兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

曽我部恵一・新井仁出演! 10/14(金)「Such A Night」のお知らせ

  私、サニーデイ・サービス田中貴プレゼンツの

「Such A Night」というイベントを、長いこと手伝っています。

  いわゆる夜中のDJイベント。2~3ヵ月にいっぺんくらいのペースで、レギュラーは田中貴と私のふたり。

  ツアーとかで来れない時以外は、グレートマエカワが

準レギュラー的に参加中。

 

  プラス、毎回ゲストDJを2名くらいお呼びするのですが、

次回=10月14日(金)は、サニーデイ・サービス

すっばらしいニューアルバム『DANCE TO YOU』が

出たばかり、かつそのリリース・ツアーの直前でもある、

ということで、曽我部恵一さんと、ツアーへの参加が

決まっている新井仁さんにお願いしたら、快くお受け

くださいました。

 

DANCE TO YOU

DANCE TO YOU

 

で、いつもこのイベント、ツイッターでしか告知して

なかったんですが、そんなようなことを長く書きたかった

もんで、この私のブログを使ってお知らせしようと。

 

では以下、詳細などです。

サニーデイファンの方、『DANCE TO YOU』を聴いて

やられてしまった方、単に飲みたい方などなど、

みなさまのご来場を切にお待ちしております。

 

田中貴プレゼンツ「Such A Night」、
次回10/14(金)は、サニーデイ・サービス
ニューアルバム『DANCE TO YOU』のリリース直後、
かつそのツアーの直前ということで、
曽我部恵一と、ツアーへの参加が決定している
新井仁を招いて開催します!

『DANCE TO YOU』の曲、それ以外のサニーデイの曲、
ご本人たちがかけるかどうかは未定ですが、
少なくとも兵庫はどんどんかけます。
ツアーに備えて大音量でサニーデイを浴びたい皆様、
お越しをお待ちしております!

なお、タイムテーブル、曽我部恵一がトップです。
ぜひ間に合うようにお越しください。

Such A Night Vol.34
10/14(Fri) 23:00 OPEN&START
2,000yen/+1D
@三宿Web
154-0001 東京都世田谷区池尻3-30-10 B1
TEL 03-3422-1405

http://www.m-web.t


DJ:曽我部恵一/新井仁/田中貴/兵庫慎

 

 

※あ、あと、このイベント、「田中家ディスカウント」

というのをやっております。

三宿Webから徒歩10分弱、淡島交差点そばにある

イタリアンレストラン「trattoria ameno」、ここの

オーナーシェフが田中貴の弟なのです。

で、この店を10月14日までの1ヵ月以内にディナーで

ご利用の方は、入場料を500円ノードリンクに

ディスカウントします、というサービスなのです。

 

www.ameno.jp

 

というわけで、そちらもよろしければぜひ。

9/16(金)大宮ソニックシティ『ユニコーンツアー2016 第三パラダイス』5本目

   ニューアルバム『ゅ 13-14』のリリースツアーの5本目、2本目の9/7(水)市川市文化会館に続いて観に行きました。

  ネタバレなしで、さすがにこれは書いていいだろうな、と思ったこと、ちょっとだけ書きます。

 

・市川の時よりも演奏はワイルドになると同時にタイトに引き締まり、各段取りはビシッとキマり、MCの自由なグダグダ度はちょっと上がっていた。つまり、5人がこのツアーに慣れてきた、ということだと思います。

 

・最初のMCで、広島カープ優勝のことに触れた時の、OTのひとこと。

 「川西さんは、優勝見るのたぶん最後だから! テッシーも怪しいから!」

 

・EBIが自分がボーカルをとる曲に入る時、「聴いてください」と言ったのを自称「聴いてください言わない派」のOTが拾って「『聴いてください』って何?」「そりゃ聴くよ」「みんな聴きに来てるんだから」と揚げ足とってひと盛り上がりする。で、それ以降、EBI以外のメンバーも、歌う前に「聴いてください」と言うのが流行る。この日だけの流行りになるか、明日以降も続くかは不明。

 

