サウナ大ブーム前夜に希望すること
これを書いている2019年7月1日時点ではまだ放送は始まっていないが(7月19日からです)、テレビ東京系のドラマ『サ道』をきっかけに、全国的にサウナブームが爆発する兆しがある。と思う。
たとえば、人気サイト『SAUNA TIME』では、6月8日スタートで『サ道』出演者のインタビューがアップされていく、などの展開が始まっている。もうひとつたとえば、名古屋に3店舗、福岡に1店舗を構えるウェルビーの公式サイトのトップページには、とっくにドラマ『サ道』のバナーが貼られている。さらにたとえば、新橋のサウナアスティルの店内には、『SAUNA TIME』と『サ道』のコラボ宣伝ステッカーが見受けられる。などなど。
って、「サウナブームなんてとっくに来てるじゃん」と言われそうだ。もちろんそうです。だって、俺がハマってるんだから。そもそも僕は、「世の中的にはまだ流行ってない、俺は先んじて好きになった」みたいな、感度の鋭い人間ではない。なのでいつも、「俺がハマってるくらいだから、世の中的に流行ってるんだな、これは」というふうに考えることにしている。
過去の実例、ジョギングやジム通いなどを鑑みても、そうだったし。知人のライブ制作会社社長……って自分で本名でブログにも書いているから隠さなくてもいいか、ビンテージロックの若林さんの影響でエニタイムフィットネスに入会した翌日、TBSラジオ『深夜の馬鹿力』で、伊集院光がエニタイムフィットネスに入った話をした時は、「ビンゴ!」と思いました。何がビンゴだ。
ともあれ。サウナ、この先、ドラマ『サ道』とそれにまつわるキャンペーンによって、すでに充分流行っている今以上に「流行っている」状態が訪れることが、予測される。
サウナ業界が活気づくのはいいことだ、という肯定的な思いもあるけど、「これ以上混むとしんどいなあ」という気持ちも、正直言ってある。各地のサウナ付きカプセルホテルの週末の予約の取りにくさ、どんどん加速しているので。まあ、サウナブーム以上に、海外からの観光客の増加で普通のホテルが埋まっているから、という理由も大きい気もするが。
でもほんと、名古屋のウェルビー3店舗も、大阪の大東洋も、週末の深夜は、休憩スペースやネットスペースの床まで人がゴロゴロ寝ている、通路をふさいで横たわっている人までいて、「野戦病院かここ?」みたいな具合になっている。2年くらい前まではなかった状況です。
じゃあどうしろっていうのよ。というあなたに訴えかけたい。
サウナ付きの銭湯に行きません? と。
それでなくても混んでいる、充分に人気のあるサウナよりも、サウナのある銭湯に行って、そこの経営を支える力になる方が意味ありません? という。そういう個人経営の銭湯、どんどん消えていっているので。うちの最寄りの銭湯もとうにつぶれて、その跡にはマンションが建った。
そりゃあ「うわ、ボロいし汚い、こりゃダメだ」みたいな、やる気のない銭湯はしょうがないが、古くとも清潔でちゃんとしていて使い心地のいい、でもそこまで流行っていない銭湯も、いくつもある。そういうところを探しませんか? というですね。
で、いい銭湯であることがちゃんと浸透していて、賑わっていたとしても、後継者の問題が深刻だったりもする。
僕の中で「古くとも清潔でちゃんとしていて使い心地のいい」、だから愛される銭湯の代表、西太子堂の八幡湯は、「毎週土曜と第一・第三金曜が休み」だったのが、最近「毎週金土休」になった。そのことを告げる貼り紙には「寄る年波には勝てません」と書かれていた。
どうでしょう。心配でしょう、それは。だったら、今以上に賑わうことで、「俺が継ごうかな」みたいな人が、出てくるかもしれないじゃないですか。八幡湯の都合も知らずに勝手なことを言っていますが。
あと、これは僕個人の話だが、地方に行った時は別として、普段自宅にいる時の感覚としては、「サウナはぜいたく」というのがある。サウナ付きの銭湯なら、都内均一の銭湯料金=460円にプラスサウナ代、安いところだと「鶯谷の荻の湯の平日120円・土祝170円、ただしタオルは付かない」くらい、高いところだと「表参道の清水湯、プラス640円で1,000円、タオル付き」くらいまであるが、だいたいその幅の金額で、サウナと水風呂を味わえる。平均すると750円か760円でタオル付き、くらいです、僕の行く銭湯の場合。
一方、たとえば笹塚の人気サウナ、マルシンスパだと、「スマホで購入お得な前売りチケット」で、1,500円(平日120分)から。サウナってそれくらいの価格帯が基本で、底値は、僕が都内で行ったことのある範囲では、上野の北欧のクイックサウナ(10:00~23:00の間で3時間1,000円)と、歌舞伎町のメンズサウナこり・こりの60分コース(10:00~15:00で1,000円)くらいだ。赤坂のサウナリゾートオリエンタルも、ちょっと前までスマホで前売り券を買えば60分1,000円だったが、最近90分1,300円に変わった。
休憩スペースでゴロゴロしたい、というなら別だけど、そうじゃないお忙しい方にとっては、銭湯の方がお得でしょ?
ああもう本当に貧乏くせえ、俺。と、書いていてつくづく思うが。いや、僕をサウナ好きにした松尾スズキさん(のメルマガを読んで影響されたのです)や、知人の週刊SPA! のT副編集長みたいな高収入な方はいいですが、こっちは実質、「個人事業主の届けを出しているフリーター」だし。マジでその日暮らしだし。LOST IN TIMEの海北大輔が、マルシンスパに行ったとツイートしているのを見るたびに「いい身分だなあ海北てめえ!」とジェラシーを覚えるくらいだし。
貧乏くさい話ついでに、昨年暮に改装してリニューアルオープンし、めっちゃきれいでおしゃれになった、恵比寿と渋谷の間にある改良湯。改装前は、サウナ代を足しても710円(タオル付き)という、この近辺の平均よりも安価な設定だったが、改装後は100円上がって810円になった。あと、中目黒の超人気銭湯、光明泉。ここも、サウナ代を足して660円(タオル付き)という破格の安さだったのが、ちょっと前に760円に上がった。
どちらにも「ああ……」と思ったが、でも、どちらも、妥当だと思います。
あとひとつ思うこと。女性用サウナ、もっと普通にいっぱいあるべきではないか。男女平等に、とかいう以前に、単に、商売として当たると思うのですが。
あともうひとつ。「交通と宿泊は自分で手配して、あとで経費として請求してください」という出張仕事の時は、サウナに入りたいがゆえに必ずカプセルホテルに泊まることにしているのだが、先日久しぶりに会った某アーティストのマネージャーが、「僕もなんです。いつもメンバーをホテルまで送り届けてから、ひとりでカプセルサウナに泊まります」とおっしゃっていて、安心しました。