兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

1/24渋谷WWW、黒猫チェルシーとフラワーカンパニーズ

   黒猫チェルシーの対バン企画『ネコのコネ』東名阪3本の1本目の東京編。大阪と名古屋の対バンはプププランドで、東京はフラワーカンパニーズ

  MCでグレートマエカワが「自分らの倍くらいの歳のバンド、よくゲストで呼ぶよな」と喜んでいたが、「確かに」とも「でも黒猫チェルシー、そういうバンドだしなあ」とも思いました。

  以下、それぞれちょっとだけレポ。

 

フラワーカンパニーズ

  1恋をしましょう 2消えぞこない 3ロックンロール 4ビューティフルドリーマー 5すべての若さなき野郎ども 6感じてくれ 7東京タワー 8三十三年寝太郎BOP 9終わらないツアー 10真冬の盆踊り

  という、選曲も並びも、最近のフラカン的にはちょっとめずらしいセットリストだった。特にレアなのは6曲目の「感じてくれ」かな。5曲目は昨年10月くらいからライブでやっている新曲。あと私はいつも「ビューティフルドリーマー」もっとやればいいのに、と思っているので、そこもいいポイント。

  というわけでこっちはうれしかったし、内容的には黒猫ファンもしっかり楽しんでくれたようにお見受けしたが、あとで鈴木圭介がブログに「またしても反省点の多いライブだったな・・。」と書いていたのも、まあうなずける内容ではありました。

  圭介のノド、久々に本調子じゃなかったし(2016年は風邪でコンディション悪いライブが奇跡的なくらいなかったのです)。新曲で竹安、ギター間違えてたし。

 

黒猫チェルシー

  1夜更けのトリップ 2恋はPEACH PUNK 3アナグラ 4雲の列車 5涙のふたり 6LIFE IS A MIRACLE 7青のララバイ 8ベリーゲリーギャング 9海沿いの街 10ロンリーローリン アンコール 11ロックバラード 12東京

  5、6、7、9、11が2/22に出るニューアルバム『LIFE IS A MIRACLE』収録曲で、5と7はシングルで出ているので6、9、11がリリース前の曲。ということになるのだが、それらがもうすばらしくよかった。

  「恋はPEACH PUNK」あたりの、数限りなく演奏されてきたライブ・アンセムにまったくひけをとっていない。特に「LIFE IS A MIRACLE」とか(ギター・リフが超かっこいいのです)。

  あと、「涙のふたり」、最初にNHK連続テレビ小説『まれ』で聴いた時は「このドラマとこの役に合わせて書いたんだろうな、素直でかわいい曲だなあ」くらいの感想だったが、その後ライブで聴くたびに「あれ? こんなにいい曲だったっけ?」と驚く。こっちの耳のせいもあるんだけど、バンドによって曲が育っているということでもあるんじゃないかと思う。

  にしても黒猫チェルシー、やってる音楽と世代が全然合っていない、というのは最初からだけど、最近とみに「90年代王道ニッポンロック」感がぐんぐん上がっていて、それとともに演奏もメロディも堂々としてきているのがとてもいい。

  で、彼らが好きだというイエモンウルフルズエレファントカシマシからの影響が感じられるだけじゃなくて、たとえばRCサクセションやなんかの、そのもうひとつ前の世代の、ウルフルズエレカシが影響を受けたロックの匂いまであるのも、とてもよかったりする。

  彼らより上の世代は「そう、この感じ!」ってうれしく聴けるし、下の世代は新鮮にとってはとても新鮮に響くんじゃないかと思う。

 

余談

  終演後にフラカンの楽屋に行ったら、竹安がひとりでギターを弾いていた。

  「なんでライブ終わってから弾いてんの?」「いや、新曲で弾き間違えたから」

  まじめか! と思いました。まあ、まじめなんだけど。

  なお竹安、日本武道館以来定番になったジレをこの日は着ていなかった。着ると暑くて大変で、年も明けたことだし着るのをやめてみたそうです。

  「着た方がいいんじゃない? 身体が締まって見えるよ」と言ったのですが、次のライブでどうなるかは未定。

真心ブラザーズと忌野清志郎の歌詞改変曲について

ファンはご存知だと思うが、真心ブラザーズには2曲、ライブで歌詞を変えて歌われている曲がある。

 ひとつは彼らが最初に世に知られた曲であり、「サマーヌード」と共にもっとも広く親しまれてきた曲、「どかーん」。

 ライブでYO-KINGは、あの曲の歌い出しを「どかーんと一発やってみようよ」と歌うのだ。

 オリジナルは「どかーんと景気よくやってみようよ」だ。音源では、曲の後半の最後の一回では「どかーんと一発」になるが、それ以外、つまり最初の二回は「どかーんと景気よく」だ。