・ABEDON、2本目の市川の時は、客席からの「ヨッチ!」という呼びかけに無反応だったが(単にその声がきこえてなかったのかもしれません)、この日は自ら「ヨッチでーす!」と何度か口にし、そのたびに大ウケ。にしてもヨッチ、ライブ・ビューイングあったとはいえ『ABEDON50祭』でしか披露していないのに、すごい浸透度と人気。

 

・ABEDON、アンコールのMCで何か言ったら場がちょっと微妙な空気になった時の、起死回生のひとこと。

 「のってこいよ! 俺は恥を忍んで言ってるんだ!」

  ステージの下も上も爆笑でした。すばらしい。

 

  では、また観に行ったら何か書きます。

『ユニコーンツアー2016 第三パラダイス』の2本目、9/7(水)市川市文化会館について、ネタバレなしでちょっとだけ書きました

  ニューアルバム『ゅ 13-14』のリリースツアーの2本目。2本目なのでネタバレできないし、書けることも極めて限られるが、書ける範囲で書いておきます。

 

・当然『ゅ 13-14』の曲が中心、かつ再始動後の曲も何曲もあり、「お!」とうれしくなる旧曲もあり、というセットリスト。

 

・これまでのユニコーンのツアーに「バラエティ寄り」と「質実剛健寄り」があるとしたら、今回、後者な気がした。というか、そもそも『ゅ 13-14』というアルバム自体が、好き放題に自由に作ったわりに……いや、「だから」なのかもしれないが、そういう作品だからだろう。タイトでずっしりしていてすばやくもあるロック・バンド、ユニコーンのかっこいいところを存分に味あわせてくれるステージだった。

 

・よってグダグダ感、少なめだったが、ただしそれは、まだツアー2本目だからかもしれません。このあと本数を重ねるにしたがって増えていくことも考えられます。

 

・最初のMCでOT、「2本目がいちばんヤバい」と発言。1本目はまだ緊張感あるからうまくいくけど、2本目だと「忘れるとこは忘れて」「怠けるとこは怠けて」みたいにゆるむから、というのが理由だそうです。

  で、そのMCからしばらく経ったあたりで、某曲のキメの部分でバンド、思いっきりミスって演奏がストップ。OT、「2本目っぽいわー。初日はできたのに」と、己の予言的中を嘆く。

 

・そのOT、別の某曲の、自分がギター弾かなくていいところで、曲に合わせてひとりで激しく踊る瞬間あり。「ここで踊る」とか決まってるわけじゃなくて、ただなんとなくやってみたのだと思いますが(スポットとか当たらなかったし)、あまりの激しさに目を奪われたもんで、ここに書いておきます。

 

・ABEDON、このライブ中に「決めてない」と二度口にしました。いずれも、自分がセンターに来る曲の時に、OTに「このあとどうすんの?」などと訊かれた時の返事です。

 

  書いているうちに、「進んでいくうちにどんどん変わっていきそうだな、このツアー」という気がしてきた。

  次に観るのも楽しみです。

名刺のこと

  回転式名刺ホルダーがいっぱいになる。で、数を減らすために、名刺を整理しようとするたびに、

 

①現在仕事で付き合いのある人は、普段からメールでやりとりしているので、名刺を取っておく必要がない。

②付き合いがなくなった人は、今後も連絡を取り合うことはないから、名刺を取っておく必要がない。

③じゃあ名刺を取っておくべきなのは、今は疎遠になっていてメール等でやりとりもしてないけど、今後もしかしたらまた連絡を取るかも、という人だけ。ってことか?

