兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

ユニコーン、真心ブラザーズ、ふくろうずのオフィシャルライブレポ

  レコード会社が配信する、オフィシャルニュースのライブレポを書く、という仕事が、時々ある。

   レーベルって普段から、リリースとかのたびに宣伝ニュースみたいなのを、音楽関係のウェブメディアの編集部とかライターとかに、BCCでばーっと送るところが多いのですが、「初の武道館大成功!」とか「ツアーファイナル大盛況!」とかであちこちで取り上げてほしい、という時、ライブレポ的な文章と写真を各メディアに送ることがあるのですね。

  で、そのような宣伝方法が始まった頃は、そのレーベルのウェブ宣伝担当が書いていたりしたんだけど……いや、今でも書いてる人、多いと思うけど、最近はそのレポを外部のライターに委託する、ということもあって、その依頼をいただいて書いたりする、ということです。

   という仕事を、最近3本やったので、ここにまとめて残しておこうと。

  なお、こういうのって、レーベルからの宣伝資料として送られるものなので、基本的に「この文章を抜粋しても要約しても編集してもいいです、文末にライターの名前入ってなくてもいいです、ご自由にどうぞ」というものなのですが、文章いじらずそのままアップして、かつ名前も入れてくれる、というところもあるので、それを貼っておきます。

 

 まずユニコーン、12月9日(金)東京国際フォーラムホールA。ツアー『第三パラダイス』のセミファイナル。メディアはSPICEです。

spice.eplus.jp

次、真心ブラザーズ。『GREAT ADVENTURE』リリースから20年なのでその再現ツアーの東京公演、12月6日(火)赤坂BLITZのレポです。

これもSPICE。

spice.eplus.jp

で、次はちょっと前、ふくろうず。11月23日(水・祝)渋谷クラブクアトロ、ニューアルバムの東名阪ツアーのファイナルのレポ。

これはエンタメステーションです。

entertainmentstation.jp

 

  以上です。

  こういう仕事、以前から時々あって、そのたびに「どこにアップされてもいいという発注で書いてるってことは自分のブログにアップしてもいいんだな」と思って、ひととおり音楽メディアに出たあとでここに文章貼ったりしていたんだけど、そのままリンク貼った方がいいな、写真とかも見れるし、と、今さらですが思って、そうしたのでした。

 

12/2(金)リキッドルーム『奥野真哉50年祭 今宵限りの雑種天国』が激豪華だった

  12/2(金)リキッドルームで行われた、『奥野真哉50年祭 今宵限りの雑種天国』に行きました。

  これが公式サイト。

奥野真哉 生誕50年祭『今宵かぎりの雑種天国』特設サイト

 

  で、あまりに楽しくて現場から何度かツイートしたのをここにまとめて貼って、ちょっと補足も入れておこうと。

  では以下、ツイートと補足。

  このツイートをしたあと、BONNIE PINK中川敬と奥野さんのご両親のお祝いコメントも流れました。

  渡辺美里斉藤由貴は、今年3月~4月に仙台・東京・大阪で行われた、1966年生まれ(つまり今年で50歳)ミュージシャン大集合イベント『ROOTS 66』の時、そのバンマンスを奥野さんが務めた縁だと思います。

  ちなみに、『ROOTS 66』3/27日本武道館のレポはこちら。

ro69.jp

 「バンドはYOKOLOCO」というのは、奥野さんがメンバーであるうつみようことYOKOLOCO BAND(ギター:竹安堅一・ベース:グレートマエカワ・ドラム: クハラカズユキ)のことです。このバンドに上記のメンツが曲によって加わったり加わらなかったり、というのが第一部のバンド編成でした。

  1曲目はYOKOLOCOの持ちネタのひとつ、ディープ・パープル「Burn」のカバーでした。後半に派手な鍵盤ソロがあるので、ふさわしい選曲でした。(注:ここ、曲名間違えて最初「Highway Star」って書いてしまっていました。ご指摘いただいて訂正しました。大変失礼いたしました。パープル死ぬほど聴いてる世代のくせに、穴があったら入りたいです)

  なお、「ウエノ『なんで俺MCなの?』」というのは、奥野さんにこの日のスケジュールをきかれて快諾したが、後日「ごめん、グレートに全部頼んでもうてたわ」と電話がかかってきてこうなった、とのこと。

  地球三兄弟はグレートに替わってOTがベースを弾き、おなじみ(でもたぶん『奥田民生50祭』以来だから1年半ぶりくらい)桜井秀俊がギンギンの衣装でハンドマイクで「傷だらけのローラ」を熱唱、のパターンでした。もちろん「♪ローラ~」の部分を「♪真哉~」に変えて。

