシメ、7月9日土曜日那覇・桜坂セントラルは、以上のようなセットリストでした。

  全体に、これぞツアー前半の集大成といっていい、隅々までウィークポイントなし死角なしの、大充実なライブ・パフォーマンスでした。

 

  ただし、圭介の最初のMCを除く。1年前に沖縄に来た時、ライブの翌日、飛行機まで時間があったのでみんなで海に行った時に思ったことをしゃべろうとしたのですが、うまい具合に伝わらず、フロア、なんともいえない微妙な空気になる。

  で、それでもしゃべり続けようとして、グレートに「おいっまだ続けるんか、こんな空気なのに!」と制止されていましたが、ちょっとフォロー。私がグレートでも制止したでしょうが、圭介、そのことを1年前にフラカン公式サイトのブログに書いていて、それを読むと何が言いたかったのかわかります。

  こちらです。http://6109.jp/flowercompanyz/?year=201506

 

  要は、「海水浴ってそもそも何?」と思った、ということです。

  運動としてちゃんと泳ぐとか、シュノーケリングで魚を見るとか、子供が浮き輪やゴムボートで遊ぶとかいうのはわかるけど、おっさんがただ水に浸かってじっとしてるだけってなんなの?

  と、浸かってしゃべってわははと笑っているグレート・小西・その高校の同級生2人を岸から見て、改めて考えた、という話です。

 

  というか、その時、陸に残っていたの、圭介と竹安とQ太郎と私の4人だったのですが、Q太郎は食料などの買い出しでいなくて、竹安はせっまいベンチの幅に器用に身体を収めて熟睡、なので圭介と私のふたりで、海の中のおっさん4人を遠目に見ながら、そんなような話をしていたのでした。

 

 「あれ、温泉だよねえ」

 「ほんとだよね」

 「兵庫さん泳がないの? 海パンないの?」

 「いや、一応持ってきてるんだけど、なんかねえ、泳ぐ気にならない」

 「海に入るのあんま好きじゃないの?」

 「や、そんなことない。シュノーケリング好きだし、ずいぶんやってないけどスキューバダイビングのライセンスも持ってるし……あ、そうか」

 「何?」

 「だから、何も目的なく『ただ海に浸かる』っていうのがイヤなんじゃない? 俺」

 「ああ、なるほど」

 

   というような会話だったのでした。

 

   なお、去年は、フラカンも私もライブ翌日の東京に帰る飛行機、遅めの時間の便をとったのですが、今年は特に示し合わせることもなく、お互い早い時間の便でした。

7/2・3、フラワーカンパニーズ @ リキッドルーム2デイズのセットリストなど

  フラワーカンパニーズ、1年かけての47都道府県ワンマンツアー『夢のおかわり2016』の東京編、7月2日(土)&3日(日)、リキッドルーム2デイズ。

 

  選曲、構成、各自の演奏(特に小西、調子よかった)、いずれもばっちり。

  圭介のノドも、1日目はほんのちょっとだけヒヤッとした瞬間もあったけど、2日目はありませんでした。

 「MCで圭介ネガティブなこと言いすぎ」も、ほぼなし。「圭介のしゃべりすぎ」に関しては、両日とも危ない瞬間があったが、そのたびにグレートが絶妙に話の腰をブチ折って曲に行った。見事でした。

 

  お客さんも満員。初日、「当日券あり」だったので、ありゃ、リキッド2日売り切れないか、武道館のリバウンドかなあとか思ったが、行ってみたら、ほかのバンドなら関係者スペースにするフロア最後方左の高くなってるとこまでお客を入れるがゆえの「当日券あり」だったことがわかりました。2日目も大盛況だったけど、特に1日目は「ここまで入れるか? 前川社長!」と思うほどでした。

 

  1日目は、サプライズ・ゲストで夏木マリが登場。「深夜高速」が2コーラスめにさしかかる直前で悠然と登場、歌い出した瞬間にお客さんドカーン!でした。続いて、圭介が曲を提供した「マグダラのマリア」も披露。そのあとグレート、オーディエンスに「みんなのことだから『明日はPUFFY来るんじゃないか』とか思うかもしれんけど、明日はゲストないから!」と強調しておられました。

 