  僕はこの曲が入っているファースト・アルバム『ねじれの位置』のツアーは観れていないが、セカンドの『勝訴』以降のツアーはほとんど観ていると思う。思うが、いつから「景気よく」が「一発」に変わったのか記憶していない。活動休止をはさんで変わったのかもしれないし、もっと前に、しばらく「どかーん」を歌わない時期があって、また歌うようになったら変わっていたのかもしれない。

 

 でも、いずれにせよだ。

「どかーんと景気よくやってみようよ」の方がよくない? 僕はそっちの方が好きなんですが。「ふっとやなことが頭をかすめて ゆううつな気持ちが広がってゆく そんな気持ちをぐっと押えて」からつながる歌詞なんだから、「景気よく」の方が、コントラストはっきり出ていて素敵じゃない?

 と、本人に問うてみたことがあるのだが、「ええ? そうだっけ? まあいいじゃん、だって『どかーんと一発』の方がよくない?」くらいのリアクションだった。

 まあ確かに、あの箇所のメロディにはめるには「景気よく」と6文字詰め込むよりも、「一発」と4文字である方が歌いやすいんだろうな、というのはわかるが。

 

 そしてもう1曲は、彼らのデビューシングルである「うみ」。

 1番のBメロ。「君は僕の腕をつかんで 早くおいでよといわんばかりに先を行くのさ」を、今のYO-KINGはこう歌う。

 「君は僕の前を歩いて 早くおいでよといわんばかりに先を行くのさ」

 どうだろう。これはもうあきらかに、元のバージョンの方がしっくりこないだろうか。 だって今のバージョン、「前を歩いて」と「先を行くのさ」が、意味的にかぶっちゃってるじゃないですか。それに「僕の腕をつかんで」の方が、「早くおいでよ」感が出てるじゃないですか。

 これに関しては、もう本人に訊かなかったが。訊いたところでどうなるものでもないことがわかったし、そもそも「どかーん」ほどライブで頻繁に歌われる曲でもないので。

 

 それに、そもそもこの「リリースした曲の歌詞をあとから変える問題」に関しては、昔、忌野清志郎が、「俺が作った歌だから俺が歌ったとおりが正しいんだ、今作り変えたんだ」という名言を残している。

  確かこれ、ライブで歌詞を間違えた時かなんかの発言だったように記憶しているが、清志郎、これだけではなくて、もっとも有名な曲でも意識的に歌詞を改変していることは、よく知られていますね。

 そう、「雨あがりの夜空に」の1番のサビだ。RCサクセションのブレイクのきっかけとなった1980年リリースのライブアルバム(というか、新作をライブ盤で出したもの)『ラプソディー』では、

 「Oh どうぞ勝手に降ってくれ ポシャるまで Woo いつまで続くのか 見せてもらうさ」

 と歌っているが、清志郎はいつからかそう歌わなくなった。1番のその部分では2番の歌詞を歌い、2番のその部分では3番の歌詞を歌い、3番は「Oh 雨あがりの夜空に吹く風が Woo 早くこいよと俺たちを呼んでる」という歌詞を新たに足して歌っていた。

 

 この1番の歌詞、当時レコード会社のスタッフから言われてこうしたが、本人は納得しておらず、だからライブでそう歌うのに抵抗があって変えた、というのは、のちにインタビューで話していたことなので、ファンにとって周知の事実である。

 で、僕もすっかり「1番歌わないバージョン」に慣れてしまっていて、最初は違う歌詞だったこと自体忘れていたんだけど、2年ほど前に、それを思い出す出来事があったのだった。

 入江悠が監督、主演野村周平、古舘佑太郎や黒猫チェルシー岡本啓佑などが出演した映画『日々ロック』(2014年11月公開)。

 二階堂ふみ演じるヒロイン、宇田川咲が、主人公たちのバンドがライブをやっているところに殴りこんでステージをジャックし、ギターを弾きながら「雨あがりの夜空に」を歌うシーンで、彼女は1番のサビを『ラプソディー』のとおりに歌うのだ。

 「Oh どうぞ勝手に降ってくれ ポシャるまで Woo いつまで続くのか 見せてもらうさ」

と。

 思わず「あ!」ってなった、映画を観ていて。で、これはどっちなんだろう、と考えた。

 宇田川咲の年齡からすると、清志郎が亡くなった時はまだ小学校高学年か中学生くらいだったわけで、ゆえに「雨あがりの夜空に」に最初に触れたのはCD再発盤の『ラプソディー』だった、だから歌詞もオリジナルの方で覚えた、という設定でそう歌わせたのだとしたら、入江悠(もしくは共同脚本の吹原幸太)、大したもんだと思う。