 

  と、迷った挙句、「疎遠な人の名刺を取っておくのに、付き合いがある人の名刺を捨てるのはヘンだ」とか思って、②だけ捨て、①も③も取っておくことになる。

  なので、名刺、あんまり減らない。

 

  ということを、数ヵ月おきにくり返している。

  そして、名刺という習慣、なんで今もなくならないんだろう? と考える。

  先に書いたように、一度メールでやり取りすれば当然メアドの記録は残るし、多くの場合、メールを送ってきた人の住所や電話番号も文末に入っている。だから、名刺を保存しておく必要はない。

  仕事ではあんまりやらないけど、twitterのDMで連絡を取ることもあるし、作ってほったらかしだけどFACEBOOKのページもあるし。

 

  でも、初対面のあいさつをする時は、確かに名刺って便利だから、じゃあ、その時のためだけの道具と割りきって、一度メールを交換し終わったら捨てればいいのか。

  という結論に辿り着くんだけど、そう割り切れなくて、結局、捨てられないのだった。

  「普段電話でしかやり取りしないけど、たまーに住所が必要になる」みたいな人も、ごくわずかだけど、いるし。

 

  にしても、メールやネットがなかった時代の方が、1年に1回とか決めて、豪快にガサッと名刺を処分していた気がする。便利になった分ややこしくもなったということだ。というのは、結論が凡庸すぎて、自分でもちょっとどうかと思うが。

 

  そういえば、最近知り合って月にいっぺんぐらい飲みに行くようになった、本業は会社員・副業で文筆、という知人がいるんだけど、彼は名刺は会社員のほうしか持っていない。で、いつまで経ってもその名刺をくれない。

  なので、3回目ぐらいで「名刺くれればいいじゃん!」とか言って半ば無理矢理もらった。

  でも、それまで彼とはTwitterのDMでやり取りしていたし、その中で携帯番号も交換していたので、名刺、もしもらう必要があったとしたら、たとえば「彼が僕の目の前でクルマに跳ね飛ばされたので、救急車を呼んだあと、彼の会社に連絡を入れる」みたいな緊急時くらいなのだった。

  そうか。あげる必要がなかったから、なかなかくれなかったのか。

 

  それから、レアな名刺というのもあります。

  相手が有名人だったり、有名人になって名刺を持たなくなったけど、昔は持っていたり。

  後者の例でいうと、現THE STARBEMS日高央のサラリーマン時代の名刺、彼がBEAT CRUSADERSでメジャー・ブレイクしたしばらくあとまで持っていたんだけど、そのあとどこかへなくしてしまったのが、いまだに惜しいです。

 

   あと、亡くなった方の名刺って、なんか捨てられないですよね。

8/10(水)渋谷クラブクアトロ、アナログフィッシュ『Natsufish』ツアーのセットリストなど

  アナログフィッシュが毎年夏に行っている恒例ライブ『Natsufish』、去年まで東京だけだったが今年は東名阪で開催、そのファイナル。

  で、今年は渋谷のライブに関しては、事前にファンからオーダーを募って、その投票上位5曲を必ず演奏します、という企画あり。

  公式サイトに「どんなにレア曲でも構いません」という記述があったが、見事にそのとおりになり、下岡晃、「また見事にやりづらい曲ばかりを……」とMCで漏らしておられました。みんな笑っていました。

  というわけで、以下のようなセットリストでした。

 

1.PHASE

2.F.I.T.

3.こうずはかわらない

4.No Rain(No Rainbow)

5.LOW

6.Will

7.ロックンロール

8.TOWN

9.No Way

10.Good bye Girlfriend

11.Ring

12.Tired

13.Iwashi

14.ジョイナー

15.マテンロー

16.Life goes on

17.Light Bright

18.最近のぼくら

19.There She Goes(La La La)

20.アンセム

21.Fine

22.Hybrid

23.抱きしめて

 

アンコール

24.行くのさ

 

アンコール2

25.出かけた

26.Nightfever

 

  6月25日新代田FEVERのトリプルファイヤーとの対バン、「電気グルーヴの映画のDVD/Blu-rayの購入者特典、大根仁監督×砂原良徳のトークショー@代官山蔦屋書店の司会」という仕事が入って行けなかったもんで(トリプルファイヤーも観たかった)、今回とても楽しみにしていたのですが、しかし。

  18時に終わるはずの某インタビューが18:45に終わるという事態になり(理由は先方の遅刻。アーティストは責めないがマネージャーは責めたい気持ちです)、頭3曲、観れませんでした。

