兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

9/28渋谷duo、フラカン「フォークの爆発」を観て

  2年ぶり、恒例のアコースティック・ワンマン企画、今年は富山・東京・広島(というか福山)・札幌・山形の6本のツアー。全都道府県ツアー『夢のおかわり』の前半戦と後半戦の間に別のツアーをやっている……いや、後半戦、9月11日の大分からだったから、もう始まってるか。

  とにかく、9月28日東京渋谷duoを観たのですが、まだ2本目なので、ネタバレしない範囲でちょっとだけ。

 

  まず、「これはやるの久々」「次も久しぶりだなあ」みたいなことを圭介が何度も口にするほど、普段なかなかライブで演奏されない、もしくはほぼ演奏されない、あるいはまったく演奏されないようなレア曲、とても多い。シングルのカップリングの曲とか。

  フラカンの場合、「アコースティック縛りにすると自然とそうなる」というのもあると思う。鈴木圭介、いい曲を書こうとするとフォークっぽくなる傾向があるので。だから静かめのいい曲いっぱいあるんだけど、普段のライブがああいう感じなので、そういう曲はセットリストの中にあんまり多くは組み込めない、よってライブで演奏されなくなっていく、ということが多い。

  というか、そうか。そういう曲もライブでやる場がほしい、いい曲いっぱいあるのにもったいない、でも通常のスタンディングでやるのは難しいのでハナから「着席ですよ、アコースティックですよ」と謳ってやればよい──という理由でやっているんですね、『フォークの爆発』。考えたことなかったわ。圭介がいっぱいしゃべりたいからやってるのかと思った。この日も後半のMCが長すぎて、グレートに「おいっ! まだしゃべるんか!」とぶったぎられてたし。

  それから「フォークの爆発」では定例の曲あり、カバー曲も何曲もあり。途中とアンコールでゲスト奥野真哉が登場、アコーディオンを弾いたりもしました。奥野さん、しゃべり多めで、全体のぐだぐだ感にさらに拍車をかけておられました。圭介のブログによると、この次の大阪にも出たそうですね。

 

  で。事前にグレートがブログで「Good Morning This New World」のリコーダー、お客さんに吹いてほしいからみんな100均とかで買って持ってきてほしい、と呼びかけていたが、この日のピーク、まさにそこだった。

  曲をやる前にメロディを教えてみんなで一回練習してから本番に入ったんだけど、ほんとにもう見事なもんでした、きれいに音が揃って。その場で一回練習しただけであんなにきれいに揃うとは思えないので、事前に練習してきた方が多かったのではないかと思う。

  あと、すごいテンションだった、その場が。みなさん、グレートが「すごい緊張感だねえ」と口にするほどの真剣さだったので。一回練習を終えて本番スタートするまでの短いMCの間、みんなプープー練習し始めて、圭介やグレートが「ちょっと、話きいて!」と言うほどでした。笑いました。オーケストラが曲に入る前に各自楽器を鳴らして音を確かめる光景を思い出した。いいもん観たわあ、と拍手しながら思いました。

 

  あとふたつ。

  アンコールで、12月31日に下北沢GARDENで年越しライブを行うことと、2017年4月22日(バンド結成日が4月23日なので、その前日)に日比谷野音ワンマンをやることが、グレートの口から発表されました。

  ちなみにフラカン、これまでに5、6回日比谷野音ワンマンやっていますが、売り切ったこと、一度もありません。日本武道館の話が出た当初、私は反対したのですが、その時「だってあれだけ野音やって一回も売り切ったことないバンドが武道館っておかしいじゃん」と言ったのを憶えているほどです。ほどですってことはないが、それを心配してみんな来てねと言うグレート、それに続いて圭介、「武道館を満員にしたバンドが野音売り切れなかったらおもしろいよね」。おもろないわ! みなさまぜひお越しください。

  もうひとつ。ゲストの奥野さんが「このイベント、いいよねえ。フォークの神様?」とボケた時、圭介、「違う、『トイレの神様』じゃないんだから」と返していましたが、「違う! 『ローザ・ルクセンブルグじゃないんだから』でしょ!」と言いたくなりました。

