兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

ユニコーン 奥田民生50祭 “もみじまんごじゅう”/5月12日(火)@広島文化学園HBGホール(2日目)

ユニコーン 奥田民生50祭“もみじまんごじゅう”』、2日目。

各アクトのレポです。

 

1.奥田民生~弾き語り~

出ずっぱりで長丁場であること、体力的に大変なこと、なので今日弾き語りで始まるのはありがたいことなどをアピールしつつ、しまいには「体力温存します」「手を抜きます」とまで宣言しつつ、そして「1曲終わるたびにMC長くやれば3曲ぐらいで終われるよね」みたいなことを言いつつ、あと声を張らないタイプの曲を終えて「……これはいいな」などとひとりごちたりしつつ、6曲+ちょっと(途中で斉藤和義“ずっと好きだった”のイントロだけ演奏。あと”やさしくなりたい”もちょっとだけ)をプレイ。

そんなこと言いながら、ひとっつも手を抜かない、むしろ「しょっぱなからそんな絶唱して大丈夫?」みたいな歌いっぷりでした。すんげえ声、すんげえ歌、つくづく。11月28日マツダスタジアムがいっそう楽しみになりました。

 

2.サンフジンズ

1回目のMCでOT……じゃなかったカイ・ギョーイ、「広島の人はまだサンフジンズ知らないんだよ。そうか、こっちはみんなもう知ってるみたいな気になってたけど」みたいなことを言う。より正しく言うと、サンフジンズは知っていても、“じょじょ”くらいしか曲を知らないのだと思います、CDがまだないので。

というわけで客席の反応はワーキャーにはなりませんでしたが、でもみなさん、「これがサンフジンズの音楽か」と、真剣にじいっと聴いている、そんな風情でした。

カイ・ギョーイ流の軽やかで時にハードなロックンロールと、岸田……じゃなかったジューイ・ラモーン特有のコード進行&メロディ展開の楽曲のブレンド、そこに伊藤大地の……じゃなかったケン・シューイのヨコの揺れとタテの切れ味を併せ持つリズムが加わるとこうなるのか!という新鮮さがどの曲にもある。アルバムなのかミニアルバムなのかわかりませんが(さすがにシングルではないと思う)、作品、楽しみです。

あと、昨日から思っていたんだけど、普段ギターの人がベースを弾く時は、やっぱりショート・スケールで小さめなベースを選びがちなものなんですね。カイ・ギョーイもジューイ・ラモーンもそうでした。昨日のスパ de SKYはジャズベース弾いてましたが。

 

3.ユニコーン

Twitterにも書きましたが、1日目と違ったところは、4曲目、“ロック幸せ”の代わりに“I’M A LOSER”やったことと(ただし歌い出しの「♪とーどーかないー」のところ、OT、マイクを逆さに持ってました。そこだけABEDONが歌を出していたぽかったです)、アンコールの“人生は上々だ”の途中でABEDONが演奏再開をさえぎったと思ったらPUFFYがバースディケーキを押して登場、会場全員で「ハッピバースディ」を歌ってOTがすんごい照れながらロウソクの火を吹き消す、という演出があったことと、本編の後半からOTが「もうすぐ終わると思うとウキウキして」どんどん元気になっていたこと、でした。

あともうひとつ、1曲目の新曲(入場者がダウンロードできるやつで特設サイトにMVが上がってるやつのメタルのほう)“ロック!クロック!オクロック!”の時、ステージ前方に火柱が上がるんだけど、1日目よりも2日目のほうが、OT、よりいっそう焦げそうになっていました。ちなみにSEは2日ともLOUDNESSがバンド名を冠した曲“LOUDNESS”でした(おそらくライヴ盤のバージョンではないかと思います)。

で、昨日書いた「コンセプトあり」というのが何かというと、普段は他のメンバーが歌っている曲をOTが歌う、ということ。“ペケペケ”ではギターをベースに持ち替えて普段EBIが歌うAメロをOTが歌い、OTが歌うサビをEBIが歌う。“人生は上々だ”では、いつもハンドマイクで走り回りながら歌うABEDONに代わってOTがハンドマイクを持つ。途中のブレイクで客いじりやメンバーいじりを延々くり広げてなかなか曲に入らない、というABEDONの定番ネタもコピーしようとするも、1日目はすぐ行き詰まり「よくいつもあんなに長くやってるなあ」とABEDONを賞賛、2日目は「えーと……いつもどんなこと言ってたっけ?」とABEDONに訊くも「えーと……忘れた」と、まさかの切り返し。場内爆笑。

とにかくおもしろかったし、演奏も歌も大充実でした。それから、前述のメタルの新曲“ロック!クロック!オクロック!”は完全にギャグのつもりでやってるんだろうけど実はいろいろ聴きどころがあったり、7曲目にやったもうひとつの新曲“私はオジさんになった”が、サイトで聴いた時から思ってたけど生で聴くとよりいっそう「こんな出し方でいいのか!」と言いたくなるほどのすんごい名曲であること、などについても書きたいが、それはまたいずれ。

 

余談。終演後、1日目に出ていなくて2日目に出た唯一のアクト、ジューイ・ラモーンことくるり岸田くんにあいさつに行ったのですが、「(OTには)ほんま、頭が下がりますねえ。自分ももっとがんばらなあかんと思いましたわ」みたいなことを、しみじみとおっしゃっていました。

「自分の誕生日やのに」

確かに。ユニコーンのどうかしてるっぷりに慣れてるもんで忘れてたけど、本来誕生日って、人に祝ってもらったり、もてなしてもらったりするものですよね。誕生日に自分が人に過酷なサービスをすることを強いられるユニコーンシステムの理不尽さに思いを馳せながら、帰途につきました。