なぜ下北沢や三軒茶屋にもキャバクラがあるのか
下北沢や三軒茶屋にもキャバクラらしきものはあって、連日ワイワイ客引きしておられるが、どういうマインド設定をすればこれらの街でこれらの店で楽しい時間をすごせるのか、というイメージがどうしてもできないまま、早くも25年経過。
というツイートを、先日した。銀座とか六本木は高い、だから新宿歌舞伎町とか渋谷、というのはまだわかるけど、下北とか三茶ってそういう街じゃないじゃん。特に下北ってバンドマンとか演劇人とかがウロウロしてるとこでしょ。来ないよね? そういう店に。なんで?
と、以前から不思議に思っていて、その日の下北沢にも客引きがいっぱいいたので、なんとなくそうツイートしたのだが、それを見た知人の編集者が、即座にリプライをくれた。
曰く、
あれです、六本木や新宿などとは違い、近隣に住む女子大生的なより身近な女性が在籍していて、よりあわよくば感が強いというマインドではないでしょうか。
ということです。
なるほど! と、とても、大変に、それはもうものすごく、納得した。さすがKさん。次々とヒット作・話題作を出している敏腕編集者だけのことはある。
というのも、僕がいつも前を通る、下北沢の……あそこ、キャバクラじゃなくてガールズバーだけど、よく女の子たちが店の前に出て、客引きをしているのですね。
で、その子たちが、CLUB Queのビルのファーストキッチンでギャハギャハ笑いながらたむろっていそうな、昔レコファンがあったとこの近くのイタリアントマトで延々とだべっていそうな、曽我部恵一さん経営の素敵なお店CITY COUNTRY CITYには来なさそうな、ライブハウスや劇場にも、うーん、来ないかも、というような、でもビレバンにはいそうな……しつこいですね。そろそろやめますが、とにかくそんな感じの、ごくごく普通の子たちなのです。顔とかスタイルもだけど、着ているものも含めて。
「え、この子たちと飲むために、普通の飲み屋より高いカネ払うの?」というのも、かねがねから疑問だったのだが、そっちの疑問も一気にとけたのだった。「確かに!」と。
僕は人生で三度だけ、「こういうのをいわゆる高級キャバクラというんだろうな」というような店に行ったことがあるのだが、それ昔某大手マネージメントの偉い人がおごりで連れて行ってくださったのだが、もっと言うと三度ともその同じ人というのが我ながらどうかとも思うし、「あんなにおごっていただいたのになんにもお返しできてなくてとても申し訳ないです」という気持ちを抱えたまま10年以上が経過していたりするのだが、とにかく。
もう見るからに高そうな店で、出てくるおねえさんたちみんな「まあおきれい!」「ザ・キャバクラ!」みたいな感じで、僕がもともとそういう店が苦手なのは置いといても、「こんな子たちが俺とか相手にするはずがねえ」という確信が、席に着いた瞬間に芽生え放題芽生えて、ゆえに愛想よくされても居心地悪くて、私なんぞがこんなとこに座っていてほんとに申し訳ございません、と四方八方に頭を下げ続けたくなるような、そんな感じだったのでした。
という観点からすると、その下北のガールズバーみたいに「ただのそのへんのねえちゃん」の方が、確かに「あわよくば」感を持てますよね。と、納得したのでした。
そうか。だから高円寺にも、いっぱいそういう店があるのか。
なお、その人生で三度だけの高級店、二回は六本木で一回は大阪の北新地だったのだが、一回目に六本木の店に行った時、「今日入ったんです」という初々しいおねえさんがいた。
で、半年くらい経ってまたその店に行ったところ、その同じおねえさんが付いたんだけど、もうあからさまにどかーん!と、胸がでっかくなっていた。どう考えても自然にそうなるはずはない、というのが明白なレベルで。
何か、もの悲しい気持ちになりました。めっちゃきらびやかな店の中で。
渋谷にBAR BOSSAというワインバーがあって、いい店で、長いこと通っている。そしたら数年前、そこのマスターがcakesでコラムの連載を始めたり、本を出したりするようになった。
その人、「渋谷の隠れ家的なバーのマスターだから知っている、恋愛についてのいろんな話」みたいなコラムを書いていて、人気を博しているのですね。本人は、既婚者で、浮ついたところのない、品行方正なキャラクターなんだけど。歳は僕のひとつ下です。
ならば。俺が彼のように、色恋とかおねえちゃんとかの方面のことを書いてみたら、どうなるだろう。
と思って書いてみたら、こんなことになってしまいました。
目も当てられないとはまさにこのこと。と、自分でも思います。