田中貴プレゼンツ『Such A Night』のこと
サニーデイ・サービスのベーシスト、田中貴プレゼンツの「Such A Night」という夜中のDJイベント(この「DJイベント」という呼称、おっさんくさくてイヤなんだけど、『パーティー』という呼び方では伝わらない人には伝わらないのでやむを得ずそう書きます)を、彼と一緒に続けている。
最初は3ヵ月にいっぺんくらいのペースで、途中で2ヵ月に1回になって、今は、本来は2ヵ月に1回やりたいんだけど田中の本業が忙しくて、なかなかそうもいかなくなってきて、「2ヵ月か3ヵ月か4ヵ月に1回」みたいな、不定期のイベントになっている。
いちばん最近やったのは2月25日で、通算35回目でした。
そもそもの発端は2008年までさかのぼる。
フラワーカンパニーズのグレートマエカワは、当時フェスとかでよくDJをやっていたのだが、それは「みんなでラジオ体操をやる」とか「坂本九の『ジェンカ』かけてグレートもフロアに下りてみんなと一緒にジェンカをやる」というような、パフォーマンスDJとでも呼ぶんでしょうか、そんなスタイルだった。
で、一緒に飲んでいる時に、あれはあれでいいけど、ああいうんじゃなくて、踊れなくてもいいから飲みながら自分が好きな曲をかけるようなDJもやりたい、お客さんも聴いてても聴いてなくてもいいようなゆるいやつがいい、とか言うので、「じゃあやろうよ」と答えた。
当時、曽我部恵一が下北沢で始めたばかりだった、中古レコードショップ&カフェ、CITY COUNTRY CITYが、ライブやDJイベントもやっているお店だったので、相談してみた。入場無料の代わりにチャージバックもなしという形ならできますよ、ということだったので、それでお願いした。そのイベントの日は、普段はもっと遅くまでやっている通常営業を23時でいったん終わらせて、フロアのテーブルをどけたりして準備して、0時から5時までやりましょう、ということになった。
ただ、グレートと僕、ふたりだけで5時間というのはちょっとしんどい、どうしよう?という話をしている時に、グレートが「田中呼ぶ?」と発案した。
当時の田中は、スネオヘアーのマネージャーのようなディレクターのようなプロデューサーのようなライブ制作のような仕事をしながら、ちょこちょこベーシストとしての仕事も再開している時期だった。ような気がするが、声をかけたら「やる」と言うので、3人で始めた。
スタンディングで50人も入れば満員の店で、入場無料だったので、毎回大盛況になった。
ただ、グレートのDJは、当初言っていたような「ゆるいやつ」では全然なかったけど。結局1回目からジェンカやってたし。
ちなみにその1回目の開催、2008年7月18日だったんだけど、それ、今考えるとサニーデイ・サービスが『RISING SUN ROCK FESTIVAL』で再結成ライブをやります、という発表の1週間前だった。
で、その夜、イベントやってたら曽我部恵一と丸山晴茂が来て、明け方4時くらいに3人ともいないことに気がついて外の非常階段を見たら、そこで3人が話していて、「これは……もしかして……」と、非常にドキドキモヤモヤしたのを、今でも憶えています。
やはり、そこで再結成の具体的な話をしていたそうです。その時は教えてくれませんでしたが。あたりまえか。
2016年の夏にSPICEで行った、フラカン×サニーデイ座談会でその話もしたので、詳しくはそちらをどうぞ。
で。そのまま何回か続けていて、メジャー復帰して忙しくなったグレートの都合が合わない時は、アナログフィッシュ佐々木健太郎を招いて「Bar健太郎」として行ったりもしていたんだけど、CCCで充分な音量でイベントをやることが、だんだん難しくなってきた。
という頃に、田中貴は自分で『Such A Night』というイベントをやった。三宿Webに「イベントやりません?」と誘われて、ラーメン屋仲間(って田中はラーメン屋ではないが)とかで集まって、とりあえず1回やってみた、というような感じだったらしい。
それで、2回目どうしよう、お店には続けるとも1回だけとも言ってないし、みたいな話をするので、「あ、じゃあ俺とやる?」と持ちかけた。
その『Such A Night Vol.2』を行ったのが、2009年10月16日。
今、記録を見たら、田中と僕のほかにゲストDJで、ホフディラン小宮山雄飛と、当時活動休止中だったウルフルズのサンコンJr.に来てもらっている。
以降、田中と僕はレギュラー、グレートは「なるべく」レギュラー、プラスゲストDJ、という形で、2017年現在まで続いている。
過去ゲストDJで来てくれた方、書き出してみます。敬称略。
