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兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

「ユニコーンツアー2016『第三パラダイス』」のアンコールは「勝手にシンドバッド」だった

  12月17・18日沖縄コンベンション劇場でファイナルを迎えた、ユニコーンのニューアルバム『ゅ 13-14』のリリース・ツアー、「ユニコーンツアー2016『第三パラダイス』」。

  追加公演合わせて全34本のうち、8本観た。9/7市川市文化会館大ホール、9/16大宮ソニックシティ大ホール、10/15神戸国際会館こくさいホール、10/23オリンパスホール八王子、11/24中野サンプラザ、12/9東京国際フォーラムホールA、12/17・18沖縄コンベンション劇場、以上。

  パシフィコ横浜と地元広島を観れなかったのは悔やまれるが、個人的に、同じバンドの同じツアーをこんなに観たのは初めてだった。ROCKIN’ON JAPAN誌が地方でのインタビュー&レポを振ってくれたり、レーベルからオフィシャルニュース原稿のライブレポをご依頼いただいたりして仕事になったから、というのもあったが、単に観たいのもあって。

 

 12/9東京国際フォーラムホールA、オフィシャルニュースのライブレポ(がSPICEにアップされたやつ)と、DI:GA online用のレポ、2本書きました。

両方貼っておきます。 

spice.eplus.jp

digaonline.jp

  で。

  ROCKIN’ON JAPAN誌の記事にも書いたし、上に貼ったレポの中でも触れているが、このツアー(に限ったことじゃないが)、スタート時点からファイナルまでの間で、アンコールがどんどん変わっていき、かつどんどん長くなっていった。ユニコーンのアンコールの定番、いわば「ABEDONショー」的なコーナーが、です。

 

①アンコールの2曲目で「WAO!」をやり、途中で曲がブレイクする。OTはトラックを出す機材のとこにスタンバる。

②ABEDONがメンバーひとりずつ「この方、とっても踊りが上手なんです」と振ると、そのメンバーがOTの出すトラックに合わせて踊ったり芸を披露したりする。

③OTはダンスの代わりにモノマネを強要される。

④最後にABEDONタイム。ツアー途中からマイケル・ジャクソンダンス・ショーになった。

⑤お客さん、ABEDONの指示に合わせ、ツアー後半にようやく完成したグッズ「おどるたいやきくんのタタキ」を赤く光らせつつ&ビビビと振動させつつ、「WAO!」のサビをアカペラで大合唱。

⑥曲に戻る。

 

  追加公演あたりでは、だいたいそのような流れに仕上がっていました。⑤がない時もありましたが。

  ざっくり言うと、音楽に合わせて踊るんだけど、その音楽が頻繁に切り替わるので、それに合わせてアタフタと踊りも切り替えるというネタ。音楽を切り替える役がOT。

  たとえばテッシーだと、「安来節」「白鳥の湖」「映画『雨に唄えば』のテーマ」の3つが切り替わり、それに合わせてバタバタ踊る。EBIは「ローディとふたりでバンビーノのネタからパラパラダンス」という流れだったが、たまにOT、パラパラに入る前にほかの曲を混ぜたりもしていた。

  川西さんの「リアルフェイスマスクのダンサー8人と共に『RUNNNING MANダンス』」は、曲の切り替えはなかったが、ダンスが終わってメンバー同士でハイタッチとかしてたらまた曲が始まってあわてて踊りだす、というギャグになっていた。

  ABEDONのMJ風ショーも同じ構造。「Smooth Criminal」が流れる中、OTが「パン!」「茶!」「ひょっとこ!」というサンプル音を出すとそれに合わせてABEDONやテッシーがパンや茶やひょっとこを指差す、OTが「ワハハハ」と笑い声を出すとそれに合わせたジェスチャー、「ゴキゴキゴキッ」という音を出すと腰を押さえてかがみこむ、という。

 

  こういった「音に合わせて動く」もしくは「途中でいきなり音楽が変わって混乱しつつ必死についていく」というの、昔からテレビのコントとかでよくあった手法である。ユニコーンの面々も子供の頃観ていると思う、きっと。

  それこそドリフターズの『8時だョ! 全員集合』とか。そうだ、観てたはずだ。そういえばアンコールのそのコーナーで、ヒゲダンスの曲も使ってたし──。

 

  と、そこまで考えてから、思い出した。

  そうだ。「勝手にシンドバッド」だ、まさにこれ。

  サザンオールスターズの曲名ではなく、その元になったドリフのギャグの方です。当時大ヒットしていた、沢田研二の「勝手にしやがれ」とピンクレディーの「渚のシンドバッド」の2曲がばんばん切り替わり、志村けんがパニックになりつつそれに合わせて必死に踊る、というヒットギャグがあったのです。

  で、そのヒットギャグを曲名にそのままいただいてデビューしたのがサザンだった、というわけです。

  関口和之が書いた『突然ですがキリギリス』という本に、桑田がこの曲をバンドに持ってきた時の記述がある。「曲名は?」ときいたら桑田が「勝手にシンドバッド」と答えてメンバーがワッと笑った、原坊も一緒に笑ってたが意味がよくわかっていないようだったので解説してあげた、というような。

   要はめっちゃ安直につけたタイトルだったわけだが、サザンがデビューしてから38年が経ち、そのギャグのことなど誰も知らない世の中になっても曲は残っている、というのは、なんかいい話な気がしないでもありません。

  で、もちろんユニコーンはそんなことひとつも意識してないと思うが、その、40年近く前の志村けんのギャグとシンクロしているというのも、なんかいい話な気がしないでもありません。

 

  ではよいお年を。