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兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

SAKEROCKラスト・ライヴ/6月2日(火)@両国国技館を観て考えたこと

これが好きだからやりたい。これは好きじゃないからやりたくない。これは好きだけどやりたくない。これは好きだけど自分がやってもよくならないからできない。これは好きだけど自分がやるのは恥ずかしい。これは好きだけど自分がやるのはなんか違う。これは好きだけどそのまんまやるのは抵抗がある。これは好きでやりたいけどまだできない、でもいつかは……。

 

と、あらゆる「好き」「好きじゃない」「やりたい」「やりたくない」「できる」「できない」を揃えた上でそれらをすべてクリアするような、まさに針の穴に糸を通すような正解を追求していった結果、そしてその際に「バンドなんだからこれはなし」とか「バンドは普通こういうことはやらない」というような常識や前提やセオリーをことごとく無視していった結果、いろんな音楽や映画やテレビや芝居や笑いや本などなどの影響は明らかに表れているんだけど、そのどれにも似ていない音楽ができた。

生楽器を用いて演奏するスタイルのインストバンドなんだけど、ジャズでもスカでもファンクでもブルースでも、カリプソでラテンでもフュージョンでもない。「SAKEROCKインストゥルメンタル・ミュージック」としか形容しようのない音楽になった。

で、それは、楽しくて、おもしろくて、ユーモラスで、かっこよくて、刺激的で、シリアスで、時にくだらなくもあって、そしてとてもせつなくもあるものだった、最後まで。

そんな、ほかのどこにもない音楽をこれまで聴かせてもらえたその分、自分の生活は豊かになってきたんだなあ、と思った。

 

それから。

SAKEROCKが解散することは、自由の森学園の先輩後輩のこの5人が揃った段階で、すでに決まっていたんだなあ、と改めて思った。なのによく15年も続いたなあ、とも。

どんなバンドだってそのうち解散するでしょ、という話ではない。20年も30年も解散しないバンドだっているし。

ただ、集まった当初は本人たちにもそんな自覚はなかっただろうけど、将来的に「バンドがなくなっても全然困らない」レベルの、日本でトップクラスの優れたミュージシャンになっていく(あるいはミュージシャン兼俳優兼文筆家、ミュージシャン兼俳優兼タレントになっていく)5人が、たまたま揃ってしまったのがSAKEROCKだった、ということだ。

だからいずれバンドを離れていくことになる。というか、状況がそれを許さなくなる。自分の才能が、自分がバンドに留まり続けることを認めなくなる、とまで言ってもいいかもしれない。

 

だから、解散はとても残念だけど、まあ、しょうがないのかな。

 

というようなことを、2015年6月2日(火)両国国技館での、SAKEROCKのラスト・ライヴを観ながら考えました。

最後に書いたことについては、もうちょっとつっこんだことを、改めてどこかに書きたいと思っています。