  クアトロに着いたら、よりによって超大好きな「No Rain(No Rainbow)」がもう始まっちゃっていて、寄った居酒屋が値段の割に酷いもんだったあたりでホールのドアを開けました。ああもう。なんで前半にやるかなあこんな最新のキラーチューンを。遅れる方が悪いが。

 

  で、それ以降は、過去のレア曲なんかもいっぱい聴けて満喫したんだけど、とても楽しかったんだけど、あれいつだっけ、ちょっと前にもレア曲いっぱいやるライブありましたよね。佐々木健太郎がまさかの「スピード」を歌ったりしたやつ。

   あの時も、今回も、観終わった時に「レアですげえ楽しかったけど、次は普通に今の曲をやるアナログフィッシュを観たいな」と、思ってしまうのだ。

  セトリの中で、レアな曲を聴けるのはもちろんうれしいんだけど、ライブでさんざん聴き慣れている最近の曲の方が、それでもうれしいというか。「きたあ!」ってなるというか。

  二度目のアンコールで「出かけた」を下岡晃が歌った時、ああ、これやっぱいい曲だなあ、聴けてよかったなあ、と思ったが、その次に「Nightfever」がプレイされた時、「うわ、やっぱこっちの方がすげえわ!」って興奮してしまうような。

 

  要は、昔のアナログフィッシュがよくないわけじゃないけど、今があまりにもよいのでそう感じてしまう、というだけの話なんですが。

  で、アナログフィッシュ、自分たちでもそう判断しているから、普段は昔の曲をあんまりやらないバンドになっていて、それだとちょっとナンなのでたまにはこういうライブもやりましょう、という趣旨なわけなので、このライブを観てそんなことを感じること自体が、「だったら観に来るな」という話なんですが。

  でも本当に、今のアナログフィッシュっていいんだなあ、よくなり続けているし大きく変化し続けているんだなあ、と、改めて痛感した。

 

  あと2点。

  まず、お客さんたちの温度、なぜかとても高かった。終演後に本人たちにきいたら、以前と顔ぶれが変わってる感じはしなかった、でも確かに温度が高く感じた、おかげでやりやすかったし、いいライブにできた、みたいなことを言っていた。最近ファンの温度が上がっている、ということなんだろうか。

  そして佐々木健太郎、おそろしく声が出ていた。ちょっとびっくりするくらい。

  もともとでかくてよく通る声だが、さらにでかくて、さらにめちゃめちゃ通る強い歌になりつつある、そういう上昇カーブを描いている。年齢を考えると、そろそろノドが衰え始めたりしそうなもんなのに。なんなんだ。

  あと、テンション上がりすぎて、MCのたびに興奮して何言ってんだかわけわかんないことになっていて、そのさまを見て下岡晃&斉藤州一郎が笑っている感じも、なんかよかったです。

スピッツとユニコーンと石野卓球のニューアルバム、そしてサニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』について

  先々週スピッツ、先週石野卓球サニーデイ・サービス、今週はユニコーン、と、うれしいニューアルバムだらけでリピートして聴くのが忙しい、中年邦楽ロックファンあるある。

 

  と、8月9日にツイートした。スピッツ『醒めない』が7/27、石野卓球『LUNATIQUE』とサニーデイ・サービス『DANCE TO YOU』が8/3、そしてユニコーン『ゅ 13-14』が8/10、と、すばらしいアルバムがどんどん出たことについて、そう書いたのだった。

 

  で。スピッツは、エンタメステーションにアルバム・レビューを書いた。

entertainmentstation.jp

   ユニコーンは、週刊SPA! とRO69とリアルサウンドにアルバムレビューを書いたし、CREAタワーレコードのフリーペーパー、DI:GA、DI:GA onlineでインタビューをした。

ro69.jp

realsound.jp

digaonline.jp

 

  石野卓球は、レビューとかは書いていないが、日刊SPA! でインタビューをした。

 

nikkan-spa.jp

  内容が内容なだけに、いわゆる「めちゃくちゃバズった」みたいなことになったようです。

  SPA! 編集部の担当から、お礼のメールが来ました。

  「編集長からも『ぜひ今後もこういったインタビューをお願いします』と、ことづてを受け取りました」

  だそうです。

  すみません、これをしょっちゅうやるのは無理です、あらゆる意味で。

 

