兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

コロナ禍による細かい影響  

 

 外で、仕事と仕事の間の時間が、いっぺん家に帰るほどじゃないけど微妙に空いている、という時、スターバックスとかドトールに入って、PCを開いて原稿仕事をする、ということが、以前はよくあったが、コロナ禍以降、ほぼなくなった。外での取材や打ち合わせが激減したので。

 で、一昨日、久々にそういうスケジュールになって、一日で、ドトールに一回、タリーズに一回入ったのだが。

 席でPCを開いて、でかい声でリモート打ち合わせをしている人と、席で電話で、でかい声で延々と話し続けている人が、両方の店にいた。

 以前は、どちらもマナー的にアウトだった。そういう人もいたけど、その場合、周囲から白い目で見られていた。「電話とるなら店から出ろよ」的な。

 でも、コロナ禍以降はどちらも、暗黙の了解でOK、ということになったのかもしれない。「しょうがないじゃん、仕事がリモートなんだから」「じゃあどこでリモート会議しろって言うんだよ」みたいな按配で。

 ということを、実感したのだった。延々と電話でアポを取り続けている、僕の後ろの席の女性、「マルチかな」と思ったけど、それはともかくとして。

 

 酒屋やスーパーでは小売していない。だから、「あえて置いている」一部の居酒屋やバーじゃないと、飲めない。

 という点で、ビール好きにとって、サッポロのラガービール、通称「赤星」と、キリンのハートランドは、ちょっとうれしい銘柄だった。

 たまたま入った店に置いてあると「お、いい店じゃん」と思ったり、逆に「赤星が(ハートランドが)置いてある」という理由で、その店に通うようになったり。

 赤星がどうだったかは憶えていないが、ハートランドは、僕が酒を飲み始めた1980年代末期には、確か、普通に酒屋で売っていたと思う。テレビでCMを打っていた記憶もあるし。

 今調べたら、ハートランドは1991年に缶ビールの販売を終了し、樽と瓶では現在も売られているそうだが、僕は見かけたことがない。

 しかし。2021年の5月くらいからだろうか、コンビニやスーパーに、サッポロの見慣れない缶が置かれるようになった。

 赤星だった。びっくりした。僕は出くわしてないが、「瓶が自販機に入っていた、思わず買った」という、大阪在住の知人の証言もある。

 ウィキペディアによると、もともと「中瓶、大瓶のみが存在し、飲食店中心の販売(実質的には業務用扱い)であるが、販売店によっては個人向けに販売をすることもある。2008年9月、約30年ぶりに缶入り(350mlと500ml)が期間限定で復活販売され、好評につきその後しばしば缶入り製品の限定生産販売が行われている」とのこと。

 公式サイトを見たら、2020年も、7月と10月に数量限定販売されていたことがわかった。ただ、去年までは、店先で僕の目にとまることはなかったので、2021年から出荷数と取扱店を、かなり増やしたのではないか、と思う。

 で、「あ、これもコロナの影響かも」と、気がついた。飲食店に下ろそうにも、ほとんどの店が閉めているし、開いていても酒を出せなくなっている、逆に自宅での飲酒率が上がっている、じゃあもっと幅広く小売しよう、という。

 という事実に、「便利になった」といううれしさと、「店じゃなきゃ飲めないという特別感がなくなった」という寂しさ、両方を感じています。

 でも確かに、すべての酒でビールがいちばん好きだけど、家でビールは贅沢だ、家では発泡酒でビールは外で飲む時、と決めていた僕も、世の中がこの状況なので、時々だけど、ビールも買って飲むようになっている。もちろん、赤星も、気がついて即、買いました。

 

 僕は普段、気候がいい季節は、風を通したくて、家の窓を開けっ放しにして仕事をしているのだが、平日は15時頃を過ぎると、週末は午前中から、近所の人たちの声が、やたらとよくきこえるようになった。

 隣の家の幼い姉弟が遊んでいる声とか、そのふたりにお父さんが何か言っている声とか、お母さん同士が立ち話をしている声とか。

 これもあきらかに、コロナ禍以降の変化だ。

 要は、子供たちがあんまり家を離れて遊びに行っちゃダメだけど、外には出たいから家の前で遊ぶ、とか、お父さんがリモート勤務だから家にいる、とか。

 ただ、「ドトールで電話」は「わかるけど、うるせえよ」と思うが、この「ご近所の声がきこえる」に関しては、全然イヤじゃないというか、むしろ、ちょっといい気すらする。下町の生活が戻って来たような感じ、というか。住んだことないけど、下町。

 

 「ライブがやれなくて音楽業界本当に大変」とか、「正気か、東京オリンピックやるなんて」とか、「飲食店もライブハウスもそりゃあどんどんつぶれるよ、困るんですけど」というような、大きなこと以外にも、コロナ禍による影響、細々と日々実感すること、いろいろあるなあ。とよく思うもので、いくつか書いてみました。

 あと「身内や友人が入院しても見舞いができない」とか、「親が高齢なので帰省できない」というのも、大きいです。

 こんなに長いこと、故郷広島に帰ってないの、イコール親に会っていないの、広島を離れて34年で、初めてかもしれません。

 

 あ、それから、もうひとつ。スタバとかでのリモート会議、迷惑とは別の問題で、「そんなデリケートな内容の話、こんなにまわりにダダ漏れなところで、していていいの?」と思うことは、よくあります。

 あと、何十億円とか何百億円とかの、えらくでかい金額の話をしていて、「いや、あんた、そんな人ならスタバでしゃべってないで、仕事場借りろよ」と思ったこともありました、そういえば。コロナ前だけど。新橋のスタバだったな。