  ここ、真心→OT加わって地球三兄弟、という流れだったんだけど、奥野さん、「民生くんそれだけで帰るのなんやし」と呼び込んだのが布袋寅泰。事前告知なしだったので場内騒然。前日と前々日がツアーの東京公演=NHKホールで、奥野さん、ツアーのメンバーとして参加している縁で、急遽決まった様子。

  というわけで、ベースがウエノコウジでドラムがクハラカズユキ奥田民生がギター弾きながら歌う横で布袋が弾きまくる「20th Century Boy」、という激レアなことになったのでした。

  「そして休憩」というのは、ここで第1部が終わって、インターバルが入ったということです。

   ここでバンドメンバーが上記のようにチェンジ。で、PESの出演は告知されていたし、ソロアルバムに奥野さんが関わった縁があるので納得だけど、リップの他の3人の登場にびっくりでした。奥野さんのラップという貴重なものも聴けた。あ、志磨遼平と大森靖子のラップも貴重か。

  ちわきまゆみが当時の衣装(ほんとに当時のものを持参されたらしい)で歌う!というのもレアだったし、トータスが昔奥野プロデュースで子供向けに作った歌を歌ったのもレアだったし、シシド・カフカ大森靖子ツインボーカルもレアだったが、それに続いた「3/4毛皮のマリーズシシド・カフカ+勝手ホーンズ+奥野真哉」が「愛のテーマ」と「コミック・ジェネレイション」をやる、というのが、もうこの上もなく激レアでした。僕の隣りのお客さん、あまりのことに泣いておられました。

  このへんに至るともう出てくるゲスト出てくるゲスト、決まって「押してる」「ヤバい」「早くやろう」とおっしゃる状態。タイジさんもおっしゃってました。

  押していた理由は、誰もが指摘していたように、MCのたびに奥野さんが長くしゃべろうとすることだったのですが(彼がサポートしているバンドのライブでMCを振られた時の、長々としゃべって爆笑をさらうあの感じです)、唯一ニートビーツだけは彼らがしゃべりすぎて奥野さんを焦らせる、という一幕あり。

  レピッシュの時は、奥野さん、この日初めて2曲ともサックスを吹く。「鍵盤でサックス」姿に上田現感あり、アガりながらついしみじみ。

  で、アンコールの「ダンシング・クイーン」もYOKOLOCOの定番曲。真城&ようこが金髪ヅラでABBAに扮して歌う。曲が始まる前に奥野さんが「残ってる人出てきてください」と言ったら何人か出てきて、始まってからもゾロゾロ増えていって、最終的には「これ布袋さん以外全員では?」みたいなことになっていた。みんな残ってたのね。

 

  というわけです。4時間オーバー。最初の頃のMCで「これから3時間、お付き合いください」みたいなことを言っていたので、1時間のびたらしい。

  自分の50歳にかこつけてありえないメンバーを集めてありえないセッションを見せてくれた、つまり単にお客さんにありえないくらい心血注いでサービスした、要はそういう時間だったことが、終わってわかりました。

  ありがとうございました。楽しかったー。

サニーデイ・サービス、くるり、ビートたけし、ユニコーン、岡村靖幸のライブを観た

 11月20日(日)から11月26日(土)まで、7日間続けてライブに行った。普段からライブは多いが、これだけ続くのはちょっとめずらしい。

で、そのうち、23日(水祝)のふくろうずと、26日(土)のOfficial髭男dismはレポありで行ったんだけど(ふくろうずはこちら https://entertainmentstation.jp/57461  Official髭男dismはまだです)、それ以外はどこにもなんにも書く予定ない、でももったいないくらい豪華な週だったので、ちょっとずつここに書いておきます。

 

11/20(日)サニーデイ・サービス @ 名古屋クラブクアトロ

東京のリキッドルーム2デイズが、もしかしたら行けなくなるかもしれないスケジュールなので、名古屋まで行った。

このツアーの初日の大阪の翌日、10月22日名古屋ダイアモンドホールフラワーカンパニーズのイベント『ドラゴン・デラックス』でのライブを観たばかりなのに、なんだかすごくびっくりした。ヒリヒリでギリギリな、行きすぎてあっち側に行っちゃいそうな、そんな異様なテンションのステージで。

過去の例で言うと、曽我部が去り際にギターをガシャーン!と投げつけた時みたいな、「キレてる!」「怒ってる?」みたいな緊張感だった時のステージと、やや近いのかもしれないが、それだけではない。「不機嫌」要素だけだと、あんな異様なテンションの張りつめ方にはならないと思う。

演奏がところどころ乱れていたり、アンコールからなぜかベースの音がでかくなってジャンクな音だったりしたが、それらもこのステージのただならぬテンションを表している感じがした。

