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兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

SHISHAMOのアルバムがあまりにもよかったのでレビューを書きました

3月2日に出たSHISHAMOのニューアルバム『SHISHAMO3』が、すんごくよかったのでレビューを書きました。

SPA! に月1~2でCD評を書かせていただいているのですが、文のノリや書式は、その時のやつに合わせました。

 

SHISHAMO『SHISHAMO3

GOOD CREATORS RECORD 

3月2日発売  2500円(税込)

 

タイトル

少年少女代表バンドから、日本代表バンドに化ける瞬間

 

本文 

今年1月4日に日本武道館ワンマンをソールドアウトした平均年齢20歳ちょっとの3人組。もともと登場当時から、歌とギターの宮崎朝子のソングライターとして才能は際立っていたが、このサードアルバムではそれがシャレにならないレベルにまで達している。

失恋にSNSをからめたり、片思いっぽい遠距離恋愛を歌ったり、10代女子の共感を鬼のように呼ぶこと必至の、メロディも言葉の綴り方も、どこを聴いても「うまい!」「やられた!」「いい曲!」と言うほかないラブソングが並んでいるのだが、何がすごいって、ほぼ自分を切り売りして書いていないところ。作家として、フィクションとして書いている。じゃなきゃ、こんなに多彩でさまざまな青春の恋愛のひとコマを描けないだろう。

デビュー時にインタビューした時、「自分のことなんてめったに歌わない、そんな恥ずかしいことできない」と言っていたが、そのままのスタンスで超レベルアップした上に、歌までやたらうまくなっている。変なたとえだが、中田ヤスタカ等のプロの作家が、若い女の子のシンガーに向けて詞を書く、というのと同じことをセルフでやっている、と言おうか。

好きじゃなくなったはずの相手に対して今いちふんぎりがつけられない気持ちを歌う「手のひらの宇宙」と、新しい恋人に心変わりした気持ちを、自分が捨てた元カレにぶつける「女ごころ」が、特にすごい。そんなことアイドルとかだったら歌にしないわけで、つまりこれも正しくロックだ、ということなのだと思う。

ただし、ラストに入っている「みんなのうた」は身を切って書いてるフシがある、そしてそれが普遍的な広がりを持っているところもすばらしい。

主に同世代と少し下の世代、つまり大学生・高校生から熱狂的な支持を集めていて、それ以外の人たちには人気バンドであることがまだそこまで広まっていないフシがあるが、今作から大きく変わるだろう。

 

<データ>

2010年に川崎市の高校の軽音部で結成。在学中に作ったデモCDが現マネージャーの耳に止まり、卒業とほぼ同時に本格的な活動に入る。以降ツアーのキャパを拡大する度にソールドアウトが続き、2016年1月4日には日本武道館を大成功に終える。4月9日埼玉・川口総合文化センターから、11本の全国ホールツアーがスタート。