  で。サニーデイ・サービスに関しては、ROCKIN’ON JAPAN10月号で曽我部恵一にインタビューしたんだけど、それ以外では、特に書いていなかったのだった。

  ということに、今気づいた。

  あ、JAPANのその号の告知、こちらです。

www.rockinon.co.jp

  このインタビュー、曽我部、かなり踏み込んだ話をしてくれています。

  曰く、サニーデイなんてもう終わってると。もっと若くていいバンドいっぱい出てきてるんだから、みんなそういうのを聴けばいいじゃんと。懐メロとして存在していくならわかるけど、新しいアルバム作る意味なんてあるの? と。

  という、己に対する疑問に打ち勝つために、長い時間かけて、さんざん曲を作ってはボツにして、レコーディング予算的にも破綻しながら作り上げた、と、そういう話です。

 そのためだけに、じゃないだろうけど、そういう要素もあったんじゃないかと思う、と。

  ぜひ読んでいただけるとうれしいです。

 

  で、それはそれとして、このサニーデイ・サービスの『DANCE TO YOU』がどういうアルバムなのか、僕なりにも、ちょっとここに書いておきたいと。

 

  これは、曽我部恵一が、様子のおかしい若者に戻ったアルバムです。

 

  曽我部恵一BANDでツアーしまくっている頃、確かシングル「魔法のバスに乗って」とアルバム『キラキラ!』の時だったと思うが、曽我部にインタビューしたら、今の自分がやっているのは、いち生活者としての音楽だ、と言っていた。

  こうして東京で生活していて、働いていて、家族を養って生きている、その毎日から出てきたものであると。

  ワークソングだったり、ライフタイム・ソングだったりする、ということですね。で、ヒップホップからの影響等もあるし、具体性のあることを歌いたい、直接生活や人生に響く言葉を歌いたい、と。

  だから、かつてサニーデイ・サービスでやっていたのは、もっと青春的で、抽象的で、叙情的なものであった、と言ってはいなかったが、まあそういうことになるのだと思う。

  なお、今調べたら、『キラキラ!』は2008年の春リリースで、サニーデイが再結成したのはその年の夏、RISING SUN ROCK FESTIVALで、だった。

 

  で。そのようなソカバンの、あるいはソロのカウンター的な表現として、思春期的で、抽象的で、叙情的な音楽を、サニーデイ・サービスで……ちょっとこのあたり言い方が雑だけどかんべんしてください。とにかく、サニーデイをそういうものとして始動させていたのか、というと、一概にそうは言えないと思う。

 『本日は晴天なり』と『Sunny』の2枚は、そういうところもあったけど、そうじゃないところもあった。

 そして、この『DANCE TO YOU』で、本当にそういうものになった、という。カウンターとかいうよりも、本当にそういう人に戻った、というか。

 

  試しに、『本日は晴天なり』『Sunny』と『DANCE TO YOU』を続けて聴いてみると、よくわかる。びっくりする、音の質感から何から何までが違って。

  『DANCE TO YOU』は、最初にいっぺん完成させたアルバムをボツにしたところでレコーディングの予算がなくなって、曽我部がリハスタ個人練習パソコン持ち込みレコーディング(つまりそのへんの中高生以下みたいな状態)で作り上げたアルバムなので、音質や音の触感が違うわけだが、でも、歌っていること自体、描いているもの自体も、大きく違うと思う。

 

  「これは、曽我部恵一が、様子のおかしい若者に戻ったアルバムです」とさっき書いたが、曽我部さん、44歳なわけで、3児の父でもあるわけで、有限会社スタジオ・ローズの社長でもあるわけで、「若者に戻る」といっても、頭ん中が戻っただけで、立場としては、戻れない。

  という状態って、いち生活者として、はたしてどうなのかと考えると心配にならなくもないが、ただ、そんなようなことによって『DANCE TO YOU』がすごい吸引力を持つアルバムになっているのは事実だと思う。