  その2日目。アンコールの「夢の列車」の時にふと思いついて、中盤の竹安アコギ長尺ギターソロの時間を計ってみました。メンバー3人がいったんはけ、再び出てくるまでの間、だいたい5分半でした。だからなんだと言われると困るが。

  あ、それから、その2日目の頭、ハープ&アカペラで「マイブルーヘヴン」から「紅色の雲」へ、というのは、アマチュア時代の定番だった始まり方。

  私が初めてフラカンを観た時もそうでした。上京してくる直前の頃、下北沢シェルター。圭介が金髪&両側頭部剃り上げ、ハープを強く押しつけすぎて口の両端から出血していたのを憶えています。今調べたら、1993年9月21日でした。

 

  以下、セットリスト。

 

7 月2日(土)                          

1 馬鹿の最高 

2 この世は好物だらけだぜ

3 恋をしましょう

4 消えぞこない

5 はぐれ者讃歌

6 It’s Only Roc’kyun’ Roll

7 夜空の太陽

8 感じてくれ

9 薄い影

10 唇

11 元少年の歌

12 深夜高速  with 夏木マリ

13 マグダラのマリア with 夏木マリ

14 発熱の男

15 三十三年寝太郎BOP

16 NUDE CORE ROCK’N’ROLL

17 マイ・スウィート・ソウル

18 YES,FUTURE

アンコール

19 青い吐息のように

20 ロックンロール

21 俺たちハタチ族

アンコール2

22 Good Morning This New World

23 サヨナラBABY

 

7月3日(日)

1 マイブルーヘブン

2 紅色の雲

3 脳内百景

4 切符

5 チェスト

6 煮込んでロック

7 short hopes

8 すべてはALRIGHT(YA BABY)

9 無敵の人

10 青い吐息のように

11 東京ルー・リード

12 大人の子守歌

13 エンドロール

14 真赤な太陽

15 くるったバナナ

16 星に見離された男

17 終わらないツアー

18 消えぞこない

アンコール

19 夢の列車

20三十三年寝太郎BOP

アンコール2

21 深夜高速

22 真冬の盆踊り

23 最高の夏

 

でした。

  かぶってるの4曲だけ。今年になって出た配信シングル「青い吐息のように」と、最新ミニアルバム収録曲の「消えぞこない」と「三十三年寝太郎BOP」、あと「深夜高速」。

  フラカン、京都や東京で2デイズやる時は「かぶり曲なしの2日間」と打ち出すことが多いが、今回は全国ツアーの中の2デイズだからか、そんなにアピールしていなかった。でも実際には、2日とも来る人に配慮してほぼかぶらないメニューにした、という感じだった。

  まあ、今は、すぐライブでやれるレパートリーがこんなにいっぱいある、ということなのだろう。だって、これだけ曲があっても、「東京タワー」も「この胸の中だけ」も「ビューティフルドリーマー」もやっていないわけだし。

 

  なお、かぶった4曲のうちの「深夜高速」は、圭介も言っていたが、完全に予定外。本番前にスタッフに配られたセットリストにも入っていなかった。

  ただ、九州でEテレの「ミュージック・ポートレート」を観ていたら、オアシズ大久保佳代子が選んだ曲の中に「深夜高速」が入っていて、泣きたくなった時に聴く、これを聴いて自分をリセットする、という話をしていてびっくりした──という件にMCで触れていたので、「そう言っといてやらないのもなんだから」みたいな感じで、歌うことにしたのではないかと思う。

 

  私、その大久保佳代子の話、知りませんでした。観てなかったので。

  で。「深夜高速」を聴きながら、「『アメトーーク』で『フラカン芸人』やってくんないかなあ」と、つい思った。なので、頭の中でシミュレーションしてみた。

 

  大久保佳代子ダイノジまちゃまちゃ、あとNHKラジオ『すっぴん!』でフラカンかけてゲストに呼ばれる機会を作ってくれたし武道館にも来てくれたやついいちろう

  ほかに誰かいるかな……あ、山里亮太はカラオケに行くと「深夜高速」を歌うんだよな、じゃあ彼も入れて、あと誰だ? ……あ、伊集院光! ……いや、『アメトーーク』には出ない気がする。

 

  うーん。ちょっと足りないかもしれません。サバンナ高橋とかチュート徳井とかが担う、回す役割の人、この中にはいないし。それにこの並び、「フラカン芸人」ってより「深夜高速芸人」なのでは、というフシもあるし。

