兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

サニーデイ・サービス、くるり、ビートたけし、ユニコーン、岡村靖幸のライブを観た

 11月20日(日)から11月26日(土)まで、7日間続けてライブに行った。普段からライブは多いが、これだけ続くのはちょっとめずらしい。

で、そのうち、23日(水祝)のふくろうずと、26日(土)のOfficial髭男dismはレポありで行ったんだけど(ふくろうずはこちら https://entertainmentstation.jp/57461  Official髭男dismはまだです)、それ以外はどこにもなんにも書く予定ない、でももったいないくらい豪華な週だったので、ちょっとずつここに書いておきます。

 

11/20(日)サニーデイ・サービス @ 名古屋クラブクアトロ

東京のリキッドルーム2デイズが、もしかしたら行けなくなるかもしれないスケジュールなので、名古屋まで行った。

このツアーの初日の大阪の翌日、10月22日名古屋ダイアモンドホールフラワーカンパニーズのイベント『ドラゴン・デラックス』でのライブを観たばかりなのに、なんだかすごくびっくりした。ヒリヒリでギリギリな、行きすぎてあっち側に行っちゃいそうな、そんな異様なテンションのステージで。

過去の例で言うと、曽我部が去り際にギターをガシャーン!と投げつけた時みたいな、「キレてる!」「怒ってる?」みたいな緊張感だった時のステージと、やや近いのかもしれないが、それだけではない。「不機嫌」要素だけだと、あんな異様なテンションの張りつめ方にはならないと思う。

演奏がところどころ乱れていたり、アンコールからなぜかベースの音がでかくなってジャンクな音だったりしたが、それらもこのステージのただならぬテンションを表している感じがした。

こんなサニーデイ初めて観たかも、とすら思いながら、終わった瞬間名古屋駅へダッシュし、新幹線に飛び乗って東京に帰りました。

 

11/21(月)くるり @ 渋谷 WWW X

スペースシャワーで放映される招待制のライブ。最近、『京都音博』などで、初代ドラマーもっくんこと森信行が参加していたが、その決定版的なステージで、岸田佐藤ともっくん、あとギターと鍵盤のサポートの5人編成。

もっくん在籍時の曲も、脱退以降の曲も、このメンバーでこの編成でやっていることが、とても自然だった。その自然さにびっくりした。

「あの頃のまま」とかいうわけじゃない。岸田佐藤ももっくんも「あの頃のまま」ではない、という大前提があるし、「あの頃」はまだ存在しなかったもっくん脱退以降の曲もやっているわけだし、そもそも「あの頃」のくるりのライブを何度も観ているので、それと今目の前で行われているライブを比較することもできたが、「あの頃」は全然こんな感じじゃなかった。

にもかかわらず、とても自然に感じられたのが、不思議だったし、楽しかった。バンドっておもしろいなあ、と思った。

 

11/22(火)ビートたけし世田谷区民会館

2014年から行われているビートたけしのライブの4回目、今回はビートたけし責任編集のネットマガジン『お笑いKGB』の会員限定。1回目は渋谷のシブゲキ!、2回目は日経ホール、3回目は浅草公会堂、今回は世田谷区民会館。私、世田谷区民になって26年ですが、初めて足を踏み入れました。

このシリーズライブ、内容に関しては他言無用が参加時のルールなので、書きません。書きませんが、ビートたけしの昔話などのフリートークって、ファン歴35年の者からするとそのほどんとが「知っている」「何度も聴いたり読んだりしてきた」ネタであることが多いんだけど、今回それらの合間にちょいちょい「あ、それ知らない」というのがはさまっていて、うれしかったです。たぶん、言ってなかった事実を明かしたというよりも、話を作ったり膨らませたりしながらしゃべっていくうちに、新たなネタが加わったのだと思います。

