兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

2015年6月17日、[Alexandros]代々木公園フリーライヴを観て思ったこと

今まさに破竹の勢い、絶好調、テンションも気合いもクオリティも上がり放題、みたいな状態にいるバンドが新しく出すアルバムが、「その勢いをそのまま封じ込めた傑作」というのではなく、そのさらに一段階上のすごいものになってしまうことがある。作った当人たちも「ここまでのものになるとは」と驚いているのではないかと思うような、己のコントロール下にある力以上の、言ってしまえば魔法のような何かがこもった作品になることがある。

って、別にそんなようなセオリーがあるわけではなくて、聴き手としてのこれまでの経験上、僕が勝手にそう思っているだけなんだけど、たとえばTHEE MICHELLE GUN ELEPHANTでいうと、『Chicken Zombies』の次の『ギヤ・ブルーズ』がそうだと思う。マキシマム ザ ホルモンでいうと『ロッキンポ殺し』の次の『ぶっ生き返す』がそうだと思う。なんでミッシェルとホルモンを例に出したのか、自分でもよくわかりませんが。今パッと思いついただけなんですが。

 

でも、『ALXD』ってそれなのかもしれないなあ。と、そのリリース日に代々木公園野外ステージで行われた[Alexandros]のフリー・ライヴを観ながら思った。MCで川上洋平も触れていたように、音量制限のせいで音が小さくて、彼らのライヴとしては決してベストな状態ではなかったけど、でもそんな得体のしれないものが、プレイされた『ALXD』の曲たちから伝わってきた。それ以外の過去の曲たちもすばらしかった。以前の曲も新しい曲も、メロディもすばらしいけどまずイントロのギターリフで聴き手をガッとつかむ力がすごいんだよなあ、このバンドは。ということを、改めて思ったりもした。

 

で、さっき「音が小さくて」って書いて、自分がなんでミッシェルのことを思い出したのかわかった。

この代々木公園野外ステージの隣、今はフットサルコートが何面もあるスペースで、ミッシェルが『ロデオ・タンデム・ビート・スペクター』をリリースした日にフリー・ライヴをやったのを観たからだ。今調べたら、2001年の5月23日だった。アルバムの頭から最後まで曲順どおりやる、というライヴだった。すさまじい爆音だった。代々木公園の音量制限が厳しくなったの、あれ以降ではないかという気がします。