兵庫慎司のブログ

音楽などのライター、兵庫慎司のブログです。

インタビュー 録音できて いなかった

  って、五七五でタイトルを付けている場合ではない。

  ここ数日の間に行ったインタビューの音声データを、ICレコーダーからハードディスクに保存してデスクトップの「インタビュー音声」のフォルダにも入れる、という作業をしていて、血の気が引いた。

 

  そのうちの1本が、頭4秒で止まっていたのだ。

 

  インタビューが録音できていなかった、というミス、面識ない人もある人も含めて過去の事例はいくつか知っているし、その顛末が記事になった雑誌を読んだこともある(せざるを得なかったんだと思う)。が、まさか、自分がやらかすとは。仕事で人にインタビューするようになって27年経った今頃になって。

  このリスクを避けるために、ICレコーダーを2台回す人もいる。以前勤めていた出版社はそういうルールだった。なので、僕もそうしていたが、フリーになってからの3年ちょっとの間は、1台しか使っていない。

  心配性でビビリであるがゆえに、普段からICの状態をすごくチェックすることが習慣と化しているので大丈夫、と思っていたのと、インタビューって立ち会いの編集者もICを持って来て回すのが普通だから、万が一何かあったらそっちから音声を借りればいい、というのもあった。

  が、このインタビューに限っては、僕しかICを回していなかったことを、はっきりと記憶している。

 

  うわああああ! なんで頭で止まってんだ? 電池なかったのか? いや、1個メモリ減ったら電池替えるじゃんいつも、あと俺ちゃんとICが動いてるか気になってインタビュー中も赤ランプが点いてるかどうか何度も見るじゃん、なのになんで止まってるって気づかなかったんだよあああああもううううう!

  わからない。わからないが「4秒で止まっている」のは厳然たる事実なのだった。どどどどうしよう、先方に土下座するか、いやでも無理だろもう一回スケジュール切ってもらうの、あ、そうだ、指定された文字数の目安、そんなに多いテキストじゃなかったから、記憶を辿ればなんとかなるかも、何をしゃべってたっけ俺何を覚えてるっけ、じゃあちょっとでも覚えてるうちに全部書き出そう、それをやってみて「無理! 内容的にこれじゃもたない!」ってなってからにしよう土下座するのは、ああもうそれにしても本当にいいいいいい、つくづくICもう一個回しとけばよかったあああああ!

 

  というわけで、もうパニックで、半泣きになりながら、とにかく記憶にある発言をメモしまくった。で、途中で、そうだ俺ICレコーダーからハードディスクに音声を移してる途中だった、それ以降のインタビューも保存しとかなきゃ、と気がついて、もう一度ハードディスクを開いたところ。

  その4秒の続き、既に保存されていました。

  ハードディスクにも、デスクトップのフォルダの中にもあった。要は、数日前に保存し終えていたのに、そのことを忘れていた、というだけだったのでした。

 「あ、電池減ってる」とかの何かがあって、頭4秒で自分でICを止めて、もう一回スタートしてインタビューを録った、ということなのだと思われる。で、保存する時に、その頭4秒の方の音声ファイルをそのままほったらかしにしていたのだ。

  あと、普段インタビューって古いものから順に保存していくんだけど、この時僕はなぜか、いちばん古いインタビューはICレコーダーに残しっぱなしで、2本目に古いこのインタビューはハードディスクに移していた、というのもある。

  そのふたつのトリックが合わさって、まるで「トラブルで頭4秒でICレコーダーが止まった」かのような状態が作り出された、という結論です。

 

  何がトリックだバカ。

  とにかく、全身の力が抜けて身体がグニャグニャになるほど安堵しました。

  そして、己のアホウさにつくづくあきれました。

  とりあえず、もう一台ICレコーダーを買います。

  あと、「ICレコーダーを回す」って変か、「回す」ってカセットテープでインタビューを録音していた頃の言い方だな、と書いている途中で気がついたけど、でもなんとなく好きな言い方なので、そのままにしておきます。