  ローザの曲名なのです、「フォークの神様」。セカンド『ROSA LUXEMBURGⅡ』収録。もちろん奥野さんは知ってて言ったんだろうし、圭介、名古屋時代はローザの頃のどんとの影響で、顔を白赤青に塗ってライブやってたりしたのに。と、少々残念でした。私が拾わないと誰も拾わないと思うので書いておきます。

曽我部恵一・新井仁出演! 10/14(金)「Such A Night」のお知らせ

  私、サニーデイ・サービス田中貴プレゼンツの

「Such A Night」というイベントを、長いこと手伝っています。

  いわゆる夜中のDJイベント。2~3ヵ月にいっぺんくらいのペースで、レギュラーは田中貴と私のふたり。

  ツアーとかで来れない時以外は、グレートマエカワが

準レギュラー的に参加中。

 

  プラス、毎回ゲストDJを2名くらいお呼びするのですが、

次回=10月14日(金)は、サニーデイ・サービス

すっばらしいニューアルバム『DANCE TO YOU』が

出たばかり、かつそのリリース・ツアーの直前でもある、

ということで、曽我部恵一さんと、ツアーへの参加が

決まっている新井仁さんにお願いしたら、快くお受け

くださいました。

 

DANCE TO YOU

DANCE TO YOU

 

で、いつもこのイベント、ツイッターでしか告知して

なかったんですが、そんなようなことを長く書きたかった

もんで、この私のブログを使ってお知らせしようと。

 

では以下、詳細などです。

サニーデイファンの方、『DANCE TO YOU』を聴いて

やられてしまった方、単に飲みたい方などなど、

みなさまのご来場を切にお待ちしております。

 

田中貴プレゼンツ「Such A Night」、
次回10/14(金)は、サニーデイ・サービス
ニューアルバム『DANCE TO YOU』のリリース直後、
かつそのツアーの直前ということで、
曽我部恵一と、ツアーへの参加が決定している
新井仁を招いて開催します!

『DANCE TO YOU』の曲、それ以外のサニーデイの曲、
ご本人たちがかけるかどうかは未定ですが、
少なくとも兵庫はどんどんかけます。
ツアーに備えて大音量でサニーデイを浴びたい皆様、
お越しをお待ちしております!

なお、タイムテーブル、曽我部恵一がトップです。
ぜひ間に合うようにお越しください。

Such A Night Vol.34
10/14(Fri) 23:00 OPEN&START
2,000yen/+1D
@三宿Web
154-0001 東京都世田谷区池尻3-30-10 B1
TEL 03-3422-1405

http://www.m-web.t


DJ:曽我部恵一/新井仁/田中貴/兵庫慎

 

 

※あ、あと、このイベント、「田中家ディスカウント」

というのをやっております。

三宿Webから徒歩10分弱、淡島交差点そばにある

イタリアンレストラン「trattoria ameno」、ここの

オーナーシェフが田中貴の弟なのです。

で、この店を10月14日までの1ヵ月以内にディナーで

ご利用の方は、入場料を500円ノードリンクに

ディスカウントします、というサービスなのです。

 

www.ameno.jp

 

というわけで、そちらもよろしければぜひ。

9/16(金)大宮ソニックシティ『ユニコーンツアー2016 第三パラダイス』5本目

   ニューアルバム『ゅ 13-14』のリリースツアーの5本目、2本目の9/7(水)市川市文化会館に続いて観に行きました。

  ネタバレなしで、さすがにこれは書いていいだろうな、と思ったこと、ちょっとだけ書きます。

 

・市川の時よりも演奏はワイルドになると同時にタイトに引き締まり、各段取りはビシッとキマり、MCの自由なグダグダ度はちょっと上がっていた。つまり、5人がこのツアーに慣れてきた、ということだと思います。

 

・最初のMCで、広島カープ優勝のことに触れた時の、OTのひとこと。

 「川西さんは、優勝見るのたぶん最後だから! テッシーも怪しいから!」

 

・EBIが自分がボーカルをとる曲に入る時、「聴いてください」と言ったのを自称「聴いてください言わない派」のOTが拾って「『聴いてください』って何?」「そりゃ聴くよ」「みんな聴きに来てるんだから」と揚げ足とってひと盛り上がりする。で、それ以降、EBI以外のメンバーも、歌う前に「聴いてください」と言うのが流行る。この日だけの流行りになるか、明日以降も続くかは不明。