 で、あの『SRサイタマノラッパー』シリーズ(大好きです)の監督なので、ありえなくもないと思う、それ。

 

 その「雨あがりの夜空に」の話と、真心の2曲の話をくっつけて、なんか書けたらおもしろいかも、と思ったはいいが、思ったままで時がすぎてしまっていたのでした。

 そして、こないだCDを整理していて、『ラプソディー』を聴き直して「あ、そういえば」と思いだしたので、こうして書いてみたのですが、書いたからといってどこへも行き着かないのでした。

 今年もどうぞよろしくお願いいたします。

 

 

「ユニコーンツアー2016『第三パラダイス』」のアンコールは「勝手にシンドバッド」だった

  12月17・18日沖縄コンベンション劇場でファイナルを迎えた、ユニコーンのニューアルバム『ゅ 13-14』のリリース・ツアー、「ユニコーンツアー2016『第三パラダイス』」。

  追加公演合わせて全34本のうち、8本観た。9/7市川市文化会館大ホール、9/16大宮ソニックシティ大ホール、10/15神戸国際会館こくさいホール、10/23オリンパスホール八王子、11/24中野サンプラザ、12/9東京国際フォーラムホールA、12/17・18沖縄コンベンション劇場、以上。

  パシフィコ横浜と地元広島を観れなかったのは悔やまれるが、個人的に、同じバンドの同じツアーをこんなに観たのは初めてだった。ROCKIN’ON JAPAN誌が地方でのインタビュー&レポを振ってくれたり、レーベルからオフィシャルニュース原稿のライブレポをご依頼いただいたりして仕事になったから、というのもあったが、単に観たいのもあって。

 

 12/9東京国際フォーラムホールA、オフィシャルニュースのライブレポ(がSPICEにアップされたやつ)と、DI:GA online用のレポ、2本書きました。

両方貼っておきます。 

spice.eplus.jp

digaonline.jp

  で。

  ROCKIN’ON JAPAN誌の記事にも書いたし、上に貼ったレポの中でも触れているが、このツアー(に限ったことじゃないが)、スタート時点からファイナルまでの間で、アンコールがどんどん変わっていき、かつどんどん長くなっていった。ユニコーンのアンコールの定番、いわば「ABEDONショー」的なコーナーが、です。

 

①アンコールの2曲目で「WAO!」をやり、途中で曲がブレイクする。OTはトラックを出す機材のとこにスタンバる。

②ABEDONがメンバーひとりずつ「この方、とっても踊りが上手なんです」と振ると、そのメンバーがOTの出すトラックに合わせて踊ったり芸を披露したりする。

③OTはダンスの代わりにモノマネを強要される。

④最後にABEDONタイム。ツアー途中からマイケル・ジャクソンダンス・ショーになった。

⑤お客さん、ABEDONの指示に合わせ、ツアー後半にようやく完成したグッズ「おどるたいやきくんのタタキ」を赤く光らせつつ&ビビビと振動させつつ、「WAO!」のサビをアカペラで大合唱。

⑥曲に戻る。

 

  追加公演あたりでは、だいたいそのような流れに仕上がっていました。⑤がない時もありましたが。

  ざっくり言うと、音楽に合わせて踊るんだけど、その音楽が頻繁に切り替わるので、それに合わせてアタフタと踊りも切り替えるというネタ。音楽を切り替える役がOT。

  たとえばテッシーだと、「安来節」「白鳥の湖」「映画『雨に唄えば』のテーマ」の3つが切り替わり、それに合わせてバタバタ踊る。EBIは「ローディとふたりでバンビーノのネタからパラパラダンス」という流れだったが、たまにOT、パラパラに入る前にほかの曲を混ぜたりもしていた。

  川西さんの「リアルフェイスマスクのダンサー8人と共に『RUNNNING MANダンス』」は、曲の切り替えはなかったが、ダンスが終わってメンバー同士でハイタッチとかしてたらまた曲が始まってあわてて踊りだす、というギャグになっていた。

  ABEDONのMJ風ショーも同じ構造。「Smooth Criminal」が流れる中、OTが「パン!」「茶!」「ひょっとこ!」というサンプル音を出すとそれに合わせてABEDONやテッシーがパンや茶やひょっとこを指差す、OTが「ワハハハ」と笑い声を出すとそれに合わせたジェスチャー、「ゴキゴキゴキッ」という音を出すと腰を押さえてかがみこむ、という。

 