こんなサニーデイ初めて観たかも、とすら思いながら、終わった瞬間名古屋駅へダッシュし、新幹線に飛び乗って東京に帰りました。

 

11/21(月)くるり @ 渋谷 WWW X

スペースシャワーで放映される招待制のライブ。最近、『京都音博』などで、初代ドラマーもっくんこと森信行が参加していたが、その決定版的なステージで、岸田佐藤ともっくん、あとギターと鍵盤のサポートの5人編成。

もっくん在籍時の曲も、脱退以降の曲も、このメンバーでこの編成でやっていることが、とても自然だった。その自然さにびっくりした。

「あの頃のまま」とかいうわけじゃない。岸田佐藤ももっくんも「あの頃のまま」ではない、という大前提があるし、「あの頃」はまだ存在しなかったもっくん脱退以降の曲もやっているわけだし、そもそも「あの頃」のくるりのライブを何度も観ているので、それと今目の前で行われているライブを比較することもできたが、「あの頃」は全然こんな感じじゃなかった。

にもかかわらず、とても自然に感じられたのが、不思議だったし、楽しかった。バンドっておもしろいなあ、と思った。

 

11/22(火)ビートたけし世田谷区民会館

2014年から行われているビートたけしのライブの4回目、今回はビートたけし責任編集のネットマガジン『お笑いKGB』の会員限定。1回目は渋谷のシブゲキ!、2回目は日経ホール、3回目は浅草公会堂、今回は世田谷区民会館。私、世田谷区民になって26年ですが、初めて足を踏み入れました。

このシリーズライブ、内容に関しては他言無用が参加時のルールなので、書きません。書きませんが、ビートたけしの昔話などのフリートークって、ファン歴35年の者からするとそのほどんとが「知っている」「何度も聴いたり読んだりしてきた」ネタであることが多いんだけど、今回それらの合間にちょいちょい「あ、それ知らない」というのがはさまっていて、うれしかったです。たぶん、言ってなかった事実を明かしたというよりも、話を作ったり膨らませたりしながらしゃべっていくうちに、新たなネタが加わったのだと思います。

なお、このライブ、4回全部観れている。頭の2回の時点では、まだロッキング・オン社の雑誌「SIGHT」の「北野武連載インタビュー」の担当だったので、その関係でお願いしてチケットを取ってもらったんだけど、3回目は自分は抽選を外れたが友人が当て、そして今回は自分で当てた。

今回はハコがでかかったのと会員限定だったことで、それほどすさまじい競争率じゃなかったから当たったのかな、と思いながら、受付で当選ハガキとチケットを交換し、ホールの中に入ったら、3列目でした。やっぱり俺、ここですべての運を使い果たしてる、と思いました。

 

11/24(木)ユニコーン中野サンプラザ

追加公演発表前はここがツアーファイナルだった、中野サンプラザ2デイズの2日目。大きく印象に残ったこと、3つ。

1:このツアー観るの5回目だが、アンコールの内容がほぼ一緒だったの、頭の2回(9/7市川市文化会館大ホール、9/16大宮ソニックシティ大ホール)だけでした。10/15神戸国際会館こくさいホール、10/23オリンパスホール八王子、そしてこの中野サンプラザ、と、3回とも違いました。で、無論、どんどん長くなっていました。

2:中野サンプラザは音がいい。というのは有名な話だし、いつも音いいとは思ってたけど、今日ほどそれを実感した日はなかったかもしれない、と観ながら思った。で、そうか、同じツアーを5回観ると、ほかのホールとの違いがよくわかるのか、と気がついた。バンドのスタッフや、もっといっぱい行っている方からすると言わずもがなだと思うが。

子供の頃、友達のお父さんとかお兄さんがオーディオマニアで、何十万円もするアンプやスピーカーを組み合わせていて、それでアナログレコードを聴かせてもらった時の音を思い出した。そういう感じの鳴りだった。ってなんだそれ。そもそもオーディオがライブの音の再現を目指してるんだから話が逆だろ、ってことだけど、でもパッと連想したのはそれでした。

3:アンコールの某曲の某箇所でEBIが何かひとこと叫ぶのが、いくつかある恒例のひとつになっているが、この日は「ぶっ!!」と変な声を出し、ステージの上も下も「?」が渦巻き、なんともいえない変な空気になる。直後に曲がブレイクにさしかかり、そこでABEDONが問いただしたところ、中野だから「ブロードウェイ!」と叫ぼうとしたのが失敗して「ぶっ!!」になってしまったそうです。ABEDON「どうしてくれるんだよ!」。笑いました。

