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兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

DJをやっている

チャーベくん(松田岳二)は僕の2つ下で、同じ広島出身である。地元にいた頃は知り合いではなかったが、東京で面識ができて「お互い広島出身なんですよねえ」とか話していた時、彼が言ったことをよく憶えている。曰く「僕、楽器できなかったから、クラブでDJやるほうに行ったんですよね」。びっくりした。当時の広島にクラブとかあったのか! っていうかその当時、既にDJっていう概念が存在していたのか!

「してたっつうの」という話だが、僕は全然知らなかった。ディスコではなくてクラブというものがある。そこにはDJがいる。DJといってもしゃべるんじゃなくて、曲を選んでレコードをかける人で、ラッパーのうしろにいる人のところにあるのと同じ、レコードかけるあれ、なんつうんだっけ、レコードプレーヤーっていう呼び方じゃなくて……そうだ、ターンテーブルだ。それがふたつあって、その間をミキサーとかいう機械がつないでいる。

ということを僕が知ったのは、東京に出て音楽雑誌の仕事をするようになってからだから、チャーベくんが広島でDJを始めた6,7年後だと思う。

 

そんな奴が今、時々DJをやっているんだから、本当にちょっとどうかと思う。思い出すと、初めてやったのは1996年とかそれくらいだから、けっこう長い間やっていることになる。しょっちゅうやっているわけではない上に向上心もないので(楽しくはあるんですが)、全然うまくならないにもかかわらず。

なお、上のタイトルはTheピーズの“日本酒を飲んでいる”にかけてみたのですが、誰にも伝わらないと思います。だからといってこうして自分で説明しているのはもっとダサいと思いますが、とにかく、時々DJをやっている。

 

確か最初は、知人の編集者が、「エレカシナイト」という一晩中エレファントカシマシの曲だけをかけまくるというイベントをやっていて、それに誘われた時だと思う。

当時はDJどころかクラブなる場所に行ったことすらない。「DJ? 僕が? なんで? できませんけど」「大丈夫大丈夫、ただ曲をかければいいんですから」という、今思うと相当に雑な説得に負けて、わけがわからないながらも参加した。どの曲をかけたかとか全然憶えていないが、場所が経堂の焼肉屋の地下にあったURGEというライヴハウスだったことと、ゲスト・バンドでデビュー前のELEPHANT MORNING CALL(懐かしいな)が出ていたことは記憶にあります。

 

その次は、高円寺のバーだった。当時の上司(山崎洋一郎)が、行きつけの店にイベントやってくれと頼まれたらしく、「おまえらもDJやれ」ってことになったのだった。

30人も入ればいっぱいの店で、ターンテーブルはあったがそんなものに触れる技術などなく、「すみません、僕、CDなんですが」「じゃあこれ使ってください」、見るとCDウォークマンが2台ミキサーにつながれている。「スタートを2回押すとポーズかかるから、それで曲の頭出ししてください」。今思うと「いくらなんでもそれはちょっと」と言いたくなるが、知識がないゆえにそういうものなのだろうと思い、粛々とそれで音楽をかけていた。

我々も不慣れだが、ほぼ全員がロッキング・オン・ジャパンの読者だったと思しきお客さんたちはもっと不慣れで、お客さんのひとりに「あの、さっきからずっと曲がかかってるだけなんですけど、このあと何が始まるんですか?」と訊かれたのを憶えています。

 

その次から、いきなり規模がでかくなる。

1999年、当時僕はBUZZという洋楽と邦楽を両方扱う、ちょっとダンス・ミュージック寄りの音楽雑誌にいたのだが、その編集長=鹿野淳が「この雑誌で毎月イベントをやる」と言い出した。「クラブエイジアでやる。2フロアある。だからおまえもDJやれ」「は、はあっ!?」

その1年前にBUZZに異動になり、それまでちんぷんかんぷんだったダンス・ミュージックのおもしろさがようやくわかりはじめた頃で、ひとりでクラブに行ったりするようにもなっていたとはいえ、だからってDJもできるって話ではない。サブフロアの方はロック中心だったのでなんとかなったが、メインフロアでもやれという。

当時僕は、テクノやハウスのDJは曲のBPMをそろえて曲をつないでいくものだということすらよくわかっていなかった。というか、わかっていても、そのやりかたなど知らない。

なのにやった。雑誌の人気のおかげで、ハコから溢れるほどお客さんが集まっている。300人以上入ったフロアに、ド素人のDJ。BPM120の曲の次に、適切なブレイクも作らないままBPM150の曲をかけるなど、むちゃくちゃにもほどがあるプレイだった。かける曲順を事前に考えて紙に書いているのを曽我部恵一に見られ、「兵庫さん、DJってそういうもんじゃないからね。お客さんの感じを見ながらその場でレコードを選んでいくもんだからね」と諭されたことがあります。

 