  そもそも『アメトーーク』のテーマって、「誰でも知ってる人気者」(例:Perfumeドラえもん)か、「知らない人は知らないけど実はすごい人気」(例:グラップラー刃牙、キングダム)のどちらかがセオリーであって、フラカン、正直、どっちでもないしなあ。

  でも、サニーデイ田中貴だって『アウト×デラックス』に出たじゃないか。あ、それ言ったらフラカンも『ゴロウ・デラックス』に出たか。

  むー。ダメかしら。誰に言っているのか。

 

  フラカン47都道府県ワンマンツアー『夢のおかわり 2016』は、次回の7/9(土)那覇・桜坂セントラルで前半戦終了。夏のイベントやフェスへの出演、「フォークの爆発」ツアー6本や地元名古屋での「ドラゴンデラックス」などをはさんで、10/29(土)福島・いわきSONICから再開。

  とりあえず現時点では、沖縄、台風が心配です。

尾崎世界観『祐介』を一気に読んだ

  尾崎世界観が書き下ろした小説『祐介』。

 

祐介

祐介

 

 

  一気に読んだあとで、わりと枚数少なめな作品であることに気がついたが、それだけの理由ではなく、「えっもう終わり?」「ここで?」「続きは?」という気分になった。

  要は、それくらいおもしろかった、ということですが。

 

  ほぼ自伝なんだろうな、実体験がベースなんだろうな、という内容だが、「自分語り大好き」みたいなうっとうしさはきっぱりとゼロ。

  というか、自分を語っていない。自分を書いているんだけど。これ説明難しいが、でも本当にそういう感じがする。

  強い筆力で、読み手をみんな当事者にしてしまう。特に、匂いや味や音や温度、つまり五感にまつわることの執拗な描写が、読み手をたちどころにそうさせる。

 

  にしても。cakesで連載されている燃え殻の『ボクたちはみんな大人になれなかった』もそうだし、尾崎のこの小説もそうだが、何か、これまでの私小説とは違う、新しい私小説のすぐれた書き手が、小説家とかコラムニストとかを本業にしていない人たちの中から、つまり他ジャンルから次々と現れる、みたいな現象がすでにあるってことなんだろうか、これは。

  又吉直樹の『火花』も、大きくいえばそれかもしれないし。

 

  何か、あせります。僕は作家ではないし、そんな能力も書く気もないし、そもそも求められてもいないが、「何か書いてカネもらって食っている」というジャンルの仕事ではあるので。

  本業じゃない人たちにこんなすばらしいものを書かれると、立場がないというか、「俺は何やってんだ」というか、「やめたら?」みたいな気分になるというか。やめませんが。

 

  メンバーがいなくなり、ひとりになってしまった祐介は、もうバンドをやめようと思っている時にライブハウスでフラワーカンパニーズを観て、「吐きたくなる ほど愛されたい」で涙が止まらなくなって、「もう少しバンドをやってみよう」と決意する……ことになるはずだ、現実に即して物語が続くのなら。 

  早くそこまで書いてほしいです。で、さらにその先も書いてほしいです。

  というか、とにかく続きが早く読みたいです。

「下北沢にも楽器屋はあった」話と「秋山のネタ観て我が振り直せ」の話

 前回のこのブログで、下北沢、ライブハウスもスタジオもいっぱいあってバンドマン多いのに、なぜ楽器屋はないんだろう、ということを書きました。

これです。

shinjihyogo.hateblo.jp

そしたら、知人がふたり、回答してくださいました。

 

ひとりは河井克夫さん。twitterで、「昔ありましたよ。ディスクユニオンの裏のへんに」と教えてくれました。

そうなのか。知らなかったです。ありがとうございました。ってことは、つぶれたってことですよね。

 

もうひとりは、下北沢にある音楽関係の会社に長年勤めているKさん。こちらはメール。

「下北沢のMUSICAのビルの1Fに、イシバシ楽器か何かが15年くらい前までありましたが、つぶれました。たぶん、下北沢を拠点に活動してるバンドは金がないから、あまり楽器を買わないせいだと思います。

買うにしても、店を回って安い所で買うから高額商品は売れない。弦やピックが売れても、高騰した家賃を払えないから撤退したのだと思います」

 