──ということを終演後にツイートしたが、実はもっと笑ったのは、そのABEDONのツッコミより前だった。「ぶっ!!」と叫んでから曲がブレイクするまでの演奏時が、メンバーひとりずつ一画面に映るタイミングで、EBIは顔がどアップで抜かれていて、「しまった」「やってもうた」「恥ずかしい」という気持ちマックスのうろたえまくった表情が、十数秒にわたって大映しになったのでした。申し訳ないが笑った笑った。

 

11/25(金)岡村靖幸Zepp DiverCity

ツアー初日、にもかかわらずもう完璧に仕上がった、最高の時間だった。

『幸福』リリース以降……いや、そのちょっと前からかもしれないが、過去の名曲と復活以降の新しい曲たちのうち、後者の比率が上がってきた印象があったが、今回もそれ。で、どの曲もいちいちすばらしい。イントロが鳴るたびに「おおっ!」とか「ああっ!」とかつい声が出てしまう感じ。なんだそれは。

恒例のカバーの選曲もよかった、意外で、でもずっぱまりで。

それから、新しい曲たちも、リアレンジされた昔の曲たちも含めて、今の岡村ちゃんのサウンド・プロダクトってほんとに自分の好みだなあと思ったが、いや違う、そもそも俺の好み自体が岡村ちゃんに影響受けまくりながらできあがったものなんだからそれであたりまえだ、ということに、途中で気がついたりもしました。

あと、ギターが長年のメンバー佐藤純朗から新しい人にチェンジしていて、ちょっとびっくりした。

日比谷野外大音楽堂に新しい問題が起きている

  日比谷野外大音楽堂に新しい問題が起きている。

 

  ということを、今年の夏から秋にかけて、何度か日比谷野外大音楽堂に足を運んだことで知った。去年はなぜか日比谷野音に行く機会が少なかったので、僕が知ったのが今年なだけで、実際はもっと前から起きていた可能性もある。

 

  それは何か。音かぶりだ。

  日比谷野音の外、日比谷公園の「第二花壇」「大噴水」などがあるいちばん広いスペース。あそこで催し事をやっていて、そちらにもステージがあって演奏などが行われていて、音がかぶってしまう。という問題です。

  最初にそれに気がついたのは、8月27日のきのこ帝国のワンマンだった。この日、日比谷公園では「第14回 日比谷公園 丸の内音頭大盆踊り大会」という催しが行われており、MCとか曲間のたびに、大音量のその「丸の内音頭」が野音の中までがんがんきこえてきてしまうのだ。

  まあ、じゃまにならないわけがない。何度目かのMCでは佐藤千亜妃も「なんか……すごいですね」と、苦笑していた。

 

  その次は、9月24日のハルカトミユキ。この時は『日韓交流おまつり2016』というイベントの真っ最中。早く着いたのでちょっとのぞいてみたのだが、この場所としては最大級ではないかというくらい大きなステージが組まれており、韓国からやってきた歌って踊るガールズグループやボーイズグループが次から次へとパフォーマンスしている。なのでバック・トラックもあの手の打ち込みで、かなりの音量。

  これ、ハルカトミユキとの食い合せ、よくないなあ……と思ったら、やはり、けっこうじゃましていた。演奏中はあまり気にならないレベルだが、MCの時はうるさい。しかもハルカトミユキ、シリアスなMCもあったりするので、よけいに気になる。

  そういえば1週間前の9月17日に、エレファントカシマシをここで観ているのだが、その時は気にならなかった。今期二度目の『オクトーバーフェスト』をやっている日で、『オクトーバーフェスト』、バンドの生演奏とかもあるんだけど、ステージが小さくて音量的に大したことなかったのか、それともその時間は演奏そのものがなかったのかは、わからないが。

 

  たとえば週末の代々木公園では、ほとんど毎週のように、というか「ふたついっぺんに」という週もあるくらい頻繁に、フードフェスだのフリーマーケットだのが行われている。日比谷公園はそこまでではなかったが、それでも数年前に比べると、目に見えて増えている。前述の『オクトーバーフェスト』は、以前は春から秋にかけて日本各地を巡っていく中で一回日比谷公園で開催されていたが、「今期二度目の」と書いたように、今年は二回来ている。

  東京だけではなく地方も同様で、訪れた先の土地で公園のそばを通って「あ、今日なんかやってる」とか知ること、数年前に比べると目に見えて増えている気がする。

  要は「フードフェス」や「公園等を使った野外のイベント」が全国的に増加傾向にあること、それによって起きている事例のひとつがこれなわけで、ということは、ほかの公園やほかの地方でも、同様のことが起きている可能性もある。

 