  こういった「音に合わせて動く」もしくは「途中でいきなり音楽が変わって混乱しつつ必死についていく」というの、昔からテレビのコントとかでよくあった手法である。ユニコーンの面々も子供の頃観ていると思う、きっと。

  それこそドリフターズの『8時だョ! 全員集合』とか。そうだ、観てたはずだ。そういえばアンコールのそのコーナーで、ヒゲダンスの曲も使ってたし──。

 

  と、そこまで考えてから、思い出した。

  そうだ。「勝手にシンドバッド」だ、まさにこれ。

  サザンオールスターズの曲名ではなく、その元になったドリフのギャグの方です。当時大ヒットしていた、沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」の2曲がばんばん切り替わり、志村けんがパニックになりつつそれに合わせて必死に踊る、というヒットギャグがあったのです。

  で、そのヒットギャグを曲名にそのままいただいてデビューしたのがサザンだった、というわけです。

  関口和之が書いた『突然ですがキリギリス』という本に、桑田がこの曲をバンドに持ってきた時の記述がある。「曲名は?」ときいたら桑田が「勝手にシンドバッド」と答えてメンバーがワッと笑った、原坊も一緒に笑ってたが意味がよくわかっていないようだったので解説してあげた、というような。

   要はめっちゃ安直につけたタイトルだったわけだが、サザンがデビューしてから38年が経ち、そのギャグのことなど誰も知らない世の中になっても曲は残っている、というのは、なんかいい話な気がしないでもありません。

  で、もちろんユニコーンはそんなことひとつも意識してないと思うが、その、40年近く前の志村けんのギャグとシンクロしているというのも、なんかいい話な気がしないでもありません。

 

  ではよいお年を。

ユニコーン、真心ブラザーズ、ふくろうずのオフィシャルライブレポ

  レコード会社が配信する、オフィシャルニュースのライブレポを書く、という仕事が、時々ある。

   レーベルって普段から、リリースとかのたびに宣伝ニュースみたいなのを、音楽関係のウェブメディアの編集部とかライターとかに、BCCでばーっと送るところが多いのですが、「初の武道館大成功!」とか「ツアーファイナル大盛況!」とかであちこちで取り上げてほしい、という時、ライブレポ的な文章と写真を各メディアに送ることがあるのですね。

  で、そのような宣伝方法が始まった頃は、そのレーベルのウェブ宣伝担当が書いていたりしたんだけど……いや、今でも書いてる人、多いと思うけど、最近はそのレポを外部のライターに委託する、ということもあって、その依頼をいただいて書いたりする、ということです。

   という仕事を、最近3本やったので、ここにまとめて残しておこうと。

  なお、こういうのって、レーベルからの宣伝資料として送られるものなので、基本的に「この文章を抜粋しても要約しても編集してもいいです、文末にライターの名前入ってなくてもいいです、ご自由にどうぞ」というものなのですが、文章いじらずそのままアップして、かつ名前も入れてくれる、というところもあるので、それを貼っておきます。

 

 まずユニコーン、12月9日(金)東京国際フォーラムホールA。ツアー『第三パラダイス』のセミファイナル。メディアはSPICEです。

spice.eplus.jp

次、真心ブラザーズ。『GREAT ADVENTURE』リリースから20年なのでその再現ツアーの東京公演、12月6日(火)赤坂BLITZのレポです。

これもSPICE。

spice.eplus.jp

で、次はちょっと前、ふくろうず。11月23日(水・祝)渋谷クラブクアトロ、ニューアルバムの東名阪ツアーのファイナルのレポ。

これはエンタメステーションです。

entertainmentstation.jp

 

  以上です。

  こういう仕事、以前から時々あって、そのたびに「どこにアップされてもいいという発注で書いてるってことは自分のブログにアップしてもいいんだな」と思って、ひととおり音楽メディアに出たあとでここに文章貼ったりしていたんだけど、そのままリンク貼った方がいいな、写真とかも見れるし、と、今さらですが思って、そうしたのでした。

 

12/2(金)リキッドルーム『奥野真哉50年祭 今宵限りの雑種天国』が激豪華だった

  12/2(金)リキッドルームで行われた、『奥野真哉50年祭 今宵限りの雑種天国』に行きました。

  これが公式サイト。

奥野真哉 生誕50年祭『今宵かぎりの雑種天国』特設サイト

 

  で、あまりに楽しくて現場から何度かツイートしたのをここにまとめて貼って、ちょっと補足も入れておこうと。

  では以下、ツイートと補足。

  このツイートをしたあと、BONNIE PINK中川敬と奥野さんのご両親のお祝いコメントも流れました。

  渡辺美里斉藤由貴は、今年3月~4月に仙台・東京・大阪で行われた、1966年生まれ(つまり今年で50歳)ミュージシャン大集合イベント『ROOTS 66』の時、そのバンマンスを奥野さんが務めた縁だと思います。