  そうだ。曽我部ってヤバい奴なんだった、ということを思い出した。

  いや、長い付き合いの中で、彼に失礼なことをされたり、イヤな思いをさせられたりしたことは、僕は一度もない。そういうヤバい奴じゃなくて、表現者としてヤバい奴、ということです。

 

  あと、俺も人の心配していられるような状態じゃねえ。というのもあります。

  だから、よりいっそうこのアルバムが刺さるのかもしれません。

7/30・31『ABEDON50祭』のニュース原稿

  7月30日(土)・31日(日)山形市総合スポーツセンターにて行われた、ユニコーン恒例・メンバーが50歳になるとその人出ずっぱりでイベントをやる企画、そのオーラスを飾るABEDON編。その模様を、所属レコード会社が各ウェブ媒体等に一斉発信するニュース原稿として書く仕事をいただき、山形に行って、書いてきました。

  で、BARKS等あちこちで取り上げていただいてからもうずいぶん経つのでそろそろいいかな、ということで、こちらにもアップしておきます。

未読の方、よろしければぜひ。

  あ、BARKSの方には写真も多数アップされています。

  こちらです。

www.barks.jp

  じゃあこのBARKS読んでいただけばそれでいいじゃねえかって話ですが、保存しておく意味でも、以下、一応貼っておきます。

  出演者もセットリストも2日ともまったく同じ、でも2日それぞれレポを書いてほしい、と現場で言われた時は、「ええっ!? どうしよう」と思いましたが、自分としては、同じ内容であってもなんとか違うふうに書けるもんなんだな、と、書き終わってから 思ったのですが。

  いかがでしょうか。大丈夫でしょうか、これ。

 

 

1日目:7月30日(土)のレポ

 

  7月30日(土)山形市総合スポーツセンターにて、ユニコーンのライブイベント『ABEDON 50祭 サクランボー/祝いのアベドン』が開催された。このイベントは同所で2日間行われるもので、30日はその1日目。ユニコーンのメンバーが50歳の誕生日を迎えるごとに開催されてきたイベント・シリーズで、メンバー内で最年少であるABEDONの地元・山形で行われた今回でしめくくりとなる。

  ABEX GO GO、ABEDON and THE RINGSIDE、氣志團ユニコーンの4アクトが出演。チケットは即日完売、全国23ヵ所の映画館で生中継でライブ・ビューイングが行われ、大勢のファンが集まった。

 

  トップのABEX GO GO は、ABEDONがユニコーン解散後にSPARKS GO GOの3人と結成したバンドで、現在ではこうしたイベントの時など、数年に一度のペースでライブを行っているレアな存在。デビューシングルである「おせわになりました」など5曲を演奏、ファンは歓声で応えた。

   二番手のABEDON and THE RINGSIDEは、ABEDONと奥田民生SPARKS GO GOの八熊慎一、斎藤有太、木内健のいつもの盟友からなるバンドで、6月3日にソロアルバム『Feel Cyber』をリリースし、全国ツアーを行ったばかり。アルバムのタイトル曲「Feel Cyber」やABEDONソロの名曲「欲望」など5曲をプレイした。ABEDON and THE RINGSIDEとして山形でライブを行ったのは、このイベントが初となる。

  三番目の氣志團は、デビューアルバムからサードアルバムまでのバンド・プロデュースをABEDONが手がけてブレイクへ導いた、いわば愛弟子的な存在。このステージでは、往年の人気番組を模した『アベストテン』という企画を行った。

  綾小路翔は名司会者に扮し、氣志團のメンバーはバックバンドとなって、10位から1位までの曲を紹介していく。ユニコーン/ソロ/ABEX GO GOでABEDONが書いた曲から10曲を選び、それぞれを日本の有名ヒット曲風にアレンジ、ユニコーンのメンバーをはじめとする出演者たちがそのコスプレで入れ替わり立ち替わり登場して歌う、という内容で、超満員の会場は終始爆笑の渦に包まれた。

  綾小路翔は10曲中1曲でメインボーカルをとったが、氣志團の曲は1曲も歌わないままステージを下りた。

 