  それから、音かぶりって、ステージとステージが近い音楽フェス等でもよく起きる問題ではある。自分の経験としても、お台場で行われた野外のダンス系イベントで一回、地方の野外フェスで一回、「こんなにステージ近くて大丈夫なの?」と思ったらやはり音がかぶりまくりで、どれかひとつのステージの前の方まで行かないとちゃんと聴けなかった、という経験がある。

  運営がしっかりしている老舗の大型フェスでも、ない問題ではない。それを避けるために、隣接するふたつのステージは「片方が本番中は片方が転換」というふうにタイムテーブルが組まれていても、転換中のバンドだってサウンドチェックで音は出すわけで、結局かぶってしまったりする。

  書いていて思い出したが、フジロックにオレンジコートができたばかりの頃、そこに出演した矢野顕子が、隣のフィールド・オブ・ヘブンの音が気になって、MCでそのことに触れていたのを憶えている。そりゃまあ気になりますよね、基本的に歌とピアノだけでパフォーマンスすることが多いミュージシャンなんだから。

  あるいは、ROCK IN JAPAN FESTIVALのGRASS STAGEとBUZZ STAGEも音がかぶる。まあそもそもGRASS STAGEのエリアの中にBUZZ STAGEがあるというレイアウトなので、かぶるのがあたりまえなのだが。で、これに関してはずっとそうなので、前もって「かぶりますよ」と伝えた上でBUZZ STAGEに出るアーティストをブッキングしているのだと思われます。

 

  で。この日比谷野音の例がそれらのフェスと違うのは、「運営が違う複数のステージの音がかぶってしまう」ということだ。だからよりコントロールしづらい。場所を貸しているのは日比谷公園のスタッフ、ということになるが、きっと事前にそこまで考えていなかったのだろう。

  というか、まあ、考えないですよね、そこまで。日比谷公園、都が管理しているわけで、ということは都の職員がその業務にあたっておられるわけなので。イベント業者じゃないし。

 

  ちなみに、僕が今年最後に日比谷野音に行ったのは、10月1日のCaravanだった。

  この日は特に音の出るイベントは行われておらず、ホッとしました。Caravanもどちらかというとアコースティク寄りな音なので。

  でもこれほんと、来年あたりから、もうちょっとシリアスな問題になってくるかもしれない。日比谷野音、なかなか取れない人気会場だけど、「取れたけどその日すんげえうるさいお祭りだ、どうしよう」みたいな。というか、僕が把握していないだけで、もうそんなふうに問題化している可能性もあるか。

 

  あともうひとつ、今年の日比谷野音の大きな問題、「長年据え置きだった売店の缶ビールの価格が400円から450円に上がった」に関しては、都内の他の公園、たとえば砧公園とか駒沢公園とかの売店の缶ビールの単価をまだリサーチできていないので、保留にしておきます。

  なんだ保留って。

10/22フラワーカンパニーズ『DRAGON DELUXE』を観ました

   フラカンが5年前から地元名古屋のダイアモンドホールでゲストを招いて行っているイベント。今年は東京カランコロン、そして盟友(って言ってよいと思います)サニーデイ・サービスが出演。フラカンサニーデイとやるのは、2010年1月に姫路・和歌山・浜松を回った2マンツアー『TEN YEARS AFTER』以来6年ぶり。そうか、東日本大震災よりも前か、あれ。浜松まで観に行ったのを憶えています。

 

  あ、サニーデイが出ることが発表になったちょっとあと、SPICEで鈴木圭介&グレートマエカワと曽我部恵一&田中貴の座談会をやりました。

 未読の方、こちらです。

spice.eplus.jp

  さて当日。フラカンの前説からの「ドラゴーン!」(竹安)「デラーックス!」(お客さん)のコールでスタート。

 トップは東京カランコロン。普段の彼らのライブよりも高い年齢層のお客さんを前に大健闘。「ベースが変態だから注目して」みたいな前説をグレートがしたのも手伝ってか、ベース佐藤全部がのびのびと変態っぷりを……いや、変態と言っていいかどうかはわからないが、少なくとも「様子のおかしい人」とは言っていいと思う。のびのびとその「様子のおかしい人」っぷりを発揮。コック帽かぶって出て来るなり、トランプをばらまいたりする。ある程度狙ってやっていないわけはないと思うが、それが作為的でいやらしい感じには見えない、稀有な愛されキャラ。

  で、その飛び道具っぷりで場をつかんだところで、まっすぐでポップだけどどっか時空がぐにゃっと歪んでいる感のある、いちろー&せんせいのツインボーカル(圭介曰く「デュエット」)で、さらにつかんでいく。あっという間だった。って尺自体そんなに長くなかったんだけど、さらに短く感じる楽しさだった。

