兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

なぜ下北沢には楽器屋がないんだろう

  東京に住んで25年経つのに、今まで気がついていなかったことがあった。

 

  下北沢って、なんで楽器屋がないんだろう。

 

  6月26日日曜日、下北沢GARDENで黒猫チェルシーを観ている時、ギターの澤竜次はメインの白いストラトのほかにセミアコとテレキャスター、ベースの宮田岳はメインの水色のジャズベースのほかにSGも使っていて、あ、持ち替えた、SGベース使ってる若いミュージシャンめずらしいな、SGベースつうと佐藤研二だよな……とか思っているうちに、「……あれ? そういえば下北、楽器屋、ないよなあ」と、唐突に気がついたのだった。

 

  下北沢、言うまでもなく、ライブハウスはいっぱいある。渋谷、新宿に次ぐ多さ、いや、ヘタしたら新宿よりも多いかもしれない。

  で、リハーサルスタジオやレコーディングスタジオも、いくつもある。なので、楽器を持って歩いているバンドマン、いっぱいいる。

  にもかかわらず。何ゆえに楽器屋はないんだろう。中古楽器店はあるが、渋谷みたいにKEYとイケベとイシバシがひしめき合う、みたいなことにはなっていない。というか、そういう大手楽器店チェーンの類い、ひとつもない。

  試しに「渋谷 楽器店」で検索かけるとばんばんひっかかるのに、「下北沢 楽器店」だと、やはり、中古楽器屋とかしか出てこない。

 

  下北沢、よく「音楽と演劇の街」と言われるが、僕が東京に来た頃は、まだ屋根裏と下北沢ロフトぐらいしかなかったと思う。

  そのちょっとあとにシェルターができ、さらに2~3年後にCLUB Queがオープンした頃から、CLUB 251、ガレージ……と、どんどん増え始めて現在に至る、というような印象がある。

  今、調べてみたら、シェルターは1991年、CLUB 251は1993年、CLUB Queとガレージは1994年のオープンだった。そうか、Queより251の方が早いのか。

  シェルターは、「新宿ロフトが入っているビルが建て替わるからそのつなぎで下北沢にライブハウスを作るらしい」みたいな情報を事前に知っていて、オープン記念イベントシリーズが何日かあった中の1日に、行った記憶があります。ロッテンハッツを観ました。

  最初にCLUB Queに行ったのは、桜井秀俊がやっていたびっくりしたな、もう……で合ってるよな、パイオニアコンボじゃないよな、メンバー3人だったから。当時ROCKIN’ON JAPANで行っていた「下北沢バンド紳士録」という連載コーナーの取材で、Queの楽屋でインタビューさせてもらったんじゃなかったっけ。

  パイオニアコンボの方は、同じ連載の中で、笹塚あたりのファミレスで取材したような気がする。その頃のJAPAN、とうに持っていないので、確認のしようがないのですが。

  ガレージに初めて行ったのは、これは覚えている。デビュー前、なので1994年くらいかな、上京してきたばかりのフラワーカンパニーズだった。当時フラカンは都内でめったやたらとライブをやっていて、僕はそれを全部追いかけていた。なので、当時、フラカンのおかげで初めて行きました、というライブハウス、多かったです。

 

  話がそれた。戻します。

  にもかかわらず楽器店がないというのは、ちょっとどうなのか。

  いや、どうなのかってことはないが、楽器屋作れば商売になると思いません? 素朴に不思議です。ライブハウスにしろスタジオにしろ、「あ、替えの弦がない」とか「スネアのヘッドが破れた」とかいうので、日常的に需要、ありそうなのに。

  近々、ミュージシャンに会う予定があるので、そのあたりどうなのか、訊いてみようと思います。

  あと、リットーミュージックのギター・マガジン編集部に、去年一緒にフラカンの単行本を作った編集者がいるので、メールで教えを乞いたい気持ちもあるのですが、「久々にメール送ってきたと思ったら、なんなんだその用件はあんた」と、僕と同い歳の彼に思われそうなので、躊躇しているところです。

 

  あ。僕が東京に来た時にはすでに下北沢に事務所があった、UKプロジェクトの人に訊けばわかるか。

  わかるかもしれないが、それと同時に「わざわざこんなこときいてきて、こいつヒマなのかな」「ヒマなんだろうな」「フリーになって1年経って、ご祝儀仕事もひととおり終わってすっかり干上がってるんだろうな」とか思われそうなので、やめておきます。