  トリのユニコーンは、前半でそれぞれのメンバーの50歳イベントの時に発表してきた曲を1曲ずつ披露。この『ABEDON 50祭』のために書き下ろされた新曲「RAMBO N°5」もライブ初公開。途中MCでは、奥田民生から「ABEDON! おめでとう! 氣志團もありがとう! 自分たちの曲を一曲もやらずに終わったけど(笑)」と会場の笑いを誘う。

  後半は「ひまわり」「WAO!」など、ユニコーン再始動後にABEDONが書いてきた曲が並ぶメニューで、本編のラストでは、TBS系ドラマ『重版出来』の主題歌になった「エコー」、そして「RAMBO N°5」と共にこのイベントに書き下ろされた「50/50」の2曲も、初めてライブで披露された。

  アンコールの「人生は上々だ」でABEDONは、90年代のユニコーンのアンコールの定番だったプレスリー風の衣裳に身を包んで客席のアリーナ後方から登場。フロアを縦断してもみくちゃになりながらステージにたどり着き、熱唱する。

  客席との掛け合いを延々と続けている途中、サプライズでバースデイ・ケーキがステージに。出演者と観客、全員で「ハッピーバースデー」を歌い、ABEDONがロウソクを吹き消し、盛大に50歳を祝った。最後にABEDONは「サンキュー山形! 俺の生まれたところ!」と絶叫、皆に感謝の意を伝えた。

  このイベントは翌日7月31日(日)にも、同じ出演者で行われる。

 

 

 

2日目:7月31日(日)のレポ

 

  7月31日(日)、ユニコーンABEDONの生誕50周年を祝うライブイベント『ABEDON 50祭 サクランボー/祝いのアベドン』2デイズの2日目が、彼の地元・山形市総合スポーツセンターにて行われた。ユニコーンはメンバーが50歳を迎えるたびに、それを祝うという体で、本人が出ずっぱりでパフォーマンスし続けるイベントを行っており、今回がそのしめくくりとなる。

  ABEDONとSPARKS GO GOのメンバーからなるバンドであるABEX GO GO、ソロ活動の仲間であるバンドABEDON and THE RINGSIDE、氣志團、そしてユニコーンの4アクトが出演。チケットは即日完売。全国23ヵ所の映画館で生中継のライブ・ビューイングも行われたため、1日目も2日目も本番中にメンバーが「押すとヤバい、生中継が途中で終わる」などと気をもんだりする一幕もあったが、無事両日とも最後まで中継された。

 

  トップはABEX GO GO 。ABEDONがピアノ弾き語りで歌い始め、八熊慎一(Vo&Ba)がそこにハモリをつけていく「夕立ち」でスタート。ABEDONと八熊慎一のツインボーカルが活きる骨太なロックンロール全5曲でファンを魅了した。

  途中のMCでABEDONは、「ちょうど10年前に山形でやりまして、また10年後の今日、ここでやりました」と発言。2006年に40歳を迎えたのを記念して、横浜・大阪・山形でイベントを行い、出演した奥田民生川西幸一と共に行ったセッションの感触がとてもよかったことが、ABEDONがユニコーンの再結成を考え始めるきっかけになったことを知るファンたちの間に、感慨深い空気が流れる。

  二番手のABEDON and THE RINGSIDEは、モハメド・アリからアントニオ猪木に受け継がれた入場テーマ「炎のファイター」に「アベドンバイエ!」と歌をのせたSEが響く中、メンバーの奥田民生SPARKS GO GO八熊慎一、斎藤有太、木内健がまず登場。続いてガウンに身を包みチャンピオンベルトを巻いたABEDONがオンステージ。

  6月3日にリリースされたばかりのソロアルバム『Feel Cyber』のタイトル・チューンでスタート、八熊慎一がダンボールを叩く「欲望」のアコースティック・バージョン以外の4曲は、すべて『Feel Cyber』からプレイ。ラストの「不思議は不思議」ではイントロで大きなハンドクラップが起き、サビではオーディエンスの腕が大きく左右に振られた。