でもとにかく、冷や汗を滝のように流しながら毎月やっているうちに、曲をつなぐということを覚えたり、やっぱりアナログのほうがかっこいいと思って渋谷のレコ屋を回って買い漁るようになったり(当時の渋谷は世界でもっともレコード屋がある街だった)、それでハウスの各ジャンルやレーベル買いなんかを覚えたりした。

DJはうまくならなかったが、ダンス・ミュージックには詳しくなった。あと、SUGIURUMNやDUCK ROCK、GETTING BETTERの片平実などのDJたちとも、このイベントを通じて交流ができたりもした。

それから、このイベント、毎回ゲスト・ライヴもしくはゲストDJを、事前に発表せず、来てくれた人へのサービスとしてブッキングしていた。

POLYSICSナンバーガールKICK THE CAN CREW、BOOM BOOM SATTELITES、AIR、SUPPER BUTTER DOG、ASIAN DUB FOUNDATION(DJ)……今思うとすごいメンツである。というか、今だったら出てくんないと思う。なんで出てくれたんだろう、ということすら、今になるとよくわからない。

なお、くるりは、「このイベントだったらこういうことをやってもいいですよね」と、「田主」という変名で、45分1曲のインストをやる、という形で出てくれました。

 

そのイベント『BUZZ』をやっていた後半の時期からだったか、下北沢Club Queの『ROCK JP』という月イチイベントに呼ばれるようになった。最初に書いた『エレカシナイト』をやっていた人たちのレギュラーイベントで、名前のとおり、かかる曲は日本のロック限定。で、「ゲストDJで誰かミュージシャンとか来てくれませんかねえ」と相談され(僕を誘ってくれたのはそれが目的だったのではないかと思う)、くるりの岸田くんに来てもらったりした。

確か、ダイノジを誘ったのも、このイベントだったと思う。ダイノジのイベント『ジャイアンナイト』の公式サイトを見ると、「【DJダイノジ】2005年仕事がなかったダイノジ大谷にrockin’on兵庫慎司氏がDJを薦めて始動」と書かれているし、大谷くんもことあるごとにそのことを言ってくれるが、もちろんその時は、それがきっかけでダイノジが今のようなことになるなんて予想だにしていない。単に「それだけロック好きならDJやってみたらいいんじゃない?」と、気軽に誘っただけだった。

何か、えらいことをしてしまったような気がしないでもない。あの時超満員になったのと、大谷くんのDJがものすごくウケたのが、よくなかったのかもしれない。よかったのかもしれないが。

 

それ以降。

イベント『BUZZ』が3年で終わったあとは、鹿野淳とふたりでイベントを始めるもお客さんが入らなくて3回で終わったり、青山のfai aoyamaというクラブでハコDJをやっていた知人の誘いでレギュラーでやらせてもらったり(ダンス・クラシック中心のハコなので、毎回とても苦労したのを憶えています)、その人と別のハコでハウスのイベントを立ち上げるもやっぱりお客さん入らなくて3回で終わったり、「お酒飲みながらしっとりDJできるようなイベントやりたい」とグレートマエカワ(フラワーカンパニーズ)が言うので、「じゃあやろうよ」と当時オープン直後だった曽我部恵一のお店CITY COUNTRY CITYで、田中貴(サニーデイ・サービス)も誘って『Barグレート』という無料イベントを始めたり、昨年DJを引退した前田博章くんのイベント『puke!』に参加させてもらったりした末に、今は三宿Webで2ヵ月に1回『Such A Night』というイベントをやっている。

田中貴プレゼンツという体で、レギュラーは田中とグレートと私の3人、プラス毎回ゲストDJが加わる。これまでに松尾スズキさん、河井克夫さん、オクイシュージさん、やついいちろうくん、コレクターズ小里さん、ウルフルズサンコンウルフルケイスケホフディランの雄飛くん、大根仁監督(この時はシークレットで森山未來もDJをやった)、OKAMOTO’SからDJぶどう(ハマ&レイジ)、チャットモンチーのアッコちゃんのユニット=スーパーベンジャミン、などなどのみなさんに出ていただきました。

次回は5月22日(金)、23:00から三宿Webにて。DJはレギュラー3人に加え、アナログフィッシュ佐々木健太郎(これまでにも何度か出演)、そしてgo!go!vanillasの長谷川プリティ敬祐(初登場。昔、『Barグレート』に遊びに来てくれたことがあるそうです)がDJをやってくれます。私以外、全員ベーシストですね。

 

そうです。ブログ始めたんだから、ここでイベントの宣伝とかしてもいいんだ、と気づいて書き始めたら、こんなにクソ長くなってしまったのでした。

でも、お気が向いたらぜひ。詳しくはこちらを。http://www.m-web.tv/index2.html

 

それから、5月5日に、ダイノジがイベントに呼んでくれました。『ジャイアンナイトGOLD ワンダフルジャイアン』、下北沢CLUB Que、23:00から。詳しくはこちらを。http://ameblo.jp/giannight/entry-11988165219.html

 

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