  ちなみに、『ROOTS 66』3/27日本武道館のレポはこちら。

ro69.jp

 「バンドはYOKOLOCO」というのは、奥野さんがメンバーであるうつみようことYOKOLOCO BAND(ギター:竹安堅一・ベース:グレートマエカワ・ドラム: クハラカズユキ)のことです。このバンドに上記のメンツが曲によって加わったり加わらなかったり、というのが第一部のバンド編成でした。

  1曲目はYOKOLOCOの持ちネタのひとつ、ディープ・パープル「Burn」のカバーでした。後半に派手な鍵盤ソロがあるので、ふさわしい選曲でした。(注:ここ、曲名間違えて最初「Highway Star」って書いてしまっていました。ご指摘いただいて訂正しました。大変失礼いたしました。パープル死ぬほど聴いてる世代のくせに、穴があったら入りたいです)

  なお、「ウエノ『なんで俺MCなの?』」というのは、奥野さんにこの日のスケジュールをきかれて快諾したが、後日「ごめん、グレートに全部頼んでもうてたわ」と電話がかかってきてこうなった、とのこと。

  地球三兄弟はグレートに替わってOTがベースを弾き、おなじみ(でもたぶん『奥田民生50祭』以来だから1年半ぶりくらい)桜井秀俊がギンギンの衣装でハンドマイクで「傷だらけのローラ」を熱唱、のパターンでした。もちろん「♪ローラ~」の部分を「♪真哉~」に変えて。

  ここ、真心→OT加わって地球三兄弟、という流れだったんだけど、奥野さん、「民生くんそれだけで帰るのなんやし」と呼び込んだのが布袋寅泰。事前告知なしだったので場内騒然。前日と前々日がツアーの東京公演=NHKホールで、奥野さん、ツアーのメンバーとして参加している縁で、急遽決まった様子。

  というわけで、ベースがウエノコウジでドラムがクハラカズユキ奥田民生がギター弾きながら歌う横で布袋が弾きまくる「20th Century Boy」、という激レアなことになったのでした。

  「そして休憩」というのは、ここで第1部が終わって、インターバルが入ったということです。

   ここでバンドメンバーが上記のようにチェンジ。で、PESの出演は告知されていたし、ソロアルバムに奥野さんが関わった縁があるので納得だけど、リップの他の3人の登場にびっくりでした。奥野さんのラップという貴重なものも聴けた。あ、志磨遼平と大森靖子のラップも貴重か。

  ちわきまゆみが当時の衣装(ほんとに当時のものを持参されたらしい)で歌う!というのもレアだったし、トータスが昔奥野プロデュースで子供向けに作った歌を歌ったのもレアだったし、シシド・カフカ大森靖子ツインボーカルもレアだったが、それに続いた「3/4毛皮のマリーズシシド・カフカ+勝手ホーンズ+奥野真哉」が「愛のテーマ」と「コミック・ジェネレイション」をやる、というのが、もうこの上もなく激レアでした。僕の隣りのお客さん、あまりのことに泣いておられました。

  このへんに至るともう出てくるゲスト出てくるゲスト、決まって「押してる」「ヤバい」「早くやろう」とおっしゃる状態。タイジさんもおっしゃってました。

  押していた理由は、誰もが指摘していたように、MCのたびに奥野さんが長くしゃべろうとすることだったのですが(彼がサポートしているバンドのライブでMCを振られた時の、長々としゃべって爆笑をさらうあの感じです)、唯一ニートビーツだけは彼らがしゃべりすぎて奥野さんを焦らせる、という一幕あり。

  レピッシュの時は、奥野さん、この日初めて2曲ともサックスを吹く。「鍵盤でサックス」姿に上田現感あり、アガりながらついしみじみ。

  で、アンコールの「ダンシング・クイーン」もYOKOLOCOの定番曲。真城&ようこが金髪ヅラでABBAに扮して歌う。曲が始まる前に奥野さんが「残ってる人出てきてください」と言ったら何人か出てきて、始まってからもゾロゾロ増えていって、最終的には「これ布袋さん以外全員では?」みたいなことになっていた。みんな残ってたのね。

 

  というわけです。4時間オーバー。最初の頃のMCで「これから3時間、お付き合いください」みたいなことを言っていたので、1時間のびたらしい。

  自分の50歳にかこつけてありえないメンバーを集めてありえないセッションを見せてくれた、つまり単にお客さんにありえないくらい心血注いでサービスした、要はそういう時間だったことが、終わってわかりました。