読んで思い出した。ああっ、あった、あったわ楽器屋。今MUSICAやCAVE-BEが入っていて、昔スペースシャワーブランチやハイラインレコードやアーロンフィールド(MUSICAが入っているフロアにあった事務所兼インディーレーベル。Caravanの最初のリリースはここでした)が入っていた、あのビルに。

完全に忘れてました。でも言われて思い出しました。

あの店、確かにいつも閑散としていたような印象がある。なので、撤退したのもうなずける気がする。

バンドマンって貧乏でもギブソンとかフェンダーUSAとか持ってたりするので、高額商品も買うんじゃないかとなんとなく思ってたんだけど、そうか、あちこち回って探し回って買う、と考えると、確かに下北では買わない気がします。

 

というわけで納得。ありがとうございました。

 

 

で、ここから全然違う話です。

 

昨日入った居酒屋、隣のテーブルが、ロック寄りの音楽業界で働いている男女3名だった。

面識ない人たちだけど、「あ、あそこの会社の人か」ということが耳をそばだてていなくてもわかるくらい、大きな声だったのでした。

業界について、個別のバンドや事務所やレコード会社について、ロックフェスについて、などなど、それはもう熱く語っておられる。知っているバンドの名前や、僕の知り合いでもある業界人の名前などが、ばんばん出てくる。

で、「この語り、ロバート秋山にマネされそうだなあ」と思ってから、急にすごく恥ずかしくなった。

彼らを恥ずかしいと思ったのではなくて、「俺も飲み屋とかでしてるわ、こういう話」ということに気がついて。

いつもしているわけではない、と信じたいが、少なくとも「あいつと飲んだ時はだいたいこういう話だよなあ」みたいに、リアルに思い当たるフシがある。

 

honto+でやっている、そして今各方面から大絶賛を浴びている、あの「秋山竜次のクリエイターズ・ファイル」。

「いるいるこういう奴」とか「おもしろすぎる」とか「秋山ほんと天才」とかもちろん僕も思うし、笑うのを超えて「すげえなあ」と感嘆もするが、それ以上に、

「やべえこれ。俺も同じ箱に入ってるかも、秋山がネタにしている人たちと」

という恐怖を覚えるわけです、観るたびに。

そういえば大根仁監督も、「TVプロデューサー・唐沢佐吉×構成作家・成安タロウ」編を観て、「ほんとにこういう人いるし、下手すりゃ自分も危ういし。気をつけよ」とツイートしていた。

 

で、それ、業界人とかに限らないのではないかと思う。

ここで秋山が演じている「クリエイター」って、「トータル・ウェディング・プロデューサー」とか「湯どころ旅館『銀風の塔』グループCEOの女将」とかまで入っているし。

「自分の仕事について、自分について語りたい人」全員ではないかと。秋山の俎上にのっかるのは。

仕事って、ただやっていればいいことであって、「それについて語る」のは……まあ、ミュージシャンとか映画監督とか俳優とか小説家とか、つまり表現者だと、プロモーションのために「仕事について語る」ことが求められることがあるわけだけど(で、僕は、語ってもらってそれをテキストにすることが仕事なわけだけど)、確かにここ10年くらい、いやもっと前からか、「情熱大陸」とか「プロフェッショナル 仕事の流儀」みたいな形で、それ以外の人たちも、そのような形でスポットが当たることが増えている、という現状そのものなのか。秋山が「これ使える」と、ネタにしているのは。

 

まあ、どこまでが表現者でどこからか表現者じゃないのか、というと難しいが。

というか、たとえ表現者であっても、松尾スズキさんがよく言う「表現するのは恥ずかしいことだ」という意識がないと、秋山にネタにされるようなことになる、というか。

現に「俳優 桐乃 祐」編もあるし(ネーミングの時点でもう勝ってますよね、これ)。

 

などとグルグル考えてしまうのでした。秋山のこのシリーズの、「観る者が傍観者でいることを許さなさ」がすばらしすぎて。

とりあえず、飲み屋でもそれ以外の場でも、伊集院光のラジオがいかにおもしろいかとか、誰それのライブがすげえよかったとか、そういう話だけをするよう、自分を語らないよう、気をつけたいと思います。