 

・ABEDON、2本目の市川の時は、客席からの「ヨッチ!」という呼びかけに無反応だったが(単にその声がきこえてなかったのかもしれません)、この日は自ら「ヨッチでーす!」と何度か口にし、そのたびに大ウケ。にしてもヨッチ、ライブ・ビューイングあったとはいえ『ABEDON50祭』でしか披露していないのに、すごい浸透度と人気。

 

・ABEDON、アンコールのMCで何か言ったら場がちょっと微妙な空気になった時の、起死回生のひとこと。

 「のってこいよ! 俺は恥を忍んで言ってるんだ!」

  ステージの下も上も爆笑でした。すばらしい。

 

  では、また観に行ったら何か書きます。

『ユニコーンツアー2016 第三パラダイス』の2本目、9/7(水)市川市文化会館について、ネタバレなしでちょっとだけ書きました

  ニューアルバム『ゅ 13-14』のリリースツアーの2本目。2本目なのでネタバレできないし、書けることも極めて限られるが、書ける範囲で書いておきます。

 

・当然『ゅ 13-14』の曲が中心、かつ再始動後の曲も何曲もあり、「お!」とうれしくなる旧曲もあり、というセットリスト。

 

・これまでのユニコーンのツアーに「バラエティ寄り」と「質実剛健寄り」があるとしたら、今回、後者な気がした。というか、そもそも『ゅ 13-14』というアルバム自体が、好き放題に自由に作ったわりに……いや、「だから」なのかもしれないが、そういう作品だからだろう。タイトでずっしりしていてすばやくもあるロック・バンド、ユニコーンのかっこいいところを存分に味あわせてくれるステージだった。

 

・よってグダグダ感、少なめだったが、ただしそれは、まだツアー2本目だからかもしれません。このあと本数を重ねるにしたがって増えていくことも考えられます。

 

・最初のMCでOT、「2本目がいちばんヤバい」と発言。1本目はまだ緊張感あるからうまくいくけど、2本目だと「忘れるとこは忘れて」「怠けるとこは怠けて」みたいにゆるむから、というのが理由だそうです。

  で、そのMCからしばらく経ったあたりで、某曲のキメの部分でバンド、思いっきりミスって演奏がストップ。OT、「2本目っぽいわー。初日はできたのに」と、己の予言的中を嘆く。

 

・そのOT、別の某曲の、自分がギター弾かなくていいところで、曲に合わせてひとりで激しく踊る瞬間あり。「ここで踊る」とか決まってるわけじゃなくて、ただなんとなくやってみたのだと思いますが(スポットとか当たらなかったし)、あまりの激しさに目を奪われたもんで、ここに書いておきます。

 

・ABEDON、このライブ中に「決めてない」と二度口にしました。いずれも、自分がセンターに来る曲の時に、OTに「このあとどうすんの?」などと訊かれた時の返事です。

 

  書いているうちに、「進んでいくうちにどんどん変わっていきそうだな、このツアー」という気がしてきた。

  次に観るのも楽しみです。

名刺のこと

  回転式名刺ホルダーがいっぱいになる。で、数を減らすために、名刺を整理しようとするたびに、

 

①現在仕事で付き合いのある人は、普段からメールでやりとりしているので、名刺を取っておく必要がない。

②付き合いがなくなった人は、今後も連絡を取り合うことはないから、名刺を取っておく必要がない。

③じゃあ名刺を取っておくべきなのは、今は疎遠になっていてメール等でやりとりもしてないけど、今後もしかしたらまた連絡を取るかも、という人だけ。ってことか?

