兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

10/22フラワーカンパニーズ『DRAGON DELUXE』を観ました

   フラカンが5年前から地元名古屋のダイアモンドホールでゲストを招いて行っているイベント。今年は東京カランコロン、そして盟友(って言ってよいと思います)サニーデイ・サービスが出演。フラカンサニーデイとやるのは、2010年1月に姫路・和歌山・浜松を回った2マンツアー『TEN YEARS AFTER』以来6年ぶり。そうか、東日本大震災よりも前か、あれ。浜松まで観に行ったのを憶えています。

 

  あ、サニーデイが出ることが発表になったちょっとあと、SPICEで鈴木圭介&グレートマエカワと曽我部恵一&田中貴の座談会をやりました。

 未読の方、こちらです。

spice.eplus.jp

  さて当日。フラカンの前説からの「ドラゴーン!」(竹安)「デラーックス!」(お客さん)のコールでスタート。

 トップは東京カランコロン。普段の彼らのライブよりも高い年齢層のお客さんを前に大健闘。「ベースが変態だから注目して」みたいな前説をグレートがしたのも手伝ってか、ベース佐藤全部がのびのびと変態っぷりを……いや、変態と言っていいかどうかはわからないが、少なくとも「様子のおかしい人」とは言っていいと思う。のびのびとその「様子のおかしい人」っぷりを発揮。コック帽かぶって出て来るなり、トランプをばらまいたりする。ある程度狙ってやっていないわけはないと思うが、それが作為的でいやらしい感じには見えない、稀有な愛されキャラ。

  で、その飛び道具っぷりで場をつかんだところで、まっすぐでポップだけどどっか時空がぐにゃっと歪んでいる感のある、いちろー&せんせいのツインボーカル(圭介曰く「デュエット」)で、さらにつかんでいく。あっという間だった。って尺自体そんなに長くなかったんだけど、さらに短く感じる楽しさだった。

 

  次、サニーデイ・サービス。ライブ、最近観慣れているつもりだが、それでもびっくりするくらいすごかった。個人的にサニーデイの曲の中でトップクラスに好きな「baby blue」で始まった、というのもあるが、そのあと「恋におちたら」「I’m a boy」「セツナ」と、どちらかというとしっとりと軽やかな曲が並んでいる、はずなのに、ものすごい熱量とテンション、どの曲も。

  特に「I’m a boy」「セツナ」の、ニューアルバム『DANCE TO YOU』収録曲の2連発、ヤバかった。で、「白い恋人」でたたみかけて、曽我部が曲名を叫んだらみんな大歓声で応えた「青春狂騒走曲」でさらに温度が上がって、「胸いっぱい」で駆け抜けるように終了。

  本番前に楽屋でセトリを見た時は「昨日からツアー始まってるんだし、『DANCE TO YOU』の曲、もっとやればいいのに」と思ったが、フラカンのファンの前でやるということを考えて、こういうセトリにしたんだと思う。で、それが超正しかったことが、オーディエンスのあっついリアクションでわかった。名古屋在住の友人がふたり来ていて、ふたりともサニーデイのライブ初めてだと言っていたが、ふたりとも「こんなにライブすげえバンドだったのか!」と興奮していた。

 

  そしてフラカン。セットリスト書きます。

 

1 冬のにおい

2 消えぞこない

3 すべての若さなき野郎ども

4 ラララで続け!

5 孤高の英雄

6 発熱の男

7 虹の雨あがり

8 三十三年寝太郎BOP

9 NUDE CORE R&R

10 終わらないツアー

 アンコール  11 さよならBABY

 

  圭介、なぜかマントのようなものをかぶって颯爽と現れる。で、のちのMCでグレートに問いただされ、「苫小牧のAEONで買った」と答える。

  で、1曲目で脱いだんだけど、3曲終わったところでいちろー&せんせいが登場するくだりでは、せんせーがそのマントを羽織って現れ、大ウケ。そして圭介的に言えばデュエット+1状態で「ラララで続け!」。あの圭介特有の「ラップじゃなくて早い語りみたいな歌」がある曲で歌いにくいだろうに、いちろー、見事な歌いこなしっぷり。フラカンがむちゃぶりしたのかな、と思ったが、「何曲か候補を出したらこれを選んでくれた」ことをグレートが明かす。

  ふたりと入れ替わりに、曽我部がオンステージ。竹安と小西の位置には絨毯が敷いてあるのに圭介とグレートのところにはないことなどを延々といじってから、「孤高の英雄」をハンドマイクで歌いまくる。こんな声出るのか曽我部!と言いたくなるすんごい熱唱っぷり。曲に入る前にグレートが「歌詞の最後の『がんばれ圭介』を『がんばれ恵一』にしてもいい?」と曽我部に許可をとる──というフリがあったので、その瞬間に圭介がフロアにマイクを向けると絶叫のような「がんばれ恵一!」が返ってくる、という、なかなかの光景でした。

  久々の「虹の雨あがり」、そして「三十三年寝太郎BOP」「NUDE CORE R&R」「終わらないツアー」とライブ・アンセムを連打して本編終了。アンコールは「さよならBABY」で、おなじみ「♪ラーラーラーララーララー」の大合唱で気分よく、かつちょっと感傷的にしめくくられた。「深夜高速」と「真冬の盆踊り」をやらないで(つまりその2曲に頼らないで)いかにいいライブをやるか、ということに最近のフラカンはトライしたりしなかったりしつつステージに立っているが、それでうまくいった夜だったと言えましょう。

 

   あ、あと、新曲やった! 3曲目、「すべての若さなき野郎ども」。「消えぞこない」もだし、最近なんかそんな曲ばっかり作ってるな鈴木圭介。まさにタイトルどおりのすてきな曲でした。

 

  それから。グレートが「この『DRAGON DELUXE』、いつか『DRAGON DELUXE DELUXE』みたいなやつをやりたいんだ」と言っていた。要はもっとでかい規模でやりたいということですね。「だから『でらDRAGON DELUXE』でもいいんだけど』」だそうです。

  というように、彼らが何か大きなことをやろうとするたびに「やめた方がいいって!」「後ろだてないんだから君たちは!」「リスクそのまんま4人に来るんだから」などと止めに回る習性が私にはあるのですが、これまでの長い付き合いの中でもっとも猛反対した2015年12月19日の日本武道館ワンマンが、ソールドアウトで大成功に終わったという前科があるので、ただ楽しみに待とうと思います、もう。