  デビューアルバムからサードアルバムまでのプロデュースをABEDONが手がけた氣志團が、三番目のアクト。「音楽すべての師匠」「返しても返しきれない恩があります」などと、メンバーがABEDONを語る映像に続いて始まったのは『アベストテン』という企画だった。

  氣志團メンバーがバックバンドを務め、綾小路 翔は名司会者に扮して、10位から1位までの曲を紹介していく。ユニコーン/ソロ/ABEX GO GOでABEDONが書いた曲から選曲、それぞれを日本の有名ヒット曲風にアレンジ、ユニコーンのメンバーをはじめとする出演者たちがそのコスプレで登場して歌う、というもの。

  1日目も同じ内容だったが、前日に失敗した箇所が今日は成功した者あり、逆に前日はうまくいったのに今日はミスった者あり、前日言わなかったアドリブをぶちかまして大ウケするものありで、場内は終始爆笑に包まれた。

 

  トリのユニコーンは、前半でそれぞれのメンバーの50歳イベントの時に発表してきた曲を1曲ずつ披露するという、全員の『50祭』を総括するメニュー。この『ABEDON 50祭』のために書き下ろされた新曲「RAMBO N°5」も1曲目でライブ初公開、全員ミュージックビデオそのままの扮装で歌い踊る。

  後半は「ひまわり」や「WAO!」など、ユニコーン再始動後にABEDONが生み出してきた曲たちが並ぶセットリストで、本編ラストでは、TBS系ドラマ『重版出来』の主題歌「エコー」と「RAMBO N°5」と共にこのイベントのために書き下ろされた「50/50」の2曲を、初めてライブで披露。「50/50」の「君と僕はそう ふたつでひとつ そして僕たちは いつつでひとつ 新しい今を うたおう」というリリックが感動的に響きわたった。

  アンコールの「人生は上々だ」でABEDONはプレスリー風の衣裳に身を包んで1F客席後方から現れるという、山形ではおなじみの登場。前日は右後方からだったがこの日は左後方から客席をつっきってフロア後方のお立ち台まで到達、「しーあわせ! しーあわせ!」とコールを求めながら、山形の花笠に入った「幸せ」(紙吹雪)を盛大に撒く。

  そして「幸せ」を撒きながらステージまでたどり着く。ほぼ曲を歌いきり、最後のブレイクのところで客席に「おまえたちのしゃべりを聞かせてくれ!」と「脱げ!」コールを求め、それに応えてプレスリーの衣裳を脱ぐとその下にはブルース・リーの黄色いジャンプスーツが。ヌンチャクを振り回し、手島のマイクスタンドに付いたピックを飛ばしたり、メンバーにモミアゲを貼って回ったり、今日が最後だというピンスポット担当の照明スタッフに50歳記念の超特大ABEPELLI(ABEDON人形)をプレゼント(前日は7列30番の席のお客さんにプレゼント)するなど、自由の限りを尽くす。

  そしてそのまま曲に戻ろうとするも、奥田民生にストップをかけられる。「昨日の今日だから、きみにも何かあるよ」。前日はサプライズでバースデーケーキのプレゼントがあったが、この日は愛弟子=氣志團から、シャンパンタワーならぬABEDONビール(地元の月山ビールとコラボして作られた)タワーが贈られる。綾小路 翔に無理やり勧められ、「ランランルー」のコールに答え、3杯のビールを飲みしてからようやく曲を再開、エンディングまで走り抜けた。

  ABEDONが去ったあと、メンバー4人はステージを数度横断しながらオーディエンスに手を振り、感謝の意を伝えた。

 

  この日の模様は9月30日(金)21:00から、フジテレビNEXTライブ・プレミアム/フジテレビNEXTsmartにてオンエアされる。

  ユニコーンは8月10日に約2年5ヵ月ぶりとなるニューアルバム『ゅ 13-14』をリリース、9月3日(土)東京・府中の森芸術劇場どりーむホールから、追加公演含め全34本の全国ツアー「ユニコーンツアー2016 『第三パラダイス』」が始まる。