松尾スズキ/河井克夫/タカイチ★ヤング/曽我部恵一/ウルフルケイスケ/RAM RIDER/大根仁/森山未來(シークレットで)/やついいちろう/佐々木健太郎/スネオヘアー/渡辺祐/ぶどう from OKAMOTO’S(オカモトレイジ&ハマ・オカモト)/Super Benjamin(福岡晃子&菊地美佐子)/西浦謙助/IMALU/オクイシュージ/村上純/小里誠/大谷ノブ彦/松本素生/新井仁/セミノスキ(村杉蝉之介)/長谷川プリティ敬祐/ナガイケジョー/ウエノコウジ/奥野真哉/小田島等/ジェットセイヤ
複数回お願いした方も多い。特に曽我部さんや松尾さんは、何度も出てくださっている。
にしても、田中と私とグレートの誰かがツテあった方を誘いまくってここまで来たのだなあ、ということがわかります、こうしてお名前を並べてみると。
ミュージシャン、DJ、俳優、編集者、監督。芸能人もいる。芸人さんも、やついいちろうとダイノジ大谷はほぼ本業状態でDJやってるけど、しずる村上純はレアだと思う。
あと、IMALUはやついくんに紹介してもらったんだった。まだ今ほどテレビに出ていなかった頃です。
2017年2月25日の『Vol.35』は、go!go!vanillasの長谷川プリティ敬祐&ジェットセイヤが出てくれた。セイヤは人生初DJ。プリティには2年前にも来てもらったんだけど、その頃とはファンの集まり方と盛り上がり方が全然違って、そうかあ、バニラズ売れたんだなあ、と、しみじみと思ったりもしました。
あと、プリティはフラカン好きで、デビュー前の頃『Barグレート』に遊びに来てくれたことがあるそうです。という話にも、そうか、もうそんな年月が経っているんだなあ……と、しみじみします。
そんなふうに続いている『Such A Night』、次回は2017年4月1日土曜日に行います。
23時スタート、三宿Webにて。ゲストは、久々のアナログフィッシュ佐々木健太郎と、初登場のART-SCHOOL木下理樹。
健太郎に「最近リッキーと飲んだんですけど、誘いません?」と言われて、「あ、そういえば声かけたことなかった!」と気がついた。
楽しみです。ふたりとも飲み始めると終わりがない、そして際限なく酔っぱらっていくタイプなのが、ちょっとだけ気がかりですが。
あと、このラインナップで行うことを発表した時に、アナログフィッシュ、新しい作品を作るために4月9日を区切りにしばらくライブ活動休止期間に入るのに、いいのかなあ? みたいなツイートを見かけた。
確かにそう宣言している。バンドだけではなく、健太郎の弾き語りライブも休むと。
でも健太郎さん、ライブ活動を休んでいようが、曲作りを進めていようが、毎夜お酒はお飲みになるわけですよね。そのお飲みになる場所が、下北沢あたりの居酒屋から三宿Webになる、というだけなのでは? ならばお願いしてもいいのでは?
と思い、マネージャー氏におうかがいを立てたら「いいですよ」ということだったので、お願いしたのでした。
ただ、ひとつ心配なことがある。
健太郎、前回来てもらったのは1年前、2016年4月8日だったのだが、その夜彼は、三宿Webにアコースティック・ギターを背負って現れたのだ。
「あ、練習帰りだったの?」「いや……歌おうかなと思って」
「えっ? ここで?」「……はい」
で。歌いました。急だったもんでギターのPA出しも歌用のマイクのセットも間に合わず、「ごめん、生でやって」と言ったら、ギター抱えてフロアに下りていき、ねり歩きながら生声&生ギターで熱唱しまくり。
とてもよかった。そして、ウケていた。遊びに来ていた私の知人などは、それまで健太郎のことを「田中さんのイベントにたまに来てDJやって飲んで踊り狂って酔いつぶれる人」としてしか認識していなかったが、それですっかりハマってしまい、アナログフィッシュはもちろん彼の弾き語りライブにも行くようになったという。
なので、「健太郎、今回もギター持ってくるかもな」「でもライブお休み宣言をしている時期にここで歌うのってどうなのかしら」「かと言って歌うなって言うのもおかしいしなあ」「あ、4月9日より前だからいいのかなあ」などと、心配なような楽しみなようなやっぱり心配なような思いが交差しながら、当日を待っているわけなのでした。
とりあえず、健太郎には、歌うなとも歌ってくれとも言っていません。
言わずに当日を迎えようと思います。
アナログ、アート、サニーデイのファンの皆様、どれでもなくても音楽やお酒が好きな方、ぜひ。
田中貴プレゼンツ 『Such A Night Vol.36』
2017.4.1(Sat) @ 三宿Web
OPEN/23:00 2,000円(1ドリンク付)
【DJ's】木下理樹(ART-SCHOOL,killingBoy)/佐々木健太郎(アナログフィッシュ)/田中貴(サニーデイ・サービス)/兵庫慎司
20歳未満入場NG・IDチェックあり
三宿Web 154-0051 東京都世田谷区池尻3-30-10 B1F
TEL&FAX:03-3422-1405 http://www.m-web.tv/