  ありがとうございました。楽しかったー。

サニーデイ・サービス、くるり、ビートたけし、ユニコーン、岡村靖幸のライブを観た

 11月20日(日)から11月26日(土)まで、7日間続けてライブに行った。普段からライブは多いが、これだけ続くのはちょっとめずらしい。

で、そのうち、23日(水祝)のふくろうずと、26日(土)のOfficial髭男dismはレポありで行ったんだけど(ふくろうずはこちら https://entertainmentstation.jp/57461  Official髭男dismはまだです)、それ以外はどこにもなんにも書く予定ない、でももったいないくらい豪華な週だったので、ちょっとずつここに書いておきます。

 

11/20(日)サニーデイ・サービス @ 名古屋クラブクアトロ

東京のリキッドルーム2デイズが、もしかしたら行けなくなるかもしれないスケジュールなので、名古屋まで行った。

このツアーの初日の大阪の翌日、10月22日名古屋ダイアモンドホールフラワーカンパニーズのイベント『ドラゴン・デラックス』でのライブを観たばかりなのに、なんだかすごくびっくりした。ヒリヒリでギリギリな、行きすぎてあっち側に行っちゃいそうな、そんな異様なテンションのステージで。

過去の例で言うと、曽我部が去り際にギターをガシャーン!と投げつけた時みたいな、「キレてる!」「怒ってる?」みたいな緊張感だった時のステージと、やや近いのかもしれないが、それだけではない。「不機嫌」要素だけだと、あんな異様なテンションの張りつめ方にはならないと思う。

演奏がところどころ乱れていたり、アンコールからなぜかベースの音がでかくなってジャンクな音だったりしたが、それらもこのステージのただならぬテンションを表している感じがした。

こんなサニーデイ初めて観たかも、とすら思いながら、終わった瞬間名古屋駅へダッシュし、新幹線に飛び乗って東京に帰りました。

 

11/21(月)くるり @ 渋谷 WWW X

スペースシャワーで放映される招待制のライブ。最近、『京都音博』などで、初代ドラマーもっくんこと森信行が参加していたが、その決定版的なステージで、岸田佐藤ともっくん、あとギターと鍵盤のサポートの5人編成。

もっくん在籍時の曲も、脱退以降の曲も、このメンバーでこの編成でやっていることが、とても自然だった。その自然さにびっくりした。

「あの頃のまま」とかいうわけじゃない。岸田佐藤ももっくんも「あの頃のまま」ではない、という大前提があるし、「あの頃」はまだ存在しなかったもっくん脱退以降の曲もやっているわけだし、そもそも「あの頃」のくるりのライブを何度も観ているので、それと今目の前で行われているライブを比較することもできたが、「あの頃」は全然こんな感じじゃなかった。

にもかかわらず、とても自然に感じられたのが、不思議だったし、楽しかった。バンドっておもしろいなあ、と思った。

 

11/22(火)ビートたけし世田谷区民会館

2014年から行われているビートたけしのライブの4回目、今回はビートたけし責任編集のネットマガジン『お笑いKGB』の会員限定。1回目は渋谷のシブゲキ!、2回目は日経ホール、3回目は浅草公会堂、今回は世田谷区民会館。私、世田谷区民になって26年ですが、初めて足を踏み入れました。

このシリーズライブ、内容に関しては他言無用が参加時のルールなので、書きません。書きませんが、ビートたけしの昔話などのフリートークって、ファン歴35年の者からするとそのほどんとが「知っている」「何度も聴いたり読んだりしてきた」ネタであることが多いんだけど、今回それらの合間にちょいちょい「あ、それ知らない」というのがはさまっていて、うれしかったです。たぶん、言ってなかった事実を明かしたというよりも、話を作ったり膨らませたりしながらしゃべっていくうちに、新たなネタが加わったのだと思います。

なお、このライブ、4回全部観れている。頭の2回の時点では、まだロッキング・オン社の雑誌「SIGHT」の「北野武連載インタビュー」の担当だったので、その関係でお願いしてチケットを取ってもらったんだけど、3回目は自分は抽選を外れたが友人が当て、そして今回は自分で当てた。

今回はハコがでかかったのと会員限定だったことで、それほどすさまじい競争率じゃなかったから当たったのかな、と思いながら、受付で当選ハガキとチケットを交換し、ホールの中に入ったら、3列目でした。やっぱり俺、ここですべての運を使い果たしてる、と思いました。

 