 

  と、迷った挙句、「疎遠な人の名刺を取っておくのに、付き合いがある人の名刺を捨てるのはヘンだ」とか思って、②だけ捨て、①も③も取っておくことになる。

  なので、名刺、あんまり減らない。

 

  ということを、数ヵ月おきにくり返している。

  そして、名刺という習慣、なんで今もなくならないんだろう? と考える。

  先に書いたように、一度メールでやり取りすれば当然メアドの記録は残るし、多くの場合、メールを送ってきた人の住所や電話番号も文末に入っている。だから、名刺を保存しておく必要はない。

  仕事ではあんまりやらないけど、twitterのDMで連絡を取ることもあるし、作ってほったらかしだけどFACEBOOKのページもあるし。

 

  でも、初対面のあいさつをする時は、確かに名刺って便利だから、じゃあ、その時のためだけの道具と割りきって、一度メールを交換し終わったら捨てればいいのか。

  という結論に辿り着くんだけど、そう割り切れなくて、結局、捨てられないのだった。

  「普段電話でしかやり取りしないけど、たまーに住所が必要になる」みたいな人も、ごくわずかだけど、いるし。

 

  にしても、メールやネットがなかった時代の方が、1年に1回とか決めて、豪快にガサッと名刺を処分していた気がする。便利になった分ややこしくもなったということだ。というのは、結論が凡庸すぎて、自分でもちょっとどうかと思うが。

 

  そういえば、最近知り合って月にいっぺんぐらい飲みに行くようになった、本業は会社員・副業で文筆、という知人がいるんだけど、彼は名刺は会社員のほうしか持っていない。で、いつまで経ってもその名刺をくれない。

  なので、3回目ぐらいで「名刺くれればいいじゃん!」とか言って半ば無理矢理もらった。

  でも、それまで彼とはTwitterのDMでやり取りしていたし、その中で携帯番号も交換していたので、名刺、もしもらう必要があったとしたら、たとえば「彼が僕の目の前でクルマに跳ね飛ばされたので、救急車を呼んだあと、彼の会社に連絡を入れる」みたいな緊急時くらいなのだった。

  そうか。あげる必要がなかったから、なかなかくれなかったのか。

 

  それから、レアな名刺というのもあります。

  相手が有名人だったり、有名人になって名刺を持たなくなったけど、昔は持っていたり。

  後者の例でいうと、現THE STARBEMS日高央のサラリーマン時代の名刺、彼がBEAT CRUSADERSでメジャー・ブレイクしたしばらくあとまで持っていたんだけど、そのあとどこかへなくしてしまったのが、いまだに惜しいです。

 

   あと、亡くなった方の名刺って、なんか捨てられないですよね。

8/10(水)渋谷クラブクアトロ、アナログフィッシュ『Natsufish』ツアーのセットリストなど

  アナログフィッシュが毎年夏に行っている恒例ライブ『Natsufish』、去年まで東京だけだったが今年は東名阪で開催、そのファイナル。

  で、今年は渋谷のライブに関しては、事前にファンからオーダーを募って、その投票上位5曲を必ず演奏します、という企画あり。

  公式サイトに「どんなにレア曲でも構いません」という記述があったが、見事にそのとおりになり、下岡晃、「また見事にやりづらい曲ばかりを……」とMCで漏らしておられました。みんな笑っていました。

  というわけで、以下のようなセットリストでした。

 

1.PHASE

2.F.I.T.

3.こうずはかわらない

4.No Rain(No Rainbow)

5.LOW

6.Will

7.ロックンロール

8.TOWN

9.No Way

10.Good bye Girlfriend

11.Ring

12.Tired

13.Iwashi

14.ジョイナー

15.マテンロー

16.Life goes on

17.Light Bright

18.最近のぼくら

19.There She Goes(La La La)

20.アンセム

21.Fine

22.Hybrid

23.抱きしめて

 

アンコール

24.行くのさ

 

アンコール2

25.出かけた

26.Nightfever

 

  6月25日新代田FEVERのトリプルファイヤーとの対バン、「電気グルーヴの映画のDVD/Blu-rayの購入者特典、大根仁監督×砂原良徳のトークショー@代官山蔦屋書店の司会」という仕事が入って行けなかったもんで(トリプルファイヤーも観たかった)、今回とても楽しみにしていたのですが、しかし。

  18時に終わるはずの某インタビューが18:45に終わるという事態になり(理由は先方の遅刻。アーティストは責めないがマネージャーは責めたい気持ちです)、頭3曲、観れませんでした。

  クアトロに着いたら、よりによって超大好きな「No Rain(No Rainbow)」がもう始まっちゃっていて、寄った居酒屋が値段の割に酷いもんだったあたりでホールのドアを開けました。ああもう。なんで前半にやるかなあこんな最新のキラーチューンを。遅れる方が悪いが。

