兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

Theピーズ/4月17日(金)@赤坂BLITZ

アビさん(安孫子義一/ギター)の50歳を祝うツアー「ONEMAN LIVE2015『Mr真空管半世紀記念』」の1本目。1曲目“日が暮れても彼女と歩いてた”で始まり、“Yeah”でアンコールが終わる全28曲。

「歌詞のための言葉」や「詩のための言葉」を一切用いない、普段実際に自分の口から発語される言葉だけで綴られる、ヒップホップ以上に口語体な歌詞。輪郭がはっきりしてアップダウンが鮮やかなのに、ニッポン歌謡曲の匂いゼロなメロディ。エイトビートのリズムに歪んだギターがのっかる、つまりシンプルなロックンロールのどまんなかなのに、その定形やマニュアルから常にどっかなんか外れている、というかそこに収まらない軌道を描くサウンド・プロダクト。

それがTheピーズであり、基本的にやっていることはずっとそれなのに、なんでこんなに飽きないんだろう、聴いていて。と、いつも思うが、音を厚くすることなどこれっぽっちも考えずに弾きまくられるアビさんのギターにも、その大きな鍵があるのかなあ、と、改めて考えたりした。

特に2002年の再始動後、顕著になった気がするが、この人のギターのかき鳴らし方や音の歪ませ方は、定番なようでいて実は他に例がない気がする。ピーズに憧れるバンドは今も昔も多いのに、フォロワーっぽい人たちが出てきたことがないのは、そのへんに理由があるのかもしれない。真似しようがないのだと思う。