11/24(木)ユニコーン中野サンプラザ

追加公演発表前はここがツアーファイナルだった、中野サンプラザ2デイズの2日目。大きく印象に残ったこと、3つ。

1:このツアー観るの5回目だが、アンコールの内容がほぼ一緒だったの、頭の2回(9/7市川市文化会館大ホール、9/16大宮ソニックシティ大ホール)だけでした。10/15神戸国際会館こくさいホール、10/23オリンパスホール八王子、そしてこの中野サンプラザ、と、3回とも違いました。で、無論、どんどん長くなっていました。

2:中野サンプラザは音がいい。というのは有名な話だし、いつも音いいとは思ってたけど、今日ほどそれを実感した日はなかったかもしれない、と観ながら思った。で、そうか、同じツアーを5回観ると、ほかのホールとの違いがよくわかるのか、と気がついた。バンドのスタッフや、もっといっぱい行っている方からすると言わずもがなだと思うが。

子供の頃、友達のお父さんとかお兄さんがオーディオマニアで、何十万円もするアンプやスピーカーを組み合わせていて、それでアナログレコードを聴かせてもらった時の音を思い出した。そういう感じの鳴りだった。ってなんだそれ。そもそもオーディオがライブの音の再現を目指してるんだから話が逆だろ、ってことだけど、でもパッと連想したのはそれでした。

3:アンコールの某曲の某箇所でEBIが何かひとこと叫ぶのが、いくつかある恒例のひとつになっているが、この日は「ぶっ!!」と変な声を出し、ステージの上も下も「?」が渦巻き、なんともいえない変な空気になる。直後に曲がブレイクにさしかかり、そこでABEDONが問いただしたところ、中野だから「ブロードウェイ!」と叫ぼうとしたのが失敗して「ぶっ!!」になってしまったそうです。ABEDON「どうしてくれるんだよ!」。笑いました。

──ということを終演後にツイートしたが、実はもっと笑ったのは、そのABEDONのツッコミより前だった。「ぶっ!!」と叫んでから曲がブレイクするまでの演奏時が、メンバーひとりずつ一画面に映るタイミングで、EBIは顔がどアップで抜かれていて、「しまった」「やってもうた」「恥ずかしい」という気持ちマックスのうろたえまくった表情が、十数秒にわたって大映しになったのでした。申し訳ないが笑った笑った。

 

11/25(金)岡村靖幸Zepp DiverCity

ツアー初日、にもかかわらずもう完璧に仕上がった、最高の時間だった。

『幸福』リリース以降……いや、そのちょっと前からかもしれないが、過去の名曲と復活以降の新しい曲たちのうち、後者の比率が上がってきた印象があったが、今回もそれ。で、どの曲もいちいちすばらしい。イントロが鳴るたびに「おおっ!」とか「ああっ!」とかつい声が出てしまう感じ。なんだそれは。

恒例のカバーの選曲もよかった、意外で、でもずっぱまりで。

それから、新しい曲たちも、リアレンジされた昔の曲たちも含めて、今の岡村ちゃんのサウンド・プロダクトってほんとに自分の好みだなあと思ったが、いや違う、そもそも俺の好み自体が岡村ちゃんに影響受けまくりながらできあがったものなんだからそれであたりまえだ、ということに、途中で気がついたりもしました。

あと、ギターが長年のメンバー佐藤純朗から新しい人にチェンジしていて、ちょっとびっくりした。

日比谷野外大音楽堂に新しい問題が起きている

  日比谷野外大音楽堂に新しい問題が起きている。

 

  ということを、今年の夏から秋にかけて、何度か日比谷野外大音楽堂に足を運んだことで知った。去年はなぜか日比谷野音に行く機会が少なかったので、僕が知ったのが今年なだけで、実際はもっと前から起きていた可能性もある。

 

  それは何か。音かぶりだ。

  日比谷野音の外、日比谷公園の「第二花壇」「大噴水」などがあるいちばん広いスペース。あそこで催し事をやっていて、そちらにもステージがあって演奏などが行われていて、音がかぶってしまう。という問題です。

  最初にそれに気がついたのは、8月27日のきのこ帝国のワンマンだった。この日、日比谷公園では「第14回 日比谷公園 丸の内音頭大盆踊り大会」という催しが行われており、MCとか曲間のたびに、大音量のその「丸の内音頭」が野音の中までがんがんきこえてきてしまうのだ。

  まあ、じゃまにならないわけがない。何度目かのMCでは佐藤千亜妃も「なんか……すごいですね」と、苦笑していた。

 