 

  次、サニーデイ・サービス。ライブ、最近観慣れているつもりだが、それでもびっくりするくらいすごかった。個人的にサニーデイの曲の中でトップクラスに好きな「baby blue」で始まった、というのもあるが、そのあと「恋におちたら」「I’m a boy」「セツナ」と、どちらかというとしっとりと軽やかな曲が並んでいる、はずなのに、ものすごい熱量とテンション、どの曲も。

  特に「I’m a boy」「セツナ」の、ニューアルバム『DANCE TO YOU』収録曲の2連発、ヤバかった。で、「白い恋人」でたたみかけて、曽我部が曲名を叫んだらみんな大歓声で応えた「青春狂騒走曲」でさらに温度が上がって、「胸いっぱい」で駆け抜けるように終了。

  本番前に楽屋でセトリを見た時は「昨日からツアー始まってるんだし、『DANCE TO YOU』の曲、もっとやればいいのに」と思ったが、フラカンのファンの前でやるということを考えて、こういうセトリにしたんだと思う。で、それが超正しかったことが、オーディエンスのあっついリアクションでわかった。名古屋在住の友人がふたり来ていて、ふたりともサニーデイのライブ初めてだと言っていたが、ふたりとも「こんなにライブすげえバンドだったのか!」と興奮していた。

 

  そしてフラカン。セットリスト書きます。

 

1 冬のにおい

2 消えぞこない

3 すべての若さなき野郎ども

4 ラララで続け!

5 孤高の英雄

6 発熱の男

7 虹の雨あがり

8 三十三年寝太郎BOP

9 NUDE CORE R&R

10 終わらないツアー

 アンコール  11 さよならBABY

 

  圭介、なぜかマントのようなものをかぶって颯爽と現れる。で、のちのMCでグレートに問いただされ、「苫小牧のAEONで買った」と答える。

  で、1曲目で脱いだんだけど、3曲終わったところでいちろー&せんせいが登場するくだりでは、せんせーがそのマントを羽織って現れ、大ウケ。そして圭介的に言えばデュエット+1状態で「ラララで続け!」。あの圭介特有の「ラップじゃなくて早い語りみたいな歌」がある曲で歌いにくいだろうに、いちろー、見事な歌いこなしっぷり。フラカンがむちゃぶりしたのかな、と思ったが、「何曲か候補を出したらこれを選んでくれた」ことをグレートが明かす。

  ふたりと入れ替わりに、曽我部がオンステージ。竹安と小西の位置には絨毯が敷いてあるのに圭介とグレートのところにはないことなどを延々といじってから、「孤高の英雄」をハンドマイクで歌いまくる。こんな声出るのか曽我部!と言いたくなるすんごい熱唱っぷり。曲に入る前にグレートが「歌詞の最後の『がんばれ圭介』を『がんばれ恵一』にしてもいい?」と曽我部に許可をとる──というフリがあったので、その瞬間に圭介がフロアにマイクを向けると絶叫のような「がんばれ恵一!」が返ってくる、という、なかなかの光景でした。

  久々の「虹の雨あがり」、そして「三十三年寝太郎BOP」「NUDE CORE R&R」「終わらないツアー」とライブ・アンセムを連打して本編終了。アンコールは「さよならBABY」で、おなじみ「♪ラーラーラーララーララー」の大合唱で気分よく、かつちょっと感傷的にしめくくられた。「深夜高速」と「真冬の盆踊り」をやらないで(つまりその2曲に頼らないで)いかにいいライブをやるか、ということに最近のフラカンはトライしたりしなかったりしつつステージに立っているが、それでうまくいった夜だったと言えましょう。

 

   あ、あと、新曲やった! 3曲目、「すべての若さなき野郎ども」。「消えぞこない」もだし、最近なんかそんな曲ばっかり作ってるな鈴木圭介。まさにタイトルどおりのすてきな曲でした。

 

  それから。グレートが「この『DRAGON DELUXE』、いつか『DRAGON DELUXE DELUXE』みたいなやつをやりたいんだ」と言っていた。要はもっとでかい規模でやりたいということですね。「だから『でらDRAGON DELUXE』でもいいんだけど』」だそうです。

  というように、彼らが何か大きなことをやろうとするたびに「やめた方がいいって!」「後ろだてないんだから君たちは!」「リスクそのまんま4人に来るんだから」などと止めに回る習性が私にはあるのですが、これまでの長い付き合いの中でもっとも猛反対した2015年12月19日の日本武道館ワンマンが、ソールドアウトで大成功に終わったという前科があるので、ただ楽しみに待とうと思います、もう。