なお、このライブ、4回全部観れている。頭の2回の時点では、まだロッキング・オン社の雑誌「SIGHT」の「北野武連載インタビュー」の担当だったので、その関係でお願いしてチケットを取ってもらったんだけど、3回目は自分は抽選を外れたが友人が当て、そして今回は自分で当てた。

今回はハコがでかかったのと会員限定だったことで、それほどすさまじい競争率じゃなかったから当たったのかな、と思いながら、受付で当選ハガキとチケットを交換し、ホールの中に入ったら、3列目でした。やっぱり俺、ここですべての運を使い果たしてる、と思いました。

 

11/24(木)ユニコーン中野サンプラザ

追加公演発表前はここがツアーファイナルだった、中野サンプラザ2デイズの2日目。大きく印象に残ったこと、3つ。

1:このツアー観るの5回目だが、アンコールの内容がほぼ一緒だったの、頭の2回(9/7市川市文化会館大ホール、9/16大宮ソニックシティ大ホール)だけでした。10/15神戸国際会館こくさいホール、10/23オリンパスホール八王子、そしてこの中野サンプラザ、と、3回とも違いました。で、無論、どんどん長くなっていました。

2:中野サンプラザは音がいい。というのは有名な話だし、いつも音いいとは思ってたけど、今日ほどそれを実感した日はなかったかもしれない、と観ながら思った。で、そうか、同じツアーを5回観ると、ほかのホールとの違いがよくわかるのか、と気がついた。バンドのスタッフや、もっといっぱい行っている方からすると言わずもがなだと思うが。

子供の頃、友達のお父さんとかお兄さんがオーディオマニアで、何十万円もするアンプやスピーカーを組み合わせていて、それでアナログレコードを聴かせてもらった時の音を思い出した。そういう感じの鳴りだった。ってなんだそれ。そもそもオーディオがライブの音の再現を目指してるんだから話が逆だろ、ってことだけど、でもパッと連想したのはそれでした。

3:アンコールの某曲の某箇所でEBIが何かひとこと叫ぶのが、いくつかある恒例のひとつになっているが、この日は「ぶっ!!」と変な声を出し、ステージの上も下も「?」が渦巻き、なんともいえない変な空気になる。直後に曲がブレイクにさしかかり、そこでABEDONが問いただしたところ、中野だから「ブロードウェイ!」と叫ぼうとしたのが失敗して「ぶっ!!」になってしまったそうです。ABEDON「どうしてくれるんだよ!」。笑いました。

──ということを終演後にツイートしたが、実はもっと笑ったのは、そのABEDONのツッコミより前だった。「ぶっ!!」と叫んでから曲がブレイクするまでの演奏時が、メンバーひとりずつ一画面に映るタイミングで、EBIは顔がどアップで抜かれていて、「しまった」「やってもうた」「恥ずかしい」という気持ちマックスのうろたえまくった表情が、十数秒にわたって大映しになったのでした。申し訳ないが笑った笑った。

 

11/25(金)岡村靖幸Zepp DiverCity

ツアー初日、にもかかわらずもう完璧に仕上がった、最高の時間だった。

『幸福』リリース以降……いや、そのちょっと前からかもしれないが、過去の名曲と復活以降の新しい曲たちのうち、後者の比率が上がってきた印象があったが、今回もそれ。で、どの曲もいちいちすばらしい。イントロが鳴るたびに「おおっ!」とか「ああっ!」とかつい声が出てしまう感じ。なんだそれは。

恒例のカバーの選曲もよかった、意外で、でもずっぱまりで。

それから、新しい曲たちも、リアレンジされた昔の曲たちも含めて、今の岡村ちゃんのサウンド・プロダクトってほんとに自分の好みだなあと思ったが、いや違う、そもそも俺の好み自体が岡村ちゃんに影響受けまくりながらできあがったものなんだからそれであたりまえだ、ということに、途中で気がついたりもしました。

あと、ギターが長年のメンバー佐藤純朗から新しい人にチェンジしていて、ちょっとびっくりした。