  その次は、9月24日のハルカトミユキ。この時は『日韓交流おまつり2016』というイベントの真っ最中。早く着いたのでちょっとのぞいてみたのだが、この場所としては最大級ではないかというくらい大きなステージが組まれており、韓国からやってきた歌って踊るガールズグループやボーイズグループが次から次へとパフォーマンスしている。なのでバック・トラックもあの手の打ち込みで、かなりの音量。

  これ、ハルカトミユキとの食い合せ、よくないなあ……と思ったら、やはり、けっこうじゃましていた。演奏中はあまり気にならないレベルだが、MCの時はうるさい。しかもハルカトミユキ、シリアスなMCもあったりするので、よけいに気になる。

  そういえば1週間前の9月17日に、エレファントカシマシをここで観ているのだが、その時は気にならなかった。今期二度目の『オクトーバーフェスト』をやっている日で、『オクトーバーフェスト』、バンドの生演奏とかもあるんだけど、ステージが小さくて音量的に大したことなかったのか、それともその時間は演奏そのものがなかったのかは、わからないが。

 

  たとえば週末の代々木公園では、ほとんど毎週のように、というか「ふたついっぺんに」という週もあるくらい頻繁に、フードフェスだのフリーマーケットだのが行われている。日比谷公園はそこまでではなかったが、それでも数年前に比べると、目に見えて増えている。前述の『オクトーバーフェスト』は、以前は春から秋にかけて日本各地を巡っていく中で一回日比谷公園で開催されていたが、「今期二度目の」と書いたように、今年は二回来ている。

  東京だけではなく地方も同様で、訪れた先の土地で公園のそばを通って「あ、今日なんかやってる」とか知ること、数年前に比べると目に見えて増えている気がする。

  要は「フードフェス」や「公園等を使った野外のイベント」が全国的に増加傾向にあること、それによって起きている事例のひとつがこれなわけで、ということは、ほかの公園やほかの地方でも、同様のことが起きている可能性もある。

 

  それから、音かぶりって、ステージとステージが近い音楽フェス等でもよく起きる問題ではある。自分の経験としても、お台場で行われた野外のダンス系イベントで一回、地方の野外フェスで一回、「こんなにステージ近くて大丈夫なの?」と思ったらやはり音がかぶりまくりで、どれかひとつのステージの前の方まで行かないとちゃんと聴けなかった、という経験がある。

  運営がしっかりしている老舗の大型フェスでも、ない問題ではない。それを避けるために、隣接するふたつのステージは「片方が本番中は片方が転換」というふうにタイムテーブルが組まれていても、転換中のバンドだってサウンドチェックで音は出すわけで、結局かぶってしまったりする。

  書いていて思い出したが、フジロックにオレンジコートができたばかりの頃、そこに出演した矢野顕子が、隣のフィールド・オブ・ヘブンの音が気になって、MCでそのことに触れていたのを憶えている。そりゃまあ気になりますよね、基本的に歌とピアノだけでパフォーマンスすることが多いミュージシャンなんだから。

  あるいは、ROCK IN JAPAN FESTIVALのGRASS STAGEとBUZZ STAGEも音がかぶる。まあそもそもGRASS STAGEのエリアの中にBUZZ STAGEがあるというレイアウトなので、かぶるのがあたりまえなのだが。で、これに関してはずっとそうなので、前もって「かぶりますよ」と伝えた上でBUZZ STAGEに出るアーティストをブッキングしているのだと思われます。

 

  で。この日比谷野音の例がそれらのフェスと違うのは、「運営が違う複数のステージの音がかぶってしまう」ということだ。だからよりコントロールしづらい。場所を貸しているのは日比谷公園のスタッフ、ということになるが、きっと事前にそこまで考えていなかったのだろう。

  というか、まあ、考えないですよね、そこまで。日比谷公園、都が管理しているわけで、ということは都の職員がその業務にあたっておられるわけなので。イベント業者じゃないし。

 

  ちなみに、僕が今年最後に日比谷野音に行ったのは、10月1日のCaravanだった。

  この日は特に音の出るイベントは行われておらず、ホッとしました。Caravanもどちらかというとアコースティク寄りな音なので。

  でもこれほんと、来年あたりから、もうちょっとシリアスな問題になってくるかもしれない。日比谷野音、なかなか取れない人気会場だけど、「取れたけどその日すんげえうるさいお祭りだ、どうしよう」みたいな。というか、僕が把握していないだけで、もうそんなふうに問題化している可能性もあるか。

 

  あともうひとつ、今年の日比谷野音の大きな問題、「長年据え置きだった売店の缶ビールの価格が400円から450円に上がった」に関しては、都内の他の公園、たとえば砧公園とか駒沢公園とかの売店の缶ビールの単価をまだリサーチできていないので、保留にしておきます。

  なんだ保留って。