2016年の夏はあちこちに行った

  夏になると、フェスでウロウロあちこちに行く。というのは毎年そうだが、今年はいつもに増して、フェス以外も含めて、どっかに行くことがやたら多かった。

 なのでまとめてみた。

 

6/4(土) 『TAICOCLUB』長野県木曽郡木祖村こだまの森

7/8(土) フラワーカンパニーズ 那覇 桜坂セントラル

7/22(金)~24(日) 『FUJI ROCK FESTIVAL ‘16』 苗場スキー場

7/30(土)・31(日) ユニコーン『ABEDON50祭』 山形市総合スポーツセンター

8/6(土)・7(日) 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』 国営ひたち海浜公園

8/13(土)・14(日) 『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』 国営ひたち海浜公園

8/20(土)・21(日) 『SUMMERSONIC 2016』 QVCマリンフィールド&幕張メッセ

8/28(日) 『WORLD HAPPINESS』 江東区 夢の島公園陸上競技場

9/3(土) 『OTODAMA’16 音泉魂 –池田の変?-』 大阪 泉大津フェニックス

9/18(土) 『京都音楽博覧会京都市 梅小路公園

10/2(日) エレファントカシマシ ZEPP NAMBA

10/8(土)・9(日) 『朝霧JAM』 静岡県富士宮市 朝霧アリーナ

10/15(土) ユニコーン 神戸国際会館こくさいホール

 

 こんなに行ったのか。おお、すごい。売れっ子。

 と、一瞬自分でも錯覚しそうになるが、このうち仕事の依頼ありきで行ったのは、『ABEDON50祭』、『ROCK IN JAPAN FESTIVAL 2016』×2、エレファントカシマシ大阪、ユニコーン神戸だけ。

 あ、『OTODAMA』は、せっかく大阪に行くというので翌日にラジオの収録をくっつけたり、後日「来られたんですね、じゃあ何か書いてください」とオファーをいただいたりしたので、後付けでなんとなく仕事っぽくなった。あと『京都音博』も、行ったあとに書くことになったが、それ以外はすべて、ただ行きたくて行ったやつ。

 なので、フェスシーズンが音楽ライターの稼ぎ時とするならば、プラマイで考えると大赤字です、私の場合。いいんですが、楽しかったから。

 

 にしても、こんなにあちこち行ったの、会社員の頃とか学生時代とか含めても、初めてかも。そうか、6月から10月までの間で、こんなにあちこちのホテルとかカプセルホテルとかテントとかに泊まったのか、俺は(泊まる必要のない『WORLD HAPPINESS』を除く。サマソニは夜中遊びたい一心でホテルとりました)。まあバンドやそのスタッフのみなさんと比べたら、足元にも及ばないが。

 

 で、その「泊まり」に関して。

 エレカシの大阪と、ユニコーンの神戸。前者はバンドのスタッフがホテルを押さえてくれた。後者は自分でどこかに泊まって、あとで経費として請求してください、ということになった。

 しかし。どちらも日曜で、17時開演だった。ということはどうなるか。終演しても19時半とか20時くらいで、「これ余裕で東京に帰れたじゃん」ということになるのです。でも宿、押さえちゃってるし。

 ユニコーンの方は、ライブ後のメシについて行かせてもらったことと、そのあとさらに一軒お供させていただいた場でのあれこれを原稿に使えたので、まだ「泊まった意味がありました」と主張できなくはないのだが、エレカシの方はただライブ観るだけが仕事だったから、ライブ終了と同時に仕事も終了。まだ20時前。東京に帰れる。でもそれだとホテルがもったいない。

 しょうがないので(ってことはないけど)、同じくライブを観に来ていたABCラジオ『よなよな』火曜の鈴木淳史&原偉大コンビ及びその番組スタッフの方などとともに、ムダに激しく飲酒して終わりました。途中から記憶がありません。

  そういえば4/10にBUMP OF CHICKENの京セラドーム大阪に行った時も「うわ、これ全然帰れたなあ」と、宿泊費を出してくれる某誌に対して申し訳ない気持ちになった。

 

  土日のライブは開演時間を早くする、というのは、今やデフォルトになっている。東京などの大会場の場合、遠くから来てくれる人がその日のうちに帰れるように、という配慮もあってそうしているのだと思う。あと、撤収が早く終わるとかもあるかもしれない。

 自分的にも、早く始まって早く終わることにデメリットなど何ひとつない、と思っていたが、こんなふうに困ることもあることを知りました。まあ、困るうちに入らないようなことだけど。とりあえず次からは「これ、その日のうちに帰れちゃいますけど、どうしましょう?」ときいた方がいいような、却って自分の首を締める気がするような。

 