 

  で、それ以降は、過去のレア曲なんかもいっぱい聴けて満喫したんだけど、とても楽しかったんだけど、あれいつだっけ、ちょっと前にもレア曲いっぱいやるライブありましたよね。佐々木健太郎がまさかの「スピード」を歌ったりしたやつ。

   あの時も、今回も、観終わった時に「レアですげえ楽しかったけど、次は普通に今の曲をやるアナログフィッシュを観たいな」と、思ってしまうのだ。

  セトリの中で、レアな曲を聴けるのはもちろんうれしいんだけど、ライブでさんざん聴き慣れている最近の曲の方が、それでもうれしいというか。「きたあ!」ってなるというか。

  二度目のアンコールで「出かけた」を下岡晃が歌った時、ああ、これやっぱいい曲だなあ、聴けてよかったなあ、と思ったが、その次に「Nightfever」がプレイされた時、「うわ、やっぱこっちの方がすげえわ!」って興奮してしまうような。

 

  要は、昔のアナログフィッシュがよくないわけじゃないけど、今があまりにもよいのでそう感じてしまう、というだけの話なんですが。

  で、アナログフィッシュ、自分たちでもそう判断しているから、普段は昔の曲をあんまりやらないバンドになっていて、それだとちょっとナンなのでたまにはこういうライブもやりましょう、という趣旨なわけなので、このライブを観てそんなことを感じること自体が、「だったら観に来るな」という話なんですが。

  でも本当に、今のアナログフィッシュっていいんだなあ、よくなり続けているし大きく変化し続けているんだなあ、と、改めて痛感した。

 

  あと2点。

  まず、お客さんたちの温度、なぜかとても高かった。終演後に本人たちにきいたら、以前と顔ぶれが変わってる感じはしなかった、でも確かに温度が高く感じた、おかげでやりやすかったし、いいライブにできた、みたいなことを言っていた。最近ファンの温度が上がっている、ということなんだろうか。

  そして佐々木健太郎、おそろしく声が出ていた。ちょっとびっくりするくらい。

  もともとでかくてよく通る声だが、さらにでかくて、さらにめちゃめちゃ通る強い歌になりつつある、そういう上昇カーブを描いている。年齢を考えると、そろそろノドが衰え始めたりしそうなもんなのに。なんなんだ。

  あと、テンション上がりすぎて、MCのたびに興奮して何言ってんだかわけわかんないことになっていて、そのさまを見て下岡晃&斉藤州一郎が笑っている感じも、なんかよかったです。

スピッツとユニコーンと石野卓球のニューアルバム、そしてサニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』について

  先々週スピッツ、先週石野卓球サニーデイ・サービス、今週はユニコーン、と、うれしいニューアルバムだらけでリピートして聴くのが忙しい、中年邦楽ロックファンあるある。

 

  と、8月9日にツイートした。スピッツ『醒めない』が7/27、石野卓球『LUNATIQUE』とサニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』が8/3、そしてユニコーン『ゅ 13-14』が8/10、と、すばらしいアルバムがどんどん出たことについて、そう書いたのだった。

 

  で。スピッツは、エンタメステーションにアルバム・レビューを書いた。

entertainmentstation.jp

   ユニコーンは、週刊SPA! とRO69とリアルサウンドにアルバムレビューを書いたし、CREAタワーレコードのフリーペーパー、DI:GA、DI:GA onlineでインタビューをした。

ro69.jp

realsound.jp

digaonline.jp

 

  石野卓球は、レビューとかは書いていないが、日刊SPA! でインタビューをした。

 

nikkan-spa.jp

  内容が内容なだけに、いわゆる「めちゃくちゃバズった」みたいなことになったようです。

  SPA! 編集部の担当から、お礼のメールが来ました。

  「編集長からも『ぜひ今後もこういったインタビューをお願いします』と、ことづてを受け取りました」

  だそうです。

  すみません、これをしょっちゅうやるのは無理です、あらゆる意味で。

 

  で。サニーデイ・サービスに関しては、ROCKIN’ON JAPAN10月号で曽我部恵一にインタビューしたんだけど、それ以外では、特に書いていなかったのだった。

  ということに、今気づいた。

  あ、JAPANのその号の告知、こちらです。

www.rockinon.co.jp

  このインタビュー、曽我部、かなり踏み込んだ話をしてくれています。

  曰く、サニーデイなんてもう終わってると。もっと若くていいバンドいっぱい出てきてるんだから、みんなそういうのを聴けばいいじゃんと。懐メロとして存在していくならわかるけど、新しいアルバム作る意味なんてあるの? と。

  という、己に対する疑問に打ち勝つために、長い時間かけて、さんざん曲を作ってはボツにして、レコーディング予算的にも破綻しながら作り上げた、と、そういう話です。

 そのためだけに、じゃないだろうけど、そういう要素もあったんじゃないかと思う、と。

  ぜひ読んでいただけるとうれしいです。

 

  で、それはそれとして、このサニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』がどういうアルバムなのか、僕なりにも、ちょっとここに書いておきたいと。

 

  これは、曽我部恵一が、様子のおかしい若者に戻ったアルバムです。

 

  曽我部恵一BANDでツアーしまくっている頃、確かシングル「魔法のバスに乗って」とアルバム『キラキラ!』の時だったと思うが、曽我部にインタビューしたら、今の自分がやっているのは、いち生活者としての音楽だ、と言っていた。

  こうして東京で生活していて、働いていて、家族を養って生きている、その毎日から出てきたものであると。

  ワークソングだったり、ライフタイム・ソングだったりする、ということですね。で、ヒップホップからの影響等もあるし、具体性のあることを歌いたい、直接生活や人生に響く言葉を歌いたい、と。

  だから、かつてサニーデイ・サービスでやっていたのは、もっと青春的で、抽象的で、叙情的なものであった、と言ってはいなかったが、まあそういうことになるのだと思う。

  なお、今調べたら、『キラキラ!』は2008年の春リリースで、サニーデイが再結成したのはその年の夏、RISING SUN ROCK FESTIVALで、だった。

 

  で。そのようなソカバンの、あるいはソロのカウンター的な表現として、思春期的で、抽象的で、叙情的な音楽を、サニーデイ・サービスで……ちょっとこのあたり言い方が雑だけどかんべんしてください。とにかく、サニーデイをそういうものとして始動させていたのか、というと、一概にそうは言えないと思う。

 『本日は晴天なり』と『Sunny』の2枚は、そういうところもあったけど、そうじゃないところもあった。

 そして、この『DANCE TO YOU』で、本当にそういうものになった、という。カウンターとかいうよりも、本当にそういう人に戻った、というか。

 

  試しに、『本日は晴天なり』『Sunny』と『DANCE TO YOU』を続けて聴いてみると、よくわかる。びっくりする、音の質感から何から何までが違って。

  『DANCE TO YOU』は、最初にいっぺん完成させたアルバムをボツにしたところでレコーディングの予算がなくなって、曽我部がリハスタ個人練習パソコン持ち込みレコーディング(つまりそのへんの中高生以下みたいな状態)で作り上げたアルバムなので、音質や音の触感が違うわけだが、でも、歌っていること自体、描いているもの自体も、大きく違うと思う。

 

  「これは、曽我部恵一が、様子のおかしい若者に戻ったアルバムです」とさっき書いたが、曽我部さん、44歳なわけで、3児の父でもあるわけで、有限会社スタジオ・ローズの社長でもあるわけで、「若者に戻る」といっても、頭ん中が戻っただけで、立場としては、戻れない。

  という状態って、いち生活者として、はたしてどうなのかと考えると心配にならなくもないが、ただ、そんなようなことによって『DANCE TO YOU』がすごい吸引力を持つアルバムになっているのは事実だと思う。

  そうだ。曽我部ってヤバい奴なんだった、ということを思い出した。

  いや、長い付き合いの中で、彼に失礼なことをされたり、イヤな思いをさせられたりしたことは、僕は一度もない。そういうヤバい奴じゃなくて、表現者としてヤバい奴、ということです。

 

  あと、俺も人の心配していられるような状態じゃねえ。というのもあります。

  だから、よりいっそうこのアルバムが刺さるのかもしれません。