  なお、このあちこち行きまくり月間は、明日10/22(土)でとりあえず終わります。名古屋ダイアモンドホール『DRAGON DELUXE』、フラワーカンパニーズサニーデイ・サービス東京カランコロンが出演。

9/28渋谷duo、フラカン「フォークの爆発」を観て

  2年ぶり、恒例のアコースティック・ワンマン企画、今年は富山・東京・広島(というか福山)・札幌・山形の6本のツアー。全都道府県ツアー『夢のおかわり』の前半戦と後半戦の間に別のツアーをやっている……いや、後半戦、9月11日の大分からだったから、もう始まってるか。

  とにかく、9月28日東京渋谷duoを観たのですが、まだ2本目なので、ネタバレしない範囲でちょっとだけ。

 

  まず、「これはやるの久々」「次も久しぶりだなあ」みたいなことを圭介が何度も口にするほど、普段なかなかライブで演奏されない、もしくはほぼ演奏されない、あるいはまったく演奏されないようなレア曲、とても多い。シングルのカップリングの曲とか。

  フラカンの場合、「アコースティック縛りにすると自然とそうなる」というのもあると思う。鈴木圭介、いい曲を書こうとするとフォークっぽくなる傾向があるので。だから静かめのいい曲いっぱいあるんだけど、普段のライブがああいう感じなので、そういう曲はセットリストの中にあんまり多くは組み込めない、よってライブで演奏されなくなっていく、ということが多い。

  というか、そうか。そういう曲もライブでやる場がほしい、いい曲いっぱいあるのにもったいない、でも通常のスタンディングでやるのは難しいのでハナから「着席ですよ、アコースティックですよ」と謳ってやればよい──という理由でやっているんですね、『フォークの爆発』。考えたことなかったわ。圭介がいっぱいしゃべりたいからやってるのかと思った。この日も後半のMCが長すぎて、グレートに「おいっ! まだしゃべるんか!」とぶったぎられてたし。

  それから「フォークの爆発」では定例の曲あり、カバー曲も何曲もあり。途中とアンコールでゲスト奥野真哉が登場、アコーディオンを弾いたりもしました。奥野さん、しゃべり多めで、全体のぐだぐだ感にさらに拍車をかけておられました。圭介のブログによると、この次の大阪にも出たそうですね。

 

  で。事前にグレートがブログで「Good Morning This New World」のリコーダー、お客さんに吹いてほしいからみんな100均とかで買って持ってきてほしい、と呼びかけていたが、この日のピーク、まさにそこだった。

  曲をやる前にメロディを教えてみんなで一回練習してから本番に入ったんだけど、ほんとにもう見事なもんでした、きれいに音が揃って。その場で一回練習しただけであんなにきれいに揃うとは思えないので、事前に練習してきた方が多かったのではないかと思う。

  あと、すごいテンションだった、その場が。みなさん、グレートが「すごい緊張感だねえ」と口にするほどの真剣さだったので。一回練習を終えて本番スタートするまでの短いMCの間、みんなプープー練習し始めて、圭介やグレートが「ちょっと、話きいて!」と言うほどでした。笑いました。オーケストラが曲に入る前に各自楽器を鳴らして音を確かめる光景を思い出した。いいもん観たわあ、と拍手しながら思いました。

 

  あとふたつ。

  アンコールで、12月31日に下北沢GARDENで年越しライブを行うことと、2017年4月22日(バンド結成日が4月23日なので、その前日)に日比谷野音ワンマンをやることが、グレートの口から発表されました。

  ちなみにフラカン、これまでに5、6回日比谷野音ワンマンやっていますが、売り切ったこと、一度もありません。日本武道館の話が出た当初、私は反対したのですが、その時「だってあれだけ野音やって一回も売り切ったことないバンドが武道館っておかしいじゃん」と言ったのを憶えているほどです。ほどですってことはないが、それを心配してみんな来てねと言うグレート、それに続いて圭介、「武道館を満員にしたバンドが野音売り切れなかったらおもしろいよね」。おもろないわ! みなさまぜひお越しください。

  もうひとつ。ゲストの奥野さんが「このイベント、いいよねえ。フォークの神様?」とボケた時、圭介、「違う、『トイレの神様』じゃないんだから」と返していましたが、「違う! 『ローザ・ルクセンブルグじゃないんだから』でしょ!」と言いたくなりました。

  ローザの曲名なのです、「フォークの神様」。セカンド『ROSA LUXEMBURGⅡ』収録。もちろん奥野さんは知ってて言ったんだろうし、圭介、名古屋時代はローザの頃のどんとの影響で、顔を白赤青に塗ってライブやってたりしたのに。と、少々残念でした。私が拾わないと誰も